ASH DA HERO LIVE TOUR 2023-2024 “HUMAN”
2023年9月23日(土・祝) 千葉LOOK
9月13日に2ndフルアルバム『HUMAN』をリリース。最新アルバムを引っ提げて、9月23日(土・祝)千葉LOOK公演を皮切りとした、全国15箇所を回る『LIVE TOUR 2023-2024 “HUMAN”』をスタートしたASH DA HERO。変幻自在なハイブリッドサウンドにさらなる広がりを見せた『HUMAN』の新曲たちが、ライブのテンション感や熱いオーディエンスとの化学反応で、どう化けるのか?大きな期待を抱いて観戦したツアー初日は、期待をはるかに超える素晴らしいものだった。
満員で200人と決して広い会場ではなく、年季の入った建物も決して綺麗とは言えないが。都内からの利便性の良さや音の良さ、ライブハウススタッフのバンドに対する愛とリスペクト、そしてこれまで出演したバンドたちの汗と想いが染み込んだ「これぞ、ライブハウス!」といった会場の雰囲気から、多くのロックバンドに愛され続け、全国ツアーの初日として利用されることの多い千葉LOOK。超満員のフロアに足を踏み入れ、期待に満ちたオーディエンスの熱気がフロアに充満しているのを肌で感じた瞬間、“HUMAN”の名を冠したアルバムのツアー初日がここで良かったと早くも感じる。
開演時間となり、SEと大きな歓声に迎えられてメンバーがステージに登場。ステージも低めでステージ全体を見渡すことは出来ないが、手を伸ばせばメンバーに届くほどの密接ぶりは千葉LOOKならでは。ステージ中央のモニターに乗って顔を見せたASH(Vo)が、「よく来たな、お前ら!全力でかかって来い!!」と叫び、いよいよライブがスタート。フロアに身を乗り出し、最前列の観客とぶつかるほどの近さで歌と想いを届けるASH。コロナ禍では決して許されなかった、密閉、密集、密接の三密が揃ったライブハウスが、強烈な音圧を放つバンドサウンドと、拳を突き上げ掛け声を合わせるオーディエンスの圧倒的な熱気に包まれる。
「本日はツアー初日、千葉LOOK。チケット完売、満員御礼です。ありがとうございます! やっと待ちに待ったライブハウスらしい景色が戻って来たんで、今日は集まってくれた一人ひとりと最高のショーを作りたいと思います!」
ASHがMCで語ったように、ライブ序盤から圧倒的な盛り上がりで“ライブハウスらしい景色”を見せてくれたこの日。ツアー初日ということで、ネタバレに気を遣いながら以下、内容について触れる。
セットリストはアルバム『HUMAN』収録の新曲を軸に、アルバムの世界観を残したまま、ライブ定番曲や既存曲を効果的に織り交ぜて構成。ライブ初披露の新曲たちは「こう来たか!」というアレンジや楽曲の映える曲順で披露され、音源とも異なる新たな魅力を放つ。アルバム音源と比べてもさらに進化を遂げた、最新型のASH DA HEROの歌や演奏、パフォーマンスは初日と思えないほどのハイクオリティぶりで、ライブ序盤を見た感想は「最高!」のひと言。
そんな「最高!」なライブになったのは、手応え十分なアルバムの完成に満足することなく、新曲たちをライブに向けて磨き上げてきた5人の努力や、ここまでのライブ経験で培ったバンドのスキルの高さももちろんあるが。何より大きいのが、熱いオーディエンスの存在だった。会場中が掛け声を合わせた「One Two Three」、グルーヴィーな演奏に体揺らした「自分革命」、ジャンプを合わせて会場を揺らした「ペルソナ」と、バンド演奏と歌にオーディエンスの声やアクション、そして高いテンション感が加わることで、新曲たちが本当の意味で完成し、ライブならではの魅力を生み出していく。
様々なアプローチの曲が並び、めくるめく楽曲世界を見せた中盤戦。力強く正確なWANI(Dr)のビートにSato(Ba)のテクニカルな演奏、Dhalsim(DJ)のスクラッチが映え、Narukaze(Gt)のギターが唸る! キレの良いラップからパワフルなロックボーカル、エモーショナルな歌声と表現力豊かなASHのボーカルは、変幻自在に表情を変えながら、熱くメッセージを届ける。バラード調、しっかり聴かせるメロウな曲も彼らの魅力。たっぷり気持ちを込めたASHの歌声が、限りなく近い距離から一人ひとりの胸に迫る。
「路地裏から夢見て、“絶対夢かなえるんだ”ってしのぎを削って。夢叶えられたヤツ、叶えられなかったヤツ。色んなヤツの血と汗と涙と人生、それが詰まった場所がライブハウス。それを1989年からずっと守り続けてくれてるのが千葉LOOK。バンドマンの聖地でツアー初日飾らせてもらって、本当にありがとうございます!」
MCでは、千葉LOOKへの感謝とリスペクト、ここで初日を迎えられた喜びを告げたASH。終盤は盛り上がり必至のライブチューンや、「Judgement」、「GIANT KILLING」とアッパーな曲を畳み込んで最高潮の盛り上がりを生むと、「改めていうことも無いくらい、最高の初日になってます」と満足そうな表情を浮かべ、「こっからツアーファイナルまで長い旅になると思うんですけど、一緒に駆け抜けてください!」と告げたASH。オーディエンスの笑顔と大合唱を受け、自信に満ち溢れたステージ。ここから始まる旅の向こうにある、最強の未来を想像させてくれた。
「ツアー初日ってバンドにとっても手探りな部分もすごくありながら。蓋開けてみたら、みんなが嬉しそうに楽しそうにしてる顔が見れて、みんなの声が聴けて。今回のツアーは絶対良いツアーになると思いました。本当にどうもありがとう! 俺たちが令和最強のロックバンド、ASH DA HEROでした!!」(ASH)
最後の最後までオーディエンスとメンバーに笑顔が溢れ、最強に“Happy”だったツアー初日。あまりに完成度と満足度の高いライブを見せてくれたこの日が、ツアー初日だということに驚くばかりだが。“その向こう”の景色を見せてくれるであろう、2024年1月8日(月・祝)東京・Zepp DiverCity(TOKYO)まで続く、ASH DA HEROの長いツアーはまだ始まったばかりだ――。