Nicori Light Tours LIVE TOUR 2021 Trigger
2021年12月3日(金)Shibuya WWW X
※1部/2部あり(レポートは2部)
Janne Da Arcの元メンバーyou(Gt)とkiyo(Key)、そして2人の男性ボーカル、ɑyumu(Vo)、ko-hei(Vo)を加えた4人で結成されたNicori Light Tours(ニコリライトツアーズ)。
8月のデビューシングル「蜃気楼Girl/コマンド疑似恋愛」に続き、10月13日には1st EP「Trigger」をリリース。このEPを引っ提げたツアー「LIVE TOUR 2021 Trigger」も、ついに12月3日にファイナルを迎えた。今回のツアーは1部と2部に分かれた2公演制で行われていたが、東京・渋谷WWW Xでの2部の模様をレポートしよう。
SEとともに4人がステージに登場すると、切ないメロディのミディアムナンバー「コマンド疑似恋愛」で1曲目がスタート。冒頭からパワフルな歌声のɑyumu、伸びやかな歌声のko-heiというタイプの異なるボーカルで魅了する。2人のキャラクターがそれぞれしっかりと確立しているため、歌詞に描かれた男女関係のジレンマを中心とした楽曲の世界観がダイレクトに迫ってくる。
続いて「Trigger」に収録されていたシャッフル調の「砂漠の果実」を披露し、一気に会場の熱気を上昇させ、アッパーな「蜃気楼Girl」でさらに盛り上げていく。コロナ禍の感染対策で観客も声を出せない中、拳を振り上げたりジャンプを繰り返し、ファンも大きなリアクションで応える。
「渋谷のみなさん、そして配信をご覧のみなさん、盛り上がってますか?今日は本当にファイナル、悔いのないよう盛り上がっていきましょう!」(ko-hei)
「ファイナル来ちゃったね、(終わるのが)嫌やったけど(笑)」(ɑyumu)
と、目の前の観客だけでなく、配信でライブを観戦しているファンをも煽ると、ここからは新曲が続く。2人のハモリが冴える「Re Do」、たたみかけるようなビートでライブ映えする「パラサイター」、ko-heiのラップで始まり、ɑyumuがハイトーンでキャッチーなサビを歌い上げる「ごじゅうおんの終着。」といった、多彩な楽曲が並ぶ。
いったん全員が引き上げると、会場の換気タイムに入り、youとkiyoによるフリートークのコーナーに突入。笑いの絶えない、くだけた雰囲気で会場を沸かせた。
そして、今度はインストコーナーに。youとkiyoが華麗なフレージングで速弾きの応酬を聴かせる「Space Coaster」で、テクニカルなソロが派手に響き渡る。続くもうひとつのインスト曲はヘヴィなリズムとリフで突き進む「J child vision」。こういった、インストだけで惹きつける見せ方・聴かせ方ができるのも彼らならではの強みだ。
ボーカル2人が戻り、新曲「Candy Crime」をファイナルとなった東京公演で初披露。攻撃的でハードなサウンドに乗せ、ボーカル2人が交互に歌うことでいっそう迫力が増していた。
そんな熱気をいったんクールダウンするように、バラードゾーンに入っていく。今回のツアーではボーカル2人の書いた歌詞の曲も組み込まれてきた。ko-heiの書いた曲を昼公演、ɑyumuの書いた曲を夜公演というふうに振り分けていたが、今回はファイナルということで両者の楽曲をピックアップ。
ko-hei作詞の「東京」は、上京して8年、苦悩を抱えながらも夢を諦めることなく活動を続けてきた彼自身を投影した内容だ。静かに始まりながらも、2人の歌声がドラマチックに会場に届く。切々と歌う2人の姿が美しいシルエットとして浮かび、kiyoの繊細なフレーズ、youのメロディアスなソロが絶妙にマッチしていた。
ɑyumu作詞の「薄明」は女性目線で書かれた歌詞が印象的な曲。彼もまた8年、上京して苦労しながら活動してきたが、その葛藤や想いを、夢と恋のはざまで揺れ動く女性の心情に託した。
「うまくいかない現状を誰かのせいにしてしまったり、そうやって8年間活動してきたんですけど。そういうネガティブな自分の感情を主人公の女性に照らし合わせて書きました」(ɑyumu)
そして、極めつけに温かいバラード「white margaret」は、きらめくような2人の声がメロディをどこまでも膨らませ、曲の表情をこれ以上ないほどに幸せなものにしていた。
「ツアーを回れて感謝してます。僕たちのバンドは普通のバントとは(編成や年齢差等が)違いますが、大阪城ホールでワンマンライブをするという目標があります。これは絶対実現させたいと思っているので、それまでみなさん、応援よろしくお願いします」(ko-hei)
バンドの決意を語った後、ここからラストに向けて、さらにライブの熱気を高めていく。ko-heiとɑyumuが掛け合いのように歌っていく「サイハテ」では何度も観客を煽り、間奏ではko-heiのラップが鋭く突き刺さる。
そして、観客のタオル回しで会場の一体感がさらにアップした「The Brand New World Destiny」で、ライブの興奮もピークに達する。最後にもう一度、「蜃気楼girl」を高まった熱量と共に会場に刻み付け、ステージを去るメンバー。アンコールでも再び「砂漠の果実」「蜃気楼Girl」を取り上げ、この日を締めくくった。
激しい曲では徹底的に攻めの姿勢で臨み、静かなバラードではひたすら滑らかで甘美なボーカルを聴かせる2人。そして、様々な音楽性の引き出しと抜きん出たテクニックでサウンドの要となるyouとkiyo。4人のこれからの可能性と魅力をしっかりと感じさせたライブだった。
12月23日には配信によるクリスマス・ライブ「NicoriクリスマスEVE EVE配信Party&Live」も決定。こちらも2部に分かれていて、1部は一般ライブ、2部はファンクラブ会員限定ライブとなっている。
「Trigger」は引き金、序章という意味。このタイトルが象徴するように、Nicori Light Toursの最初の一歩、序章のライブとして意義のあるスタートを切ったといえるだろう。ツインボーカルを武器に、新たなスタイルで走り始めた彼らの今後が楽しみだ。
SET LIST
01. コマンド疑似恋愛
02. 砂漠の果実
03. 蜃気楼Girl
04. Re Do
05. パラサイター
06. ごじゅうおんの終着。
07. Space Coaster(インスト曲)
08. J child vision(インスト曲)
09. Candy Crime(新曲)
10. 東京
11. 薄明
12. white margaret
13. サイハテ
14. The Brand New World Destiny
15. 蜃気楼Girl
ENCORE
01. 砂漠の果実
02. 蜃気楼Girl
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