ASH DA HERO presents "GACHINKO" ASH DA HERO vs a flood of circle
ゲストアクト:MAKE MY DAY
2022年02月24日(木)Spotify O-EAST
ソロとして活動してきたASH DA HEROが、2021年9月のZepp Tokyoでのワンマン・ライブでソロプロジェクトを完結させ、5人編成の新ロック・バンド“ASH DA HERO”として始動することを発表した。バンドになったからこそ実現させたいことのひとつとして、以前から口にしていたのが対バン・ライブ。その第一弾となるASH DA HERO主催ツーマン<ASH DA HERO presents"GACHINKO" ASH DA HERO vs a flood of circle>が、2月24日(木)、渋谷Spotify O-EASTで行なわれた。
まずゲスト・アクトとして登場したのは、国内外で活動する東京のメタルコア・バンド、MAKE MY DAY。バンドにとってこの日は、ドラマーがメンバー・チェンジ後の初のステージとあって、相当な気合いの入りっぷり。1曲目「Mind Haven」から殺戮のギター・リフに、人間ワザとは思えぬマシーナリーなリズムを組み合わせ、ツイン・ヴォーカル体制でシャウトやスクリームをたたみ掛ける。さらにフックある美麗なメロディまで決める。Julian(G,Vo)はHYDEのソロ・プロジェクトでギタリストを務めていたことでも知られているが、そのJulianも含め、メンバー全員のテクニカルなプレイも圧倒的。わずか20分の持ち時間ながら強烈なインパクトと共に灼熱のライブを作り上げた。
赤と青のライトで彩られたロックンロールの雰囲気たっぷりなステージに現れたのはa flood of circle。赤い革ジャン姿の佐々木亮介(Vo,G)は、手にした缶ビールを一口あおり、バンド・サウンドが炸裂すると同時にグレッチをかき鳴らし、「オウ、イェー! おはようございます!!」と覚醒のスイッチをONへと切り替えた。それを合図に始まった「Beast Mode」。躍動感あるロックンロールと鋭利なヴォーカルが炸裂しまくる。メンバー・チェンジなど紆余曲折もあったが、止まることなく転がり続け、今年で結成から16年目に突入したa flood of circle。音の一発ずつ、歌詞の一言ずつが説得力の塊だ。“牙剥け”や“絶望を超えて必ず辿り着け”など全ての言葉がポジティヴに響く。
「こんぐらいの広さならマイクなくても聴こえるね」とコードを鳴らしながら佐々木が歌い始めたのは「白状」。ファン投票の結果、MVが制作されることが決まった曲であり、つい先日、完成したMVが公開になったばかり。ヒリヒリとした歌声で生きる理由を歌ったナンバーだ。曲に浸り、魂をわし掴みにされるオーディエンスの姿が会場に広がった。
「ASH君って、かわいくないっすか? この間、初めて会って。今日、パーティだと思って来てるんですけど、知らない人がパーティ呼んでくれたなって。嬉しいじゃん。それでやる前にしゃべりましょうって会ったんですけど、かわいいですね。GACHINKOって言われちゃったんで、“覚悟しとけよ!”って感じですよね。でも胸ぐら掴みつつ、“よし、よし”(頭をなでる仕草)みたいな不思議な気持ちで来てるんですけど(笑)」
笑顔で「Are You Ready to Rock'n'Roll!」と叫びながらライブは後半へ。ロックンロールを軸にしながら多様なセンスを飲み込んだ曲の数々。くたばるんじゃない、と気合いを入れてくれる歌やメッセージ。a flood of circle浴びるにつれ生き生きとした表情になっていくオーディエンスばかりだ。そして今日の出会いに感謝するようにa flood of circleがラストに決めたのは「I LOVE YOU」。佐々木は缶ビールをボトルネック代わりに弾くわ、両ひざをついてギターをかき鳴らすわ、テンションも爆上がり。その熱いロックンロール・ステージは、当然、ASH DA HEROの5人を覚醒させたはず。
そして流れ始めたのはSE「Super Dinosaur」。ステージに勢いよく飛び出したのはWANI(Ds)、Dhalsim(DJ)、Narukaze(G)、Sato(B)の4人。それぞれオーディエンスを煽りながらスタンバイすると、そのまま「Super Dinosaur」をバンド・サウンドで轟かせた。直後、「Are You Fxxkin' Ready,SHIBUYA!! ロックンロールしようぜ!」とASHが力の限り叫んだ。
その言葉から始まったのは「からっぽの街」。ソロ時代からファンに愛されている曲のひとつだ。しかし今、この曲に命を吹き込んでいるのはロック・バンドになったASH DA HERO。同じ曲でありながら同じではない。なぜならASHにとって、ここはもう、からっぽの街ではない。ソロとして活動してきたものの、いつかまたバンドをやりたいと願っていたASH。この街で最高の仲間達と出会い、そしてバンドのメンバーとして共に歩んでいくことになった。寂しさやあきらめに似た気持ちを描く「からっぽの街」だったが、今、鳴らしているその曲の奥には力強さが宿っている。
さらに続くのはASH DA HEROがロック・バンドになってから初めて作った「Avengers」。ロカビリー・テイストもたっぷり含んだ曲で、オーディエンスから自然に起こるハンドクラップがご機嫌に曲を彩る。そのハンドクラップはメンバーも刺激。それぞれが激しいライブ・パフォームで主張しながら、オーディエンスを煽ったり、オーディエンスとアイコンタクトを決めたりと、生のライブならではの熱いコミュニケーションを巻き起こす。そこからラップも飲み込んだ「DAIDARA」をロック・バンドらしくド派手に決めると、会場に渦巻くのはとんでもない熱さと一体感。
メンバーそれぞれが音楽的なキャリアを持った5人で結成されたASH DA HERO。互いの個性を尊重することも当然あるとは思うが、ステージではメンバー同士がいい意味でガチンコの関係のように見える。互いに食ってやろうぐらいに。その気持ちが折り重なったとき、得体のしれない勢いが生まれるもの。さらに闘う相手を見つけたとき、えげつないパワーも湧き上がるものだ。今、まさにASH DA HEROはそれを身に着け始めている。
「ガキの頃にパンクロックに蹴り飛ばされた気持ちを、俺、このコロナ禍になって思い出して。俺を蹴り飛ばしてくれたパンクロックみたいに、みんなが沈んじゃうような気持ちのときに、カーンと蹴り飛ばして、さあ、前を向いていこうぜって。そんなイベントできないかなと思って主催したのが、このGACHINKOです。カッコいいバンドしか出てません、凄いライブやるバンドしか出てません。俺達、ASH DA HEROは結成して、まだ半年しか経ってません。初めての対バンライブです。新人バンドのつもりで全力でいきます。みんな、今日、何しに来たんだ。遊びに来たんだろ! オマエに言ってるんだ!!」
一人残らずガチンコを仕掛けるのがASH DA HERO流だ。そこからa flood of circleの佐々木を呼び込んで始めたのがオフスプリングの「Want You Bad」。二人が初めて会って話したのはライブ数週間前のことだが、前からa flood of circleはASHにとって憧れの存在だった。その佐々木と、ガキの頃に自分を蹴り飛ばしてくれたオフスプリングの曲を一緒に歌うという幸せ。缶ビール片手に歌う佐々木に「酒臭いよ〜」と文句を言いながらも、ついついこぼれてしまうのは笑顔だった。
その後はASH DA HEROがロックバンドになってから作った新曲を主軸にして展開。タイトに引き締まったバンド・サウンドを轟かせながら、メンバーそれぞれが火花を散らし合うようなアレンジもあれば、厚みあるアンサンブルでバンドとしての強さを発揮する場面も。バンドとしてまだまだ始まったばかりながら様々な側面も見せつける。そして今回のGACHINKO第一弾はもちろん、3月の第二弾、4月の第三弾と対バン相手は強敵揃い。そうしたライブを通してバンドとしてどう磨きを掛けていくのか。ASH DA HEROへの期待は高まっていくばかりだ。
“GACHINKO” ASH DA HERO vs a flood of circle楽曲プレイリスト
※Spotifyは、Internet Explorerではご利用頂けません。他ブラウザにてご覧くださいませ。
ご利用可能な環境についてはこちら