昼公演「赤ピコ ワンマンライブ~生きててよかった!~」
ライブはゆっくり解説風に作られたオープニング映像からスタート。かつてピコと赤飯(オメでたい頭でなにより)がタッグを組んで、歌い手ユニット“赤ピコ飯まー⭐️”として活動をしていた赤ピコ。その赤ピコが2022年末、YouTubeを始めとしたSNSで公式チャンネルを次々と開設。SNSに活動の舞台を広げ、活動を再開した彼らが、ついにこの日、リアルステージに降臨。
映像が終わると、バンドを従え、ステージ下手から赤飯、上手からピコが登壇。2人で「2人合わせて赤ピコでーす」と挨拶をすると、冒頭から天使のような悪魔と悪魔のような天使が織りなすハイテンポなドタバタダンスポップナンバー「デビルじゃないもん」を投下。ピコは笑顔で「声ちょうだーい!」といいながら、ビートに合わせて元気にジャンプを繰り返す。そのピコの歌い出しから「ACUTE」が始まると、フロアから悲鳴があがる。“両生類の声”というワードの始まりでもある2人が、1、2番で入れ替わって男女の声を披露。そこにハモりまで加わるというなんとも贅沢な耳福ソングに、観客はペンラをふりながらご満悦。このあと赤飯が「ほな、どっちが先に歌う?」といいだし、舞台上でじゃんけんがスタート。ここではピコが先行となり、ライブはピコのソロステージへと展開。
最初に始まったのは「ダーリンダンス」。当然フロアは、歌えや踊れの大騒ぎ状態。ピコがそこに“ちゅ。”で投げキッスを送ると、オーディエンスは悲鳴をあげながら卒倒(笑)。そんな観客を次は「おい、ピコとヘドバンしようぜ」とワイルドに煽って、ロックなファストチューン「ポルターガイスト」を畳み掛ける。ここでは息を飲むようなノンブレス唱法で観客を圧倒。こうして、序盤からとばしまくりのライブについて「今日は怒涛のように駆け抜ける1日。次の回に体力残すんじゃなくて、いまマックス体力出していこう」とピコが伝え、次は振りのレクチャーを挟んで「Make our days!!!」へ。抜けのいい声と楽しく躍動するパフォーマンスで、会場全体を明るく開放感ある空気に変えていったところで、ピコは笑顔で舞台を後に。
ステージに出てくるなり「ペンライト消そうか」といった赤飯は、ピコが作った明るいムードを断ち切るように、ドラムインとともに入魂低音スクリーモを一発。ギターリフに合わせて、ペンラレスになった拳を振りかざしてoiコールを叫びだしたフロアを「ロストワンの号哭」で煽りまくる。歌い終えると「赤飯です。お恥ずかしい」といきなり照れまくる赤飯は、現在はバンドで活動することが多いため、赤飯としてステージに立つのは久々。「久しぶりに友達と会うと緊張するじゃん? そういう感覚」と自身のいまの心境を吐露しながらも、そんなことはおかまいなしに次の「骸Attack!!」はツインペダルが高速で襲いかかるなか、激しいデスボイスを放つ。それを曲中、瞬時にフィメールボイスにチェンジするなど、華麗に多彩な声を使い分けてみせる赤飯。歌いながら頭を振り乱し、舞台を駆け巡るパワフルなパフォーマンスで熱いライブを繰り広げ、観客のテンションをあげていったあとは「優しい曲やります」といって「心臓デモクラシー」でいったん激しく高まった心拍数を落ち着けていく。そうして、次の「サンドリヨン」が始まると、上手から静かにピコが登場。ここでは、ピコがいきなりファルセットから神がかったとしかいいようがないハイトーンを披露。フロアからはたまらず“おぉー”という声が溢れる。それをエモーショナルな赤飯の声が包み込みこんでいったあと、ラスサビはそんなピコと赤飯が向かい合って、ヒリヒリするようなハーモニーを聴かせていったところは、まさに会場全体が2人の歌声と曲に酔いしれた瞬間だった。この後、じゃんけんをしてピコが舞台を去り、再度赤飯のソロステージへ。
