──あと、そうそう、聞きたかったのは、今回は2年前に名古屋から東京に出てきてから作った曲ばかりでしょう。
GENそうです。東京に出てきてから初めてのアルバムですね。アルバムのテーマとしてそういうことも考えたんですけど、ある種そこに逆行するようなものになったというか…東京に来てからいろんな音楽に触れるし、名古屋以上に流行に敏感な街で早いものにすごく敏感な人が多いからこそ、流行を追っちゃダメだなと。アーティストが流行を追って、新しい要素として「次はこういうものを入れよう」とか、やる時があるじゃないですか。そういうことを絶対にしないでおこうと思いました。
──うんうん。なるほど。
GENそれをしたら終わり、とは言わないけど、ここまで来たからこそ、時代や社会の空気を読まずにやることが正解だと思えるようになったんですね。
──頼もしい。強い。
GENロックというもの自体、古典になりつつある気がするんです。だからこそ、これぐらいの音数のバンドサウンドを貫くことが、結果一番かっこいいのかなと思ってます。あと前作『eureka』だったら「次は武道館だ！」とか、その前の『CAVU』の時は「次はメジャーだ！」とか、広げようとした意識がすごくあったんですけど、今はもうそういうものにとらわれず、自分たちから自然に出てくるものを自信を持って出すのが正解かなと思います。そのほうが潔いと思うので。
──自然体というのは、歌詞にも思いますね。僕が一番好きなのは6曲目「Password」の、「喜びも苦しいし、悲しみも楽しい、嗚呼」というフレーズなんです。
GEN「Password」は一番、今の状況だから歌ってることかもしれないですね。
──何も否定しないで飲み込んで行く決意、グッときましたね。
GEN今こうやって音楽で食えてる状況は、めちゃくちゃ幸せなんですけど、だからこその責任感やプレッシャーは増すばかりなので。楽しいと悲しいは表裏一体というか、何事も全部そうだと思うんですけど。例えば恋愛も、好きになったらなったぶんだけ、すごい不安なことも起きますし、でもそれを味わいたいし。
──このフレーズ、すごく素直でいいなと思います。
GENありがとうございます。わかりやすくて、恥ずかしかったんですけど。
──そしてアルバムタイトルが『SOIL』。土壌、土ですか。いいですね、どっしりとした、あったかい、豊かな感じで。
GENはじめ『HARVEST』というタイトルも考えたんですけど、それって「俺たちここまできました」ってふんぞり返ってる感じがしちゃうので、今までの全部を乗り越えて、それが咲いて実になってるというよりは、土として栄養として取り込まれて、「さあ、これから何が生まれるんだろう」というイメージにしました。それで最後の曲が「Squall」で、雨が降って、新しい何かが生まれたり、雨がやんだあとに地盤が固くなったり、それを何回も繰り返してここまできた感覚を表せたと思います。
──ツアーが楽しみです。どうなりそうですか。
HIROKAZライブハウスツアー自体がすごい久しぶりなので。最近はフェスに出て、家に帰ってという感じですけど、今回はちゃんと出っぱなしというか。狭いハコで汗だくになって、ライブハウスバンドとしてまた鍛え直せると思うし、やっぱりお客さんと距離が近いとテンション上がるんで、楽しみですね。フェスとかだと、うしろの方まではよくは見えないですけど、ライブハウスは全部見えるんで。届き方がダイレクトになると思います。
RYU-TAまず一発目の千葉LOOKでちゃんとやりたいですね。
GENちゃんとやったほうがいいよ（笑）
RYU-TAライブハウスは距離が近いし、楽しみたいと思います。
KOUHEIライブハウスだから、顔をビジョン映像で抜かれないのがうれしいです(笑)。あとは、うしろのほうだとドラムがちゃんと見えないこともあるから、モーションよりも音にこだわって、音はどこでも聴こえるから、キャパシティに応じたパフォーマンスの仕方を見直せるきっかけにもなると思って、すごく楽しみにしてます。フェスに出るようになって、見せ方が変わってきたので、今度はまたライブハウスの至近距離でどう見せられるのか。自分の成長を感じたいし、感じさせたいと思います。
──アルバム曲、楽しくできそうですか。
KOUHEIそうですね、でもコーラス多すぎてどうなるかな（笑）
GEN今回、コーラス入れすぎました（笑）。普段はもっと、引いていくんですけど。
KOUHEIでも、どれも必要なんですよ。気持ちいいなと思うんですけど、叩きながら歌うのは難しいので。できるところはやりつつ、難しいところはRYU-TAとHIROKAZに振ろうと思ってます（笑）
──最後、みなさんへメッセージを。
GEN10周年で、でかいところでもやらせてもらったんですけど、ライブハウスもしっかりやらないと。アリーナもライブハウスも、どっちもやっちゃう俺らってかっこいいんじゃない？という感じも見せたいし、ライブハウスから飛び出してたバンドが、アリーナを経てまたライブハウスをやるのって、ライブハウスを盛り上げることにつながると思うんです。あとは久しぶりに回るハコが多いので、僕たちが何者でもない時から見てくれてた店長たちに、今の状態の僕たちを見せてどう言ってくれるのか、答え合わせみたいなツアーになりそうですね。『SOIL』が、本当にライブハウス向きの作品になったと思うので、この楽曲たちがどういうふうに育っていって、ツアーが終わる頃にはどういう解釈になっているのかも楽しみです。とにかく、久しぶりにいろんなところに行けるのが楽しみですね。ツアーは、人に会いに行くものだと思うので。
■04 Limited Sazabys「Milestone」（Official Music Video）
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