──移籍第一弾となる通算4枚目のアルバム『Revenant』について訊いていけたらと。まず、最初に私のお気に入りだった曲を宣言させてもらってもいいかな?
EYE(Vo)
あははは。どうぞどうぞ(笑)。どれが好きだったんですか(笑)?
──5曲目の「On the Rocks」。ルーズなオールドロックというか。こんなMary's Bloodを見たことがなかったというか。本当に、始まった瞬間"ん?"って思って止まって、ヤバイ!めっちゃカッコイイ!って上がったというか。
SAKI(Gt)
嬉しい(笑)
MARI(Dr)
嬉しいです!初めての試みだったんです。
EYE
背伸びしました(笑)
──こんなにも泥臭い歌い方のEYEちゃんのボーカルは聴いたことがなかったというか。最高にカッコイイMary's Bloodの別の一面を見た気がして。
MARI
そうなんですよね。すごく違った一面を魅せた1曲だと思うし、EYEちゃんもまったく違う歌い方ではあるんですけど、不思議とEYEちゃんが歌うと、どんな曲もMary's Bloodになるんだなって確信したんです。
RIO(Ba)
でもこの曲、最初は入れない予定だったんです。入れる必要があるのかな?って思ったというか。ウチら、こういう曲やるの?って思ったというか。
EYE
まぁたしかにね。あっていいのかな?こういう曲。って思ったりはしたよね。
MARI
本当にやったことがなかった曲調でしたからね。
RIO
でも結果、いい化学反応が起こったし、良かったんじゃないかなって思ってる。
──そうだったの?すごくカッコ良かったよ。SAKIちゃん的にはどう?自分のギタールーツの中には、「On the Rocks」みたいな曲って?
SAKI
もともとクラシックロックは聴いてはいたんですけど、Mary's Bloodでやるとなると、どういう感じになるのかな?っていう不安はありましたね。でも、プロデューサーの岡野ハジメさんに勧められて作ってみたんですけど、出来上がってみて、あ、こんなにハマるんだなって感じました。
MARI
最初、こういう曲に挑戦しようっていうのは、やっぱりアルバムを作る上で、そういう曲もあったら面白いのかもっていう発想からではありましたね。
──自分達からは、なかなかそういう考えには、行き着かなかったっていうことだよね。
MARI
そうですね。でも、やるのであれば、ただただ古き良きものをやってみようっていうことではなく、今のMary's Bloodで、クラシックなロックをやってみたら新しいんじゃないかな、っていう挑戦でした。
──なるほど。そういう意味では、今回の作品は様々な挑戦が詰め込まれている1枚でもあったりするの?
EYE
そうですね、自分たち的には、移籍第一弾ということもあって、"すげぇアルバム作ってやろうぜ!"っていう意気込みがあって。アルバムを作ることになったとき、徳間(現所属レコード会社)の方に岡野さんを紹介して頂いて、一緒に作り上げていったんです。垢抜けたいっていう思いが強くありましたね。シーンの中で突き抜けるようなアルバムを作りたいって。結果、自分たち的にも満足のいく作品が出来上がったなと思ってます。
RIO
もともとあった曲も中にはあるし、ライヴでやっていた曲もあるんですよ。
EYE
このアルバムを作る前に、"ライヴでこういう曲やりたいよね"って、「It's Alright」とか「Believe Me」とかを作ってライヴでやっていて、アルバム制作の話が上がった後に全国ツアーをやっていたりもしたんですけど、そのツアーで「R.I.P.」を初披露したりもしてたんです。そんな中で、"アルバムの始まりと終わりはこんな曲がいいね"とか、だんだん具体的な話が出る様になって。そこからいろいろと曲を作り上げて、バランスを取っていった感じでしたね。
──なるほど。「On the Rocks」「Rolling Start」の流れは本当に新たな風を感じたんだよね。「Rolling Start」は、「On the Rocks」とはまったく違った印象で、かなり開けるというか。アメリカの風を感じたハードロックだったというか。
EYE
あははは。そうですね、外国人になった気分で(笑)
──岡野さんというプロデューサーさんが自分たちの音に加わったからこその、化学反応とか手応えは感じている?
EYE
そうですね。自分たちが思っていた新しいものよりも、先の未来を見ている感じがしたというか。自分たちだけの視野では見られなかったものが見える様になったというか。「On the Rocks」とかも、きっとただやっただけだと、古さだけが際立ってしまっていたと思うんですけど、打ち込みのビートがうっすらと入っていたり、音質は敢えてクリアになっていたりすることで、新しい印象に変化しているというか。ミドルあたりの音を上げると、一気に古くさくなると思うんだけど、完全に分離させて奥行きを出しているからすごく新しく変化しているんですよね。一周回って、これがまた流行るんじゃないかな?って感じたというか。今の時代って、綺麗に作る風潮があると思うんですけど、今回敢えて歌は最初のテイクだったりするんです。
──え!?最初のテイク!?そうなの!?
EYE
そうなんですよ。これはね、今、自慢してまわってるんですけどね(笑)
──それは驚きだね。ここまで違う歌い方へのチャレンジは、相当時間かかっただろうなって思っていたからビックリ!
EYE
私も実際に歌うまでは、すごく時間かかるだろうなって思ってましたけどね。でも、思い切って歌ったんです。ジャニス・ジョプリンになりたくて。
──あぁ!あぁ、納得!まさに、そんなイメージだなって思ったの!
EYE
嬉しいです!ジャニス・ジョプリンになりきって歌ってみたら、岡野さんにも"いいね!"って言われて。ハモリも入れる必要ないって。とにかくシンプルにシンプルに作っていったんです。本当に最初に録ったテイクをそのまま使ったんですよ。タイトルを叫ぶところは、お客さんとライヴで一緒に叫べたらなと思って声を重ねているので、そこは是非、一緒に歌ってもらいたいですね。
──素晴らしいね。
SAKI
最初にEYEちゃんの歌が乗った状態でスタジオで合わせたときから、カッコイイなって思ったんです。曲を作った段階のデモでは、鍵盤の音で歌メロを入れていくので、どうなるかな?って思ってたんですけど、EYEちゃんは本当にいろんな歌い方が出来るので、この曲もハマったなって思いますね。すごくいいなって。
MARI
打ち込みの状態のデモから、EYEちゃんが歌ったことで、曲に命が吹き込まれた感じというか。お〜、命が宿った!って感じがしましたね。
RIO
本当にSAKIちゃんが言うように、最初にスタジオで合わせたときからカッコイイなって思いましたからね。この曲聴いてると、聴いてるこっちまでコブシが入るというか。顔で歌ってる感じというか。すごく気分が引き込まれる感じがするんですよね。最初は、"え〜。こういう曲やるの〜"って感じだったんですけど、私、今ではこの曲めちゃくちゃ好きですからね。
──なるほどね(笑)。「It's Alright」の声質にもちょっと変化を感じたというか。
EYE
これはね、パリピ(パーティーピーポー=クラブやパーティーイベントで騒ぐ人たちを指す言葉)を目指したんですけど、自分がまったくパリピではないので、ちょっと苦労しましたけどね(笑)