ASH DA HERO LIVE 2023 “Judgement”
2023年4月8日(土) Zepp DiverCity(TOKYO)
ASH DA HEROが、4月8日(土)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて、メジャー1stシングル「Judgement」リリース記念ライブを開催した。彼らがバンド形態で活動を始めたのが、コロナ禍の2021年だったため、フルの声出しが解禁されたワンマンライブはこの日が初。自分たちの居場所を守るため、耐え忍ぶ長い期間を経て、ライブハウスに響く観客の声。そうだ、俺たちはこの瞬間を待っていたのだ。
SEが鳴り、青白い照明がステージを怪しく包む中、メンバーがステージに登場。バックライトに照らされたASH(Vo)がステージ中央に立ち、オーディエンスの拍手や歓声を両手を広げて受け止めると、「派手にやろうぜ、東京!」と一言告げ、1曲目「Merry Go Round」でライブがスタート。「DAIDARA」、「自分革命」と続き、ライブスキルの高さをまざまざと見せつける5人。これがコロナ禍も諦めずにライブやツアーを重ね、バンドの筋力を鍛え上げ、技術を磨いてきた成果。歌や演奏、楽曲の完成度の高さは申し分なし!
しかしちょっと気になるのが、そんなステージに見入っているのか、遠慮や不安があるのか? 体を揺らして手拍子を合わせ、盛り上がってはいるが、どこかおとなしめの観客。するとそれを察知してか、「New Revolution」のラップパートで、<やけにおとなしい 今日のZepp そんなもんじゃねぇってことくらい オレたちは当然知ってるぜ>とアドリブを挟み、オーディエンスの気持ちを煽るASH。跳ねるビートで会場を大きく揺らすと、WANI(Dr)の軽快なドラムで「Avengers」へ。
「みんな! お帰りなさい、ライブハウスへ!! 今日はこのステージがぶっ壊れるくらい、みんなには溜まった3年間を全部晴らしてもらいますんで。最後まで楽しんでください!」
「Avengers」のイントロをバックに、一人ひとりの観客に力強く告げるASH。すると、そんなASHの呼びかけに応えるように、フロアから声が上がり、グルーヴする演奏に体を揺らしていたオーディエンスがSato(Ba)、Narukaze(Gt)の巧みなソロに大きな歓声を上げ、<We ‘re the avengers>と力強く歌声を合わせ、フロアがどんどん熱を帯びていく。心を開放せよ、声を上げろ。俺たち一人ひとりが、清々しいほどの迷走世界を終わらせるAvengerなのだ。
「Dead or Alive」、「WARAWARA」と、一気に駆け抜けた前半戦。曲が進むほどに熱量を増していくフロアを嬉しそうに眺めたASHが、「みんなマジでもう一回言わせて、ライブハウスにお帰り! 戻ってきたぞーーっ!!」と興奮気味に叫ぶ。「令和最強のロックバンド、ASH DA HEROです!」と改めて自己紹介すると、「新しい曲やります。新たな我々、ASH DA HEROを感じてもらえればと思います!」と投下したのは、新曲「Stigma」。ミラーボールの光が眩く光る中で披露された新曲は、ちょっぴり大人なR&B調のミディアムナンバー。さらに深闇から光に手を伸ばすような、ダークな世界観を描いた新曲「新世界」と、ASH DA HEROのここからの可能性を大きく期待させる新曲が続き、フロアから拍手と歓声が上がる。
「ライブをやるのはステージ上の我々なんですけど、集まってくれた一人ひとりの歌声が重なってこそ、俺たちのロックンロールってものが完成するなって。いま、やりながらすごく思ってます」
ライブ前に行ったインタビューでも、「オーディエンスの歓声だったり、みんなの歌声が合わさった瞬間に完全体になる」と語っていたが、いま、この瞬間を噛みしめるように語るASHの表情からは、自分たちの歌や演奏と観客の声が重なるのを実際に体感して、それが希望や願望でなく、確信に変わったことが分かった。
「『声出せ!』っていうんじゃなくて、声を出したくなるようなライブを俺らはやるから。初めて声を出す人も勇気を振り絞って声出してみ? めっちゃ気持ちいいから! コロナが始まる前からのライブハウス熟練者たちと、コロナ禍になってライブカルチャーを知った人がミックスして、アフターコロナのライブハウスの在り方を作っていければいいなと思ってます」
ASHがライブハウスの在り方について、自身の考えを真摯に語ると、「行けるか、Zepp DiverCity! お前らの声を聴かせてくれ!」と煽り、始まった曲は「Judgement」。会場中の人がいま、一番観たかったであろうこの曲に、フロアの盛り上がりは最高潮! そして、熱心なファンと初めてライブに訪れたであろう新規のファンが、自由にそれぞれの楽しみ方で歌い踊る姿は、まさにASHが語っていたアフターコロナのライブハウスの景色を想像させた。
Dhalsim(DJ)の魅せるDJから、ASHのクールなラップで始まった曲は「エゴイスト」。「Judgement」をキッカケに『ブルーロック』の漫画にハマった僕は、強烈な個性を持つ5人がせめぎ合い、高め合いながら、チームとしての筋力を高めていくASH DA HEROが『ブルーロック』みてぇだなと思ってたが。それぞれがストライカーの気持ちでガツガツと存在感をアピールし、遠慮なくシュートを打つ姿はまさに『ブルーロック』を彷彿とするエゴイスト集団。
ドラムから離れてステージ中央で筋肉ポーズを決めるWANIから始まり、メンバーそれぞれが挨拶をしたMCでは、人の話を横取りしたり、観客のコールや歓声を強要したりとやりたい放題(笑)。「MCひとつ取っても、マイクを奪い合うエゴイスト集団ですけど」と笑うASHが、「ブチアガっていこうぜ、東京! 一緒に踊ってくれますか!?」と空気を変えて始まった曲は、「YELLOW FEVER DANCE」。
「お前らが3年間かけて勝ち取ってきたその場所。もう自由だ、声も出せる。そして動き回ることも出来る。踊りちらかして行けよ!」と挑発するASH、突き上げるダンスビートに自由に歌って踊る観客。WANIのダイナミックなドラムから、Dhalsimの切れ味鋭いスクラッチへ。そして、SatoのヘヴィなベースからNarukazeの歌うようなギターへと繋ぐソロパートで、エゴイスト集団が自身をしっかりアピールすると、とびきり強い存在感を放つエゴイスト・ASHの歌声で始まった「反抗声明」では、痛烈なメッセージと強靭なバンドサウンドを放つ。
「もう一曲、新曲を持ってきました」と、口笛で始まる温かみのあるミディアムテンポの新曲「白昼夢」で始まった後半戦。「Rain on the roof~レーゾンデートル」の流れでしっかり聴かせ、「信じてればこんな日も来るね、ありがとうみんな!」とオーディエンスに改めて感謝を伝えると、たっぷり気持ちを込めた「Just do it」を披露。「いつかみんなの歌声が戻ってきたら、一緒に歌おうぜってずっと言ってきた曲です。お前らの歌声を聞かせてくれ!」と始まった「Remember」で会場中が拳を上げて「Hey!」のかけ声を合わせ、「PARADE」が壮大な曲世界を描くと、ライブはクライマックスへ。
「ひとつ言いたいことは、諦めたくなるような夜もあったと思うけど、そういう夜も乗り越えて、こういう夜にたどり着いてくれた君たちは凄いんだってこと。そして、君たちの声があってオレたちも生かしてもらえてるんだってこと。よく頑張ったお前ら、よくたどり着いてくれた!」
ASHが熱いメッセージを届け、始まった曲は「最強のエンドロール」。ASH DA HEROの“はじまり”を歌った歌詞が、ここにいる全ての人との“新たなはじまり”となったこの日のライブにバシッとハマって聴く者の胸を打つと、「一人ひとりの歌声を聞かせてくれ!」と呼びかけ、会場中がシンガロングする美しすぎる光景に、「これこそがライブハウスの夜明けだ!」と力強く告げるASH。ラストは「世界をぶん殴れ」で全員が拳を突き上げて、エンドロールの向こう側の“希望”が見える中でフィニッシュ!
……だったのだが。鳴り止まないアンコールに、「本当にやる曲が無いんだよ」と困ったような、嬉しそうな様子の5人は、その場で打ち合わせをして、予定に無かった本日2度目の「Judgement」を披露。この日一番の盛り上がりを見せて、ワンマンの幕を閉じた。ライブハウスの夜明けであり、ASH DA HEROの新たなスタートとなった、この日のワンマン。僕はアニメ『ブルーロック』の主題歌を任されたことも、ASH DA HEROのカッコよさを世に広めた「Judgement」が完成したことも、このタイミングでワンマンを開催出来たことも決して偶然でなく、コロナ禍でも決して諦めることなく、前を向いて必死にもがき続けてきた彼らが引き寄せた必然だったんだろうと思う。
ライブの最後に今秋、2ndフルアルバムをリリースすること、9月から来年2024年まで年またぎのライブハウスツアーを開催することを発表した彼ら。出口の見えないトンネルをひたすらに走り続けて、ようやくたどり着いた最高の夜を経て、いよいよ世界を殴りに行く時がやってきたようだ。ASH DA HEROのこれからに期待しかない、マジで。
SET LIST
01. Merry Go Round
02. DAIDARA
03. 自分革命
04. New Revolution
05. Avengers
06. Dead or Alive
07. WARAWARA
08. Stigma
09. 新世界
10. Judgement
11. エゴイスト
12. YELLOW FEVER DANCE
13. 反抗声明
14. 白昼夢
15. Rain on the roof
16. レーゾンデートル
17. Just do it
18. Remember
19. PARADE
20. 最強のエンドロール
21. 世界をぶん殴れ
ENCORE
01. Judgement