1人になった赤飯が、ヘドバンについて「首からいくと首がもげるから、腰からいって」とレクチャーをしたあと、曲は「見習いハーデス」へ。ラウドなロックに合わせて、観客はさきほどのアドバイスを受け、上半身を折り曲げるようにしてヘドバンを決行。そこからoiコールの合いの手で、テンションをぶち上げていくフロアに、激しいスクリーモをこれでもかと轟かせて応戦する赤飯。サビではその声を一転させ、クリーンボイスを響かせ、間奏ではいきなり3連の変拍子が出てくるなど、緊張感がずっと続くこの楽曲で赤飯、バンド、フロアは三位一体となって激しく昇天。そのあとは、みんなが大好きな指ハート連発のポップソング「おにゃのこ きねんび」をかわいく踊って、ミドルテンポのロックなadoのカバー曲「逆光」をエモーショナルに歌い上げて赤飯はステージを後にした。
交代で舞台に現れたのはピコだ。胸にそっと手を当てながら、ピアノの伴奏で歌い出したのはピコ史上もっとも叙情的で悲しいバラード「海月の幽霊」だった。この曲ではセンチメンタルなメロディーを体にまとい、ふわりふわりとその場の空気に溶けていって、いまにも消えてしまいそうな聴き心地で、人々の心にそっと入り込んでいくような繊細な歌を披露したピコ。まだ歌の余韻で、涙を堪えているフロアに向けて「こんなにたくさん来てくれると思わなかったです」と感謝の気持ちを述べた後、まずは赤ピコを再スタートさせ、今後も活動していくことを伝えた。そうして“生きててよかった!”というライブのサブタイトルについて触れたときは、YouTubeの動画1本がみんなの背中を押すように、自分自身も何かに背中を押してもらって、勇気を出して一歩を踏み出し、日々生きていると打ち明けたピコ。そうして「次にやる曲は、過去は柩に納めて、一歩進もうという曲です」といって、最新アルバムの表題曲となった「赫ノ柩」をアクト。赤一色の照明に包まれながら放つピコの息を抜いた柔らかな歌唱に、会場全体が引き込まれていき、固唾を呑む。歌い終えたピコはそんな観客たちに優しい声で「これからの新しい未来、僕らと一緒に歩んでいきましょう」と語りかけた。
「よっしゃ! ウルっときちゃったね。しんみりしたあとは、ピコのカッコいいのいっちゃおっかな!」といってロックなキラーチューン「拝啓ドッペルゲンガー」でヘドバンの嵐を巻き起こしていっきにぶち上がる。そして「おいで、赤飯」とピコが赤飯を呼び込む。赤飯のステージを観ていたというピコは「“お前らペンライト仕舞え”って命令する歌い手、他におらんわ」と赤飯を讃えると、赤飯は赤ピコもソロも久しぶりすぎて「いま8割、残り2割はまだ実感がないわ」とここまでのライブの感想を告白。すると、突然フロアから「実感! 実感!」というコールが発生。観客のナイスプレイに「そんな煽り、聞いたことないわ」と大ウケする赤ピコの2人。「じゃあ実感しよっか」とピコが提案して、本編ラストは「magnet」。ミラーボールが回る中、手を繋いだ2人が向かい合い、抱きしめあいながらのデュエットソングに「気持ち悪っ」と自らツッコミながら、大はしゃぎ。そうして、ライブは和やかな雰囲気のまま本編は終了した。
すると、すぐさまノリノリの雰囲気で「実感」「実感」という前代未聞のアンコールを轟かせる観客たち(笑)。その声に呼ばれ、出てきたピコと赤飯が背中合わせで立った瞬間、観客から悲鳴が上がり、まずは「IMITATION BLACK」
」を歌唱。そのあと、2人の楽しい漫談を挟み、「実感」の掛け声で記念写真を撮り、最後は「生きてて」という2人のコールに「よかった!」と観客が合いの手を入れて「生きててよかった!」を一緒に大合唱。楽しいムードのなか、ライブはピコの「終わりっ!」という掛け声とともに終了した。
お楽しみに!
SET LIST
01. デビルじゃないもん
02. ACUTE
03. ダーリンダンス
04. ポルターガイスト
05. Make our days!!!
06. ロストワンの号哭
07. 骸Attack!!
08. 心臓デモクラシー
09. サンドリヨン
10. 見習いハーデス
11. おにゃのこ きねんび
12. 逆光
13. 海月の幽霊
14. 赫ノ柩
15. 拝啓ドッペルゲンガー
16. magnet
ENCORE
01. IMITATION BLACK
02. 生きててよかった!