2日目の武道館はシューティングライブであるため、館内の景色が一変していた。アリーナには客席の替わりに照明塔、床にもKマークのライトが設置されていた。下手側にはドローン操縦席も用意されていた。ステージのセンターからは、アリーナの後方まで花道がせりだしていた。大型クレーン2台を始め、数多くのカメラが準備され、ハンディカメラを持った撮影チームの人間も多数待機。なお、武道館に観客が入った状態でドローンが飛ぶのは、この日が初めてとのことだ。
「昨日に引き続き、笑顔の再会が果たせて感無量です。今日は新しい試みということで、ドローンがビュンビュン飛んだり、クレーンがバンバン来たりします。おもしろい試みだと思うので、ぜひ参加してください」との吉川の言葉もあった。2日目の武道館は鑑賞するだけでなく、参加するライブでもあったのだ。
2日目も吉川とバンドのメンバーは集中力あふれる見事なステージを展開した。セットリストは同じだが、歌も演奏も自在なので、どの曲も唯一無二。ステージの左右には大型LEDモニターがあり、リアルタイム映像が映し出される場面もあった。臨場感とスピード感あふれるドローン映像は斬新かつ画期的。“見どころ”がありすぎて、観るのに忙しいライブだ。
「タイトロープ・ダンサー」では浮遊していたドローンが吉川の手の平に載る場面もあった。ライブ空間をドローンが飛翔する光景は近未来的で、まるでSF映画を観ているかのようだ。「No Noサーキュレーション」では、ウエノが花道の先端まで出てきて、その後ろにEMMA、吉川、INORANの順で縦一列に並んで演奏を展開したのだが、その4人の股間をドローンが通過していくシーンがあった。ドローンによる撮影は吉川の発案とのこと。周囲から「無理です」と言われながらも、スタッフの創意と工夫を凝らし実現した経緯がある。未知のことに挑みたいという冒険心や遊び心によって実現した企画なのだ。
この日、飛翔したのはドローンだけではない。シンバルキックでも吉川は華麗な飛翔を披露。飛んで、蹴って、倒れて、そしてまた跳ね上がる。この動作だけで、会場内の全員を笑顔にしてしまう飛翔だ。最後のアンコールの前での吉川のこんな言葉も印象的だった。
「こんなこと(シンバルキック)、いつまでやるんだろうと思うけど、元気な間はやるんだろうね。きついけど、おもしろい。“なぜあんなものを蹴っているんだ?”と言われるけれど、パッションだね。情熱を傾けられるものがあればなんでもいいんだよ」
まさにパッションあふれる空間が出現した2日間だった。音楽への情熱、観客への愛と感謝、そして未知なる領域を突き進む冒険心と勇気。感動や熱狂とともに、ワクワクする瞬間がたくさんあった。この武道館公演の模様はWOWOWでの放映とDVD化が決定している。ワクワクは映像の中にもしっかり刻まれるに違いない。夏には、昨年好評だった『Guys and Dolls』の続編の開催も決定している。この企画も吉川の情熱から生まれたものだ。またしても、新たな景色を見せてくれるのだろう。パッションこそが困難を乗り越え、道を切り開く原動力であることを、スポットライトの中で揺れながら輝くシンバルがはっきりと示していた。
SET LIST
01. ソウル・ブレイド
02. ギムレットには早すぎる
03. にくまれそうなNEWフェイス
04. LA VIE EN ROSE
05. タイトロープ・ダンサー
06. ⾵が呼んでいる
07. One Side Liar
08. まだ愛のために
09. サイレント シンデレラ
10. Nobody's Perfect
11. BLOODY BLACK
12. ナイフ
13. GOOD SAVAGE
14. The Sliders
15. Lucky man
16. LOVIN' NOISE
17. SAMURAI ROCK
18. 恋をとめないで
19. No Noサーキュレーション
ENCORE
01. INNOCENT SKY
02. KISSに撃たれて眠りたい