インタビュー/田中 サユカ
Photo/村上 龍介
一般的に“[NOiD]”と言えば、渋谷を代表するロックバンドレーベルというイメージだろうか。しかしルーツは、渋谷eggmanを中心に開催、カリスマ的な存在感を放つ対バンイベントで、その影響力は新木場スタジオコーストにまで拡大したほどであった。[NOiD]という対バンイベントが 何故にこれほどまでに力を持っていたのか…これについては幾つかの要因が考えられるが、ロック以外のジャンルを問わなかったことが一つ、あげられるのだろう。出演バンドにとってのジャンルレスイベントとは、バンドの力量が露呈してしまう手強い場所だ。そのために多くのバンドが苦戦を強いられたのだが、それを克服したバンドにとっては勲章と化したはずだ。[NOiD]というイベントは、そういったサバイバルな状況下で鳴らす音と人の決死の呼応がもたらす“奇跡”を証明し続けてきた場所だった。だからこそハングリーなアーティストと音楽ファンによって、これだけの信頼を得られたのだろうと思う。
そして3年ぶりに、再び[NOiD]が関東ツアーとして姿を現したのだが、なんとAmelieