家⼊レオ 8th Live Tour 2022 〜THE BEST〜
2022年11月18日(金) 中野サンプラザホール
デビュー10周年イヤー真っ只中の家入レオが、11月18日(金)に中野サンプラザにて、全国ツアー「家⼊レオ 8th Live Tour 2022 〜THE BEST〜」の最終公演を行った。
今年2月16日(水)にデビュー10周年を記念したベストアルバム『10th Anniversary Best』をリリースした家入は、2月20日(日)に東京ガーデンシアターでワンマンライブ「家入レオ 10th Anniversary Live at 東京ガーデンシアター」を開催。6月11日(土)〜12日(日)にかけては、大阪と東京で自身初のビルボードライブツアー「家入レオ Billboard Live ~10th Anniversary~」を行い、10月1日(土)からは全9公演に及ぶ、約3年ぶりとなる全国ツアー「家入レオ 8th Live Tour 2022 〜THE BEST〜」を開始。アニバーサリーイヤーに相応しく、これまでにリリースしたシングル曲全てを披露するスペシャルな内容となっており、最終公演のチケットは完売し、U-NEXTでの配信も行われた。
本公演は、アニバーサリーツアーではあるのだが、派手な装飾は1つもなく、迷いや悩みも一切感じることのない、潔いライブとなっていた。ステージ上にあるのはバンドセットと、ライティングによって見え方が変わる真っ白いロゴのみ。家入も全身白のパンツルックで登場し(配信で見てる方は目元のラインストーンが見えたかもしれない)、シンプルに音楽だけで勝負するという覚悟と、この10年間で得てきた確かな自信と数多くのステージを経験してきた貫禄が伝わってくるパフォーマンスを見せてくれた。
ライブは、バンドの勢いに満ち溢れたリズムから幕を開け、紗幕が降りると同時に家入が「楽しんでいきましょう! 手拍子―!!」と煽ると、満員の観客は総立ちで迎え、両手を掲げてクラップで呼応。キャリア初のドラマ主題歌で、自分らしさという輝きを自分の中に見つけた「Shine」、真っ白な自分を守る決意を込めた「純情」という、何色にも染まっていない自分自身を象徴するアップリフティングなポップロックナンバーを立て続けにパフォーマンスし、会場内の熱気はいきなり最高潮に高まっていた。
最初のMCでは、「幕が降りて、みんなの顔が見えた瞬間に、やばい、超いいライブになるって思いました。私自身、どんどん自分の気持ちを開放して、一人一人に届けていきますので、みんなもどんどんステージに気持ちをぶつけてください」と挨拶。月9ドラマの主題歌「太陽の女神」「もし君を許せたら」を含むメドレーでは、光と影、太陽と月、私とあなた、心と体というコントラストを多彩な声色と照明で表現し、「君に届け」ではタイトル通りに観客一人ひとりの胸にまっすぐに届けるように丁寧に歌唱。月9ドラマ「恋仲」の主題歌としてヒットした「君がくれた夏」は各地で異なる編成で演奏しており、この日は、家入のアコギと歌に、ドラムの玉田豊夢がボンゴ、バンマスである宗本康兵のキーボードというアコースティック編成に、ギター&コーラスの堀口知江がコーラスのみで参加し、美しく透き通ったハーモニーと清々しいアンサンブルを響かせた。さらに、大月文太のアコギ、西塚真吾の縦ベースが加わり、「10代の時に実際にバレンタインにあったことを書いた曲です。リハで歌ってる時にちょっと恥ずかしいと思ったけど、誰かを好きになった気持ちはいくつになっても忘れずにいたい」と語った「チョコレート」と、「藤原さくらちゃんと大原櫻子ちゃんと3人で歌うために書いた、私にしてはかわいい曲です」と解説した「恋のはじまり」では、ピンクのライトに照らされる中で、ロマンチックで甘酸っぱい微風を吹かせた。
20代になって最初のシングル曲で、曲が全く作れなくなった体験から生まれた「miss you」から始まる2つ目のメドレーからは、彼女が紡いできた歌の言葉にじっくりと耳を傾ける時間が設けられた。「それぞれの明日へ」「あおぞら」というエールソングでは、時に力いっぱいに背中を叩き、時に優しく寄り添い、高校卒業後に初めてリリースした「Message」では観客と一緒に会場に大きな虹を描きながら、ともに前に向かって歩いていく姿勢を提示。「ずっと、ふたりで」では光と影を内包した“君”への思いを切々と歌声で綴り、人の心の奥底にある、満たされたいけど決して満たされない渇望を掬い取った「Silly」では、急にステージ上に座り込んだと思いきや、すっと立ち上がり、抑え込んでいた感情を発露。誰もが胸に抱えている怒りや葛藤、孤独や不安、寂しさや悩みを代弁する歌い手としての魅力を存分に発揮してみせた。
「ライブでみんなと盛り上がりたいと思って作った」という夏の青春ソング「レモンソーダ」から再び会場の熱量が上がり、アニメ映画『コードギアス 復活のルルーシュ』のオープニング主題歌「この世界で」やテレビアニメ『メジャーセカンド』第2シリーズのオープニングテーマ「Answer」を含む3つ目のメドレーでは、幼少期を振り返りながらも新たな扉を開き、ギターソロを挟んだ「未完成」では、被りを振り、地団駄を踏み、嘲笑を浮かべながら、愛が執着へと変わっていく様をリアルに体現。ここで、「バンドメンバーもみんなもギアが上がってきたかな。ここからひと暴れしませんか?」と観客に呼びかけ、「10周年の節目に原点回帰したいと思って作った曲で、東京でどれだけぐちゃぐちゃになっても、私は音楽をやるという決意を刻みつけた」というロックナンバー「Pain」では、全身を使い、声を張り上げて絶唱。デビュー曲「サブリナ」はデビュー当時のようにジャンプしながら歌い、「Hello To The World」では観客が一体となって飛んだ瞬間に銀テープが発射。場内が眩い光で煌めく中で、家入は本ツアーを振り返り、「一人一人の思いが届いてました」と感謝の気持ちを伝え、「今回のツアーは来てくれたみんなが笑顔になってくれますようにというテーマでセットリストを考えました。喋るのは得意じゃないけど、みんなを思う気持ちだけはある。レオちゃんのライブ来たらイヤなことを忘れられるって言われるのは嬉しいんだけど、それを超えて、イヤなことももう1回頑張ってみようと思いましたって言われるように歌っていきたいな」と語った。「イヤなことに蓋をするのではなくて、そこに向き合って、笑顔に変えていけたらいいなと思ってます。一人で立ち向かうのが苦しい時は、次に歌う曲をお守り代わりにしてほしいです。次に会う日まで、みんな生きててね」と語りかけ、最後に川上洋平[Alexandros]が作曲し、脚本家の北川悦吏子が作詞を手がけた「空と青」を軽やかに舞うように歌いあげ、場内を温かく優しい空気と笑顔で満たして、ライブ本編を締めくくった。
アンコールにはデニムにショート丈のTシャツに着替えてステージに上がり、「メロディを聞いた時に小さい頃のことを思い出した」という新曲のR&Bナンバー「かわいい人」を初披露。この曲について「16歳で東京に来て、恥ずかしいこととか、落ち込んだこととか、いっぱいあった。失恋したこともあるし、楽しいこともあった。その時々で一生懸命だった私って、かわいいなって初めて思えて。10年経ってやっと、自分のことを抱きしめられた時に、周りで生きている人たちのこともハグできるようになった。<大丈夫>じゃなく、<かわいい>って言葉は、見守ってるよ、応援してるよ、あなたのこと大好きよ、という全部を内包してる気がしたの。皆さんのことを思いながら、自分のことを思いながら歌います」と語った。そしてここで、来年2月15日(水)に約4年ぶりとなるニューアルバム『Naked』のリリースを発表。「この数年間、すごく迷ってました。私は音楽をやっていていいのか。向いてないのかなと思ってて。でも、そういう気持ちと真正面から向き合って。めちゃくちゃきつかった。夜の底だなと思ったけど、やっぱり歌が好きで、みんなに会いたくて、頑張ろうと思って」と正直な気持ちを吐露。「すごい暗いところから光をもう1回求めるまでの曲が12曲できました。私がどういう4年間を過ごしたかが詰まった1枚になってます」とアピール。最後に、15歳の時に作った曲で、デビューシングルのカップリングに収録されていた「Say Goodbye」を披露。この10年間、常に内面を見つめ、歌との向き合い方を悩み続けてきた<私>ひとりではなく、<僕たち>みんなで一緒に未来に向かって歩いていきたいという願いを込めた「僕たちの未来」を晴れやかな表情で高らかに歌いあげ、「この数年、弱気になってたけど、今年は自分のハングリー精神が刺激される出会いがたくさんありました。今、音楽が楽しくなってるの。来年、再来年、グイグイいくからね!」と宣言。これまでの10年のキャリアを網羅し、これからの10年の第一歩を記したツアーの幕は閉じた。
SET LIST
01. Shine
02. 純情
03. メドレー:Spark〜太陽の女神〜Prime Numbers〜もし君を許せたら
04. 君に届け
05. 君がくれた夏
06. チョコレート
07. 恋のはじまり
08. メドレー:miss you〜それぞれの明日へ〜あおぞら〜Message
09. ずっと、ふたりで
10. Silly
11. レモンソーダ
12. メドレー:Answer〜Relax〜この世界で〜Bless You
13. 未完成
14. Pain
15. サブリナ
16. Hello To The World
17. 空と青
ENCORE
01. かわいい人
02. Say Goodbye
03. 僕たちの未来