ここで、「アルバムを受け取ってくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えたTOMOOは改めて、初のフルアルバムについて、「私にとってのフルカラーでフルパワーのアルバム」と繰り返し、「いろんな表情、いろんなテンション、いろんなトーン、いろんな色を揃えて、詰め込んで、丸ごと届けられるのが嬉しかったんですよね。それに、すごく不思議なんですけど、リリースしてから時間が経つほど、その嬉しさが増えてるなって思ってます」と語った。そして、アルバムの冠になっている“月”というモチーフについてこう話した。
「月から連想して、光のイメージが浮かぶじゃないですか。光を分けると虹色だったりするんですよね。そういう彩りを揃えられたアルバムだなと思ってて。そんな中で、次に歌う曲は、今回のこのアルバムだからこそ残せた、ちゃんと存在させられて良かったなって思ってる曲です。心のひっそりしたところから作った歌。さっき、天気に関係なく雨の歌を歌わせてもらいましたけど、いろいろあるじゃないですか。晴れの日、雨の日、嵐の日、曇りの日。空にも色々あるように、人の心にも色々あると思うんです、曇りだったり、嵐だったり、ザザぶりだったりしたとして。そういう状態だったとしても、その人の尊さが損なわれることは絶対にないなって思った時に描いた、日記みたいな、あるいは手紙みたいな曲です」
TOMOOのピアノにギター、ベース、キーボードの3人が奏でるアコギが重なる「窓」でバンドメンバーによる弦の合奏によって雨が上がったことが知らされた。そこからまたバンド編成となり、「甘酸っぱいグレープフルーツの歌を書いた10年前にはもっと酸っぱい果物の歌を書いてました」という言葉に導かれた「レモン」で<あなたの太陽になりたくて>とセンチメンタルに歌うと、「ベーコンエピ」では一転して力強く確かなエモーションを感じる歌声を響かせ、ストリングスとホーンも加わった「Cinderella」では狂おしい感情の奔流を押し流す12人のバンドアンサンブルとともにダイナミックにパフォーマンス。三度目の<Baby>というフレーズの際には見ているこちらの目から自然と涙が流れるほど感動的で、本ツアーのクライマックスと言っていいくらい、忘れられない演奏となっていた。
「今日、火曜日なんですけど」という言葉に導かれた「Friday」からライブは後半戦へ。メジャーデビュー曲「オセロ」で再び観客は盛大なクラップを打ち鳴らし、「POP’N ROLL MUSIC」ではタオルを回しながら楽曲を共有。ツアーを振り返り、「楽しかったな」と何度も繰り返したTOMOOは、「10年くらい活動してきたけど、今一番、私が届けたいことを受け取ってもらえてるなっていう実感があって、しかも、日々、増してるんですよね」と語り、円形に囲まれたフロアを見渡しながら「空を見渡してるみたいな気持ちになる。星がそこにある、みたいな。星の光と一緒で、受け取ってもらえて初めてそこにあることがわかる。自分がここにあるってことがわかるし、自分の音楽がどんなのか、心がどんなのかがわかるなって改めて思ったりしてる最近です」と続けた。
さらに、「こじつけじゃないけど、月は太陽からもらった光を反射して光ってるわけでしょ。私も、皆さんも、光を受け取り合うし、また照らしあうっていう関係なんだろうなって、始まる直前に思いました。みんなが元気な時もあれば、そうじゃない時もあると思うし、聴けない時もあるだろうなって思う。でも、私の曲にふと触れた時に、音の向こうに生きてる心があるなって思ってもらえるような曲をこれからも作っていきたいなってめっちゃ思ってます」と語り、「今日はみんなのおかげで幸せな夜になりました。ほんとにありがとうございます」という言葉にこの日一番の大きな拍手が送られるなかで、本編は<君の光>を受け取った<夜明けの星座>である僕らが夜明けを迎えに行く「夜明けの君へ」からアルバムのリード曲で、<虹色>のスーパーボールが胸から飛び出す「Super Ball」で締め括られた。
太陽のように輝くスーパースターの陰の部分に焦点を当てた「スーパースター」でアンコールに応えたTOMOOは「今日は虹色って言葉を自分がいっぱい口にしている気がするんですけど、始まる前もメンバーに<光は分けると虹色なんですけど、皆さん虹なので、一緒にムーンライトになってください>ってお願いしたんです。今、目の前にいるみんなも含めて、本当は虹色なんですけど、1つのライトになれたような気がするなって思います」と充実した表情を見せた。そして、「Ginger」で明るく楽しく賑やかな大団円を迎えたかと思いきや、「実は最後の最後にもう1曲、用意してきました。タイトルは『Present』です。受け取ってください」と呼びかけ、新曲を披露。アルバムを受け取ってくれたお返しのような楽曲を観客一人一人の胸に直接届け、“あなた”と“わたし”の心の中で輝く様々な光を重ね合ったツアーは「楽しかった。幸せな時間でした」という言葉とともに幕を閉じた。
SET LIST
01. 夢はさめても
02. 恋する10秒
03. HONEY BOY
04. 酔ひもせす
05. 17
06. Grapefruit Moon
07. Mellow
08. 雨粒をつけたまま
09. What's Up?
10. 窓
11. レモン
12. ベーコンエピ
13. Cinderella
14. Friday
15. オセロ
16. POP’N ROLL MUSIC
17. 夜明けの君へ
18. Super Ball
ENCORE
01. スーパースター
02. Ginger
03. Present