ASH DA HERO、アルバム『HUMAN』の完成形を観客と共に作り上げたツアーファイナル

ライブレポート | 2024.01.12 18:00

ASH DA HERO LIVE TOUR 2023-2024 “HUMAN”
2024年1月8日(月・祝) Zepp DiverCity(TOKYO)

「各地のみんなのエネルギーや力のおかげで、『HUMAN』というアルバムが育っていって。今日、完成形を迎えようとしています!」

ライブ中盤、ファイナル公演の確かな手応えにツアーの成果を実感し、噛みしめるように語ったASH(Vo)。昨年9月13日、2ndフルアルバム『HUMAN』をリリース。9月23日(土・祝)千葉LOOK公演を皮切りに、同作を掲げて全国15箇所を回った『LIVE TOUR 2023-2024 “HUMAN”』ツアーを行ってきたASH DA HERO。年またぎで3ヶ月強に及んだ長いツアーファイナルであり、自身3度目となるZepp DiverCity(TOKYO)ワンマンは、アルバム『HUMAN』の完成形を見せてくれると同時に、この5人でのバンドスタイルのひとつの完成形を見せてくれた。

壮大なSEに鮮やかなレーザーライトが飛び交う中、観客の手拍子に迎えられてメンバーがステージに登場。センターに立ったASHが、「ツアーファイナルだ!ド派手に行こうぜ!!」と叫び、ファイナル公演が派手やかに幕を開ける。1曲目は最新作『HUMAN』のOPナンバーでもある「One Two Three」。タイトでドライブ感ある演奏に映えるASHのエネルギッシュな歌声、堂々としたステージパフォーマンス。彼らのライブを見るのは初日の千葉LOOK以来で、ステージ全体を見渡すことも出来ない小さなライブハウスと比べるのもおかしな話だが。Zeppの広いステージだからこそ、ステージに立つ5人の自信に溢れた立ち姿や表情の凛々しさは、初日とは明らかに印象が異なるのが分かる。

ASH(Vo)

Narukaze(Gt)

Sato(Ba)

WANI(Dr)

Dhalsim(DJ)

闘魂みなぎるOPナンバーでオーディエンスの心に火を着けると、「ペルソナ」、「自分革命」とツアーで鍛え上げた『HUMAN』収録の新曲が続き、フロアを大いに沸かせた序盤戦。WANI(Dr)の軽快なビートに楽器隊が演奏を重ね、「明けましておめでとうございます!俺たちが令和最強のロックバンド、ASH DA HEROです」とASHが挨拶。「今日はファイナルであり、2024年のライブ始めです。集まってくれたみんなじゃなくて、一人ひとりと最高のロックンロールショーを作って行きたいと思います」と告げ、Narukaze(Gt)のギターで始まった「Avengers」の痛快なロックンロールで会場を揺らす。

さらに新曲「モラルハザード」、ライブ定番曲の「WARAWARA」、「Merry Go Round」と続き、フロアに強烈な熱気を生んだ前半戦。ここまで見て、最新アルバムの新曲たちが、ツアーを経て進化してるのは当然だが。以前から演奏していた楽曲たちも歌や演奏の芯の太さや説得力、観客の熱狂を生むライブ感を増し、バンド自体がひと回りもふた回りも大きくなっていることに驚かされる。

コロナ禍で活動をスタートして、様々な規制に苦戦しながらライブ経験を重ねて。コロナも明けてなんの規制や遠慮もない中、渾身のアルバムを掲げて行った今回の全国ツアー。ASH DA HEROがついにロックバンドとしての本領を発揮し、覚醒する時が来たということだろう。拳を上げて掛け声を合わせたり、黄色い歓声が飛び交うフロアの熱狂も嬉しく、過去2回行った同会場でのライブとは全く違った景色に見える。

ミラーボールの光の下、ムーディーな演奏と切なく色気ある歌声が会場を包んだ「Stigma」、ヘヴィなサウンドに強いメッセージを放つ「新世界」と続き、突き上げるダンスビートでフロアを踊らせた「デカダンス」ではASHとNarukazeがフロアに飛び込んだりと、彼らの幅広い音楽性や高いスキル、多面的な魅力で魅せた中盤戦。「Super Sonic」のWANIとDhalsim(DJ)の白熱のセッションから、Sato(Ba)~Narukazeのソロで始まり、ASHがキレキレのラップを聴かせた「エントロピー」でメンバーそれぞれの魅せ場も作ると、「白昼夢」や「金木犀」では切なく温かみある世界観を5人で丁寧に構築し、「Calling you」は壮大な演奏に乗せて愛を歌う、ASHの真っ直ぐで伸びやかな歌声が胸に迫る。

