TOMOO、ファンと分かち合えた大切な“透明”の宝石たち。東京国際フォーラム ホールAツアーファイナルをレポート

ライブレポート | 2026.03.06 20:00

TOMOO HALL TOUR "DEAR MYSTERIES"
2026年2月28日(土)東京国際フォーラム ホールA

TOMOOが自身最大規模となる全国10都市12公演に及んだ『TOMOO HALL TOUR 2025-2026“DEAR MYSTERIES”』のファイナル公演を2月27日(金)、28日(土)の2日間にわたって、東京国際フォーラム ホールAにて開催した。

昨年11月にリリースした約2年ぶりとなるメジャー2ndアルバム『DEAR MYSTERIES』を携えたツアー。ワンマンライブとしては、昨年5月に行われ、13,000人の観客が集結した初の日本武道館公演以来となるが、彼女は武道館で「透明な器に注がれた何かを歌にしている」と語っていた。そして、ニューアルバムに収録された「Lip Noise」には“身の奥”の“透明”を覗くというフレーズがあったが、まさに“透明”=目には見えないけど大切な何かを共有するようなライブとなっていた。

ライブ本編はアルバムのラストナンバー「高台」から始まり、オープニングを飾っていた「Present」で締め括るという真逆の構成で、アンコールを含めてアルバムに収録された全12曲に加えて、本人曰く「その仲間たちと言える曲」が加えられていた。「高台」でグランドピアノを弾きながら、夜の闇を太陽の光が染めるかのように、少しずつ音と光で空間を満たしていくと、「What’s Up?」ではアップライトピアノに移り、立ったままで演奏しながら観客のテンションを上げていくと、ハンドマイクでパフォーマンスした「あわいに」で自然と手拍子が沸き起こり、「酔ひもせす」では総立ちになった観客が高く掲げた手を左右に振るワイパーで緩やかな一体感を生み出した。

「ついにツアーファイナル。無事に今日を迎えられてとても嬉しいです。願わくば、私たち一人一人内側の奥の方にある宝箱を開くような時間になったらいいなと思います。今日は楽しんでください」と挨拶すると、満員の会場から大きな拍手が上がった。ミステリアスでドラマチックな「夢はさめても」の間奏パートやベースのスラップ奏法、打ち込みのビートも導入した「コントラスト」のエレキギターソロやチェロの響き、「Grapefruit Moon」でのオルタナティヴR&Bのような独特の音像など、2管と1弦、パーカションを含むバンドアンサンブルの充実も見逃せない。そして、グランドピアノでの弾き語りとなった「雨粒をつけたまま」では、“わたしだけの秘密”を自身の内側に潜めながら、<見えるものが すべてじゃない>とパワフルに力強く歌い上げた。

コンガとホーンによるグルーヴが心地いい「ベーコンエピ」、ホールツアーとともに「餃子食べ比べツアーも完走した」と明かしたエキセントリックでスパイシーな「餃子」、リバーヴの効いたエレクトロが夜の風景を引き連れてくる「ナイトウォーク」と、中盤はTOMOOの多彩なサウンド感を楽しめるシーンが続いた。ハミングとアカペラから始まり、客席も明るく照らした「スーパースター」を経て、近年のライブではお馴染みの「オセロ」「Super Ball」ではクラップを奏でる観客一人一人としっかり目を合わせ、呼びかけるように歌いながらステージと客席の距離をグッと縮めてみせた。

ここで、アルバムについて「陽のあたる場所に出て、誰かと一緒にいる嬉しさを知っていく曲もあれば、だんだん奥の方に潜っていく一人の曲もあって」と振り返り、「人によっては閉じてると感じるかもしれないなと思ったんですけど、内に行ったからこそ、届く曲もあるよなと思った」と続けた。さらに、支えてくれるスタッフやミュージシャン、応援してくれているファンへの感謝と心強さを伝えながらも、「今の私は自分の中でもわからないことや説明できないことを大事にしていきたいなって新しく思えた。何かを人に語ったり、共有できることは嬉しいことなんですけど、それと同時に、自分の感じていることをわかりやすく共有できなかったり、明け渡さない時があってもいいと思うんですよね」と語り、「“DEAR MYSTERIES”=親愛なる秘密たち、謎たち、神秘たち。みなさん、自分の中のおくまってる影にあるわからないものをぜひ大事にしてください」と呼びかけた。

そんなMCのあとの「エンドレス」「Cinderella」「Lip Noise」というバラードを繋いだ一連の流れがこの日のクライマックスだった。8人のバンドメンバーがステージを降り、グランドピアノの弾き語りで歌った「エンドレス」では、歌詞にある<透き通る声>を体現。チェロとのデュオで演奏した「Cinderella」ではぐっと引き込まれるブレスによって、“ガラスの靴”や“君の胸に隠れたダイヤ”が鮮明に浮かび上がってきた。そして、バンドメンバーが戻り、「Lip Noise」へ。照明が落とされた空間で “透明”や“秘密”を覗く。真っ暗闇の中に一瞬の静寂が訪れ、ピアノバラードから四つうちのバスドラが鳴り響くハウスへと展開。やがて、ピンスポットが当てられたTOMOOが慟哭のような、心の叫びのような、言葉にならないフレーズを歌い上げる。誰にも見せたことのない、暗部とも言っていいような心の奥から奥へと飛び移ったような歌声と演奏は、全ての観客が息を呑むほど、まさに圧巻だった。

「透明を見るってすごいことだよね。私はずっと、透明なものを見たいとか、透明なものをずっと探してる気がしてるんです。私はそういう、掴めそうで掴めない、でもやっぱり掴めるんじゃないか? っていうものをいっつも追っかけて、いろんなところから捉えようとしてる気がしてる」と語った後の「ハックルベリー・フレンド」からは、矢印が内側から外側へと変化。観客の手拍子に合わせてクルクルと回ったり、ステップを踏みながらパフォーマンスした「Ginger」を経て、ラストは“君”に向けて直接歌いかけた「Present」。楽曲中に<このツアー、楽しかったよ!>と叫びながら、目には見えない音や思いを共有して、満面の笑顔とともに本編を明るく楽しく締めくくった。

今となっては想像もできないが、TOMOOは10代の頃、たった数人の観客の前で「雨粒をつけたまま」を歌ったこともあるのだ。アンコールの1曲目、<いつの日か 今夜のこと/思い出す日が来たら>というフレーズが過去と現在を繋いだ「Lullaby to my summer」もそんな曲の1つなのだろう。「このアルバムは私の奥の方にある宝箱を集めたような、記録したようなアルバムなんですけど、今の曲は私にとって隠している宝石という感じでした。それを夜明け前に、握りしめていた手を開いて、そこからふわっと解けて星になっていくみたいな気持ちになりました」と語った彼女は、「新しい朝の曲です」という言葉から、最新曲「ソナーレ」を披露。観客のこんがらがった感情をゆっくりと解いた彼女が「宝箱は開きましたか?」と呼びかけると、場内からは大きな拍手が送られた。

さらに、「私はいつも過去を振り返って、取り出して、宝物みたいに眺める人間なんですけど、今も生きている宝だと思います。私たちは誰にもみせない、共有できない宝が自分の内側にあって、人と人の間にしか残せない宝もある。すごく幸せな経験をさせてもらってるなと思います。(宝物を)受け取ってくれて、一緒に持ってくれてありがとう。このツアーも宝物になると思います」と語り、君が住む街で“宝探し”をする「LUCKY」であなたがいてうれしいというメッセージを届け、「また必ず元気で会いましょう」と再会の約束をしてツアーはエンディングを迎えた。

なお、終演後にはTOMOO初のアリーナツアーの開催が発表された。今年11月に神奈川・ぴあアリーナMM、大阪・大阪城ホールにて『TOMOO Arena Tour2026』が行われる。

SET LIST

01. 高台
02. What's Up?
03. あわいに
04. 酔ひもせす
05. 夢はさめても
06. コントラスト
07. Grapefruit Moon
08. 雨粒をつけたまま
09. ベーコンエピ
10. 餃子
11. ナイトウォーク
12. スーパースター
13. オセロ
14. Super Ball
15. エンドレス
16. Cinderella
17. Lip Noise
18. ハックルベリー・フレンド
19. Ginger
20. Present

ENCORE
01. Lullaby to my summer
02. ソナーレ
03. LUCKY

SET LIST

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