女王蜂 全国ホールツアー2022-2023「MYSTERIOUS」
2022年11月6日(日) 市川市文化会館 大ホール
女王蜂が11月6日(日)、全国ホールツアー2022-2023「MYSTERIOUS」をスタートさせた。
初日の公演で女王蜂は、完璧にチューンナップされた演奏とパフォーマンス、すべての感情を濃密に混ぜ合わせ、爆発的に解放させるステージを繰り広げ、会場に足を運んだ観客(チケットはソールドアウト)を魅了した。
2021年2月に初の日本武道館公演(2days)を開催。その後も「KING BITCH」「犬姫」そして今年10/26にはニューシングル「MYSTERIOUS」(TVアニメ『後宮の鳥』オープニングテーマ)をリリースするなど、精力的な活動を続けてきた。またTVアニメ『チェンソーマン』エンディングテーマ「バイオレンス」も話題を集めている。
ライブにも積極的で、今年6月には対バンツアー「蜜蜂ナイト」(ゲスト/崎山蒼志、氣志團、ZOC、UNISON SQUARE GARDEN)を行い、夏フェスにも出演。常に変化と進化を続けていることもこのバンドの魅力だが、この日のライブでも「これぞ女王蜂!」「こんな女王蜂、初めて!」を同時に体感させてくれた。
まず印象的だったのは、バンドアンサンブルの密度の高さ。ヒリヒリとした緊張感をキープしながら、躍動感とカタルシスを放ちまくる演奏はまさに圧巻。“ツアー初日だから最初は様子見”みたいなことは微塵もなく、冒頭から完璧なクオリティを体現していた。
MCを挟まず、楽曲をシームレスにつなげながら壮大かつ深遠なストーリーを描き出す構成はこれまで通り。
また、新曲「MYSTERIOUS」も披露。スウィング感のあるアレンジ、流麗で濃密なメロディライン、そして<一番いい役をやりましょう>を中心にした、この世界で生きることの本質を射抜くような歌詞。TVアニメ『後宮の鳥』のストーリーやメッセージを自らの表現として血肉化した女王蜂の最新楽曲は、ステージの上でも美しく律動していた。ビートの強さに頼るのではなく、“詩”としての美しい韻律が軸になっていたことも新鮮だった。
すべての中心を担っているのはもちろん、アヴちゃんの存在、歌、パフォーマンスだ。指先まで神経が行き届いた繊細な所作、会場全体を一瞬で掌握するカリスマ性はもちろんだが、悲しさや痛みを真正面か見据えながら、生そのものを肯定するようなボーカルはやはり強烈。映画「犬王」での演技も話題を集めたアヴちゃんだが、その真価が発揮されるのはやはりステージの上。シアトリカルな要素を取り入れた演出にもぜひ注目してほしい。
もう一つ記しておきたいのは、ファンの振る舞い。好きなようにドレスアップし、ジュリ扇を振りながら踊りながらも、声援禁止のルールをしっかり守る姿は本当に愛おしかった。
ライブの終盤、アヴちゃんは観客にこんなふうに語り掛けた。
「全国ホールツアー2022-2023『MYSTERIOUS』、初日が開きました。お越しくださり、ありがとうございます。女王蜂、3年ぶりにアルバムを出します。タイトルは『十二次元』。私はこのアルバムを10年近く準備してきました。こうしてホールツアーを回ることができて、こんなに素敵な方々に遊びに来てもらえて、アルバムを出せることを心から嬉しく思います」
さらに2023年3月2日に単独公演「バイオレンス」(東京ガーデンシアター)を開催することを発表。「ぜひ踊りに来てください!」とすると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。
市川市民文化会館からはじまった全国ホールツアー2022-2023『MYSTERIOUS』は来年2月19日(トークネットホール仙台)まで続く。この日、アヴちゃん自身から発表された通り、2023年2月1日には『BL』(2020年2月)以来、約3年ぶりとなるオリジナルアルバム『十二次元』をリリース。そして、3月2日に東京ガーデンシアターで単独公演『バイオレンス」が開催される。前述した通り、新たな進化の過程にある女王蜂。全国ホールツアー、ニューアルバム、単独公演とつながる今後のアクションをぜひ、多くの音楽ファンと共有したいと思う。