MCでは「みんな存分に声を出してくれてるし、いろんな感情をぶち撒けてくれてると思うけど。最後まで全感情をぶち撒けて、『HUMAN』というアルバムを完成させましょう!」とASHが告げ、メンバーそれぞれが挨拶。「後半戦もぶっ飛ばして行こうぜ!」と煽り、オーディエンスの手拍子で始まった「Judgement」、会場中がジャンプを合わせた「エゴイスト」とアッパーな曲が続くと、「まだまだ腹の底に眠ってる声が聴きてぇな!」と始まった「GIANT KILLING」のシンガロングで会場がひとつになる。さらに「世界をぶん殴れ」で全員が拳を突き上げ、以前のライブだったら大団円で終演となるところだが。こんなもんじゃ終わらないのが、最新型のASH DA HERO。

「一曲やっていくごとに、“ツアーが終わってしまう”という寂しさと切なさがあるんですが。“2024年が始まっていくぞ”というカウントダウンのような気持ちもありながら、全身全霊で届けています」とここまでの感想を語ると、色んな夜があったツアーを振り返り、「その全てが今日、“2024年もみんなでブチアゲて行こうぜ!”って夜になってるなと思います。本当にありがとうございます!」と感謝を告げたASH。さらに年明け早々に起きた能登半島地震について語り、「みんなで一日一日、当たり前じゃない、この当たり前な生活を大事に過ごして行きましょう」とメッセージを送り、このツアーで訪れた石川県金沢市に恩返しに行くことを約束。

「ASH DA HEROというバンドが始動して、ツアー中に2年が経って。いよいよ3年目を走り出しています。本当にここにいるあなたのおかげで、我々は前に進めています。みんなにとっても俺たちがそういう存在であったらいいなと思うし、俺たちにとってみんなは希望の光であると改めて伝えさせて下さい。2024年も最高の未来を走って行きましょう!」と始まった「最強のエンドロール」でここまでの道のりを振り返り、<さあ 行こうぜ>とここからの最高の未来に誘い始まった終盤戦は、会場中のオーディエンスが歌声を合わせる感動的なクライマックスが生まれ、「このツアーで1番の歌声でした。全開のライブハウスって最高だな!」と微笑むASH。続いて、アルバムラストを飾る「Happy」で賑やかに華やかにフィニッシュを決め、アルバム『HUMAN』の完成形を見せた。

……と、これで終演と思いきや。観客の鳴り止まぬ歓声に再び照明のついたステージで、「『HUMAN』ツアーが終わってしまった!でも2024年が始まってしまった!」と叫ぶASH。「みなさんのおかげで『HUMAN』が完成しましたが。もう1ピース必要だなということで、今日のために新曲を作りました」と告げ、「2024年、我々ASH DA HEROの決意表明と共に、とても悲しい思いや苦しい思いをしている、被災された方へのメッセージ。そして何よりも、ASH DA HEROと共に走ってくれる親愛なるベイビーズたちへ、最後にこの曲を贈ります」と美しいイントロで始まった曲は、本邦初公開となる新曲「Light my fire」。たっぷり気持ちを込めた歌と演奏で、<灯すLight my fire 新たな未来照らして>と希望の光を放ったこの曲。『HUMAN』を完成させただけでなく、次の一歩を力強く踏み出してツアーを締めくくるという素晴らしいエンディングとなり、ツアーファイナルとなった。

新曲披露後は、4月から始まる自身主催による対バンツアー『ASH DA HERO Presents"GACHINKO" TOUR 2024』の開催を発表。「柄じゃねぇよ!」なんてちょっと照れながら、繋いだ手を上げて「ありがとうございました!」と感謝を告げた5人。『HUMAN』ツアーを大成功で終えて新章の幕を開け、2024年もさらなる飛躍を見せてくれるであろうASH DA HEROから目を離すな!

SET LIST

01. One Two Three
02. ペルソナ
03. 自分革命
04. Avengers
05. モラルハザード
06. WARAWARA
07. Merry Go Round
08. Stigma
09. 新世界
10. デカダンス
11. Super Sonic(DJ & Drum Session)
12. エントロピー
13. Rain on the roof
14. 白昼夢
15. 金木犀
16. Calling you
17. Judgement
18. エゴイスト
19. GIANT KILLING
20. 世界をぶん殴れ
21. 最強のエンドロール
22. Happy
23. Light my fire(新曲)

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