インタビュー/宮本英夫
──このジャケット写真(配信シングル『思うんです。』)、最高なんですけど。
ずるいって言われますね(笑)。アルバム『太陽』の時に撮ってあったもので、ちょうどいいかなと思ってここで使いました。
──この子はWATARUさんの愛犬の…。
チビです。ライブにも出したりするし、ファンの人たちもよく知ってくれてるんですよ。
──WATARUさん、父親の顔ですよ。そして新曲「思うんです。」。今回はめっちゃいい曲です。
今回は、ですか(笑)
──もちろん今までもいい曲ですけど(笑)
先日、鹿児島に行ってラジオに出たんですけど、DJの方に「今回の曲は本当に最高ですね!」と言われて、「今回の曲は、ですか?」って突っ込んだら「いやいやいや!」って超テンパってて。
──悪い男だ(笑)。でも今回の曲はストーリーがあるし、長い時間が詰まっているし。これまでのラブソングとは思いの深さが違う気がします。どういうきっかけで作った曲ですか。
正直な話をすれば、かつて傷つけてしまった女性のことを歌った歌です。21,22歳ぐらいの時に書き始めて、二番の“うまく行かねぇ時は一人ちょー泣いて”って、本当はここで終わってたんですよ。それを新しくするために言葉を足していって、これでストーリーが全部完結したかなという感じです。今は離れてしまったけど、“苦しくて悲しい時も俺はお前のそばにいてやれる”という気持ちは嘘じゃないし、ただ本当にお前のことを大切に思っているよという曲なのかなという気がしますね。現在進行形の手紙みたいなものなのかな。
──自分の今の思いを伝える曲だから、「思うんです。」。
この曲は僕にとって、ものすごくせつないです。傷つけてしまった彼女が、一番好きな曲だったんですよ。そこから歌詞が変わってるんで、今聴いたらどういうふうに思うかわからないですけど。ちなみに“問い合わせた何回もセンターに”というのは、ガラケーの時代に「センター問い合わせ」ってあったの覚えてます?好きな女の子とメールのやりとりをしてる時に、送ったのに返事が来ないと、毎回センター問い合わせをしてたんで。懐かしいなという思いもあって、ここは絶対残したいなと思いました。まだスマホがなかった時代のこともわかると思ったし。
──そんな深い思いを込めた歌詞を、軽やかなレゲエに乗せて聴かせるところがWATARUさんらしい。
今回からというわけでもないですけど、自分がどういう音楽性でいるのか、もっとわかりやすくできたらいいなと思っていて。歌もののレゲエを今後もやっていきたいと思って、これを出すことにしました。四つ打ちも好きなんですけど、リスナーの人からすると「WATARUはどのジャンルなんだろう?」というのがあったっぽくて。オールジャンルで、「自分が出す音楽は全部WATARUミュージックだよ」と思ってるんですけど、そのへんをもうちょい統一できればいいなと思っているんですよね。
──前作の『太陽』というアルバムが、すごくバラエティに富んでいたのとはまた違う方向で。
そうですね。『太陽』というアルバムは長い年月をかけて、10年ぐらい音楽をやってきてたまったものをアルバムにしたので、ああいうふうになったんですけど。今は歌ものレゲエをしっかりやっていきたいと思ってます。確かに今回の「思うんです。」は、「すごくいいです」「神曲です”」とう反応が今までより多いんですよ。最近はレゲエのイベントにもちょくちょく出させてもらっていて、ちょうどいいタイミングでこの音とメロディが伝わってくれてるのかなという気がしますね。
──この曲はライブではもう歌っている?
いや、ライブ配信で軽く歌ったことがあるくらいで、ライブではまだ一回も歌ってないですね。12月3日のワンマンで初披露しようかなと思ってるんですけど、その前にやってもいいかなとか、今考えてるところです。最近ようやく、ちゃんと歌を歌うということができるようになってきたんで。
──というと?
今年の夏はいろいろ動かさせてもらって、7月、8月は20本ちょっとライブがあって、フェスにも出させてもらったんですけど。フェス/イベントは自分のことを知らない人を惹きつけてなんぼだと思っていて、カマしてやろうと思って、30分の枠があったらだいたい5曲ぐらい歌えるのに、3曲ぐらいしか歌わない。あとはフリースタイルで、みんなに手を挙げさせて、「こっち来い!」って煽って、コール&レスポンスして、ほとんど歌わないでクソ盛り上げて帰るだけみたいな(笑)。今年の夏はそういうふうに、バンドのメンバーと一緒に「俺らにしかできないことをやろうぜ!」って、ケンカを売るみたいな雰囲気で乗り込んで行ったんで。それを終えてみて今になって、次はちゃんと歌を届けたいなという思考に変わってきたんですよ。
──ああー。なるほど。
最近は30分で5曲とか、ちゃんと歌うようにしてるんですけど、そうするとバンドメンバーもいい顔をしてて、ちゃんと演奏できてよかったみたいな(笑)。30分の中でも流れを作れるようになってきたんで、「思うんです。」みたいな曲も入れていいかなと思ってるんですね。
生音でのライブの手応え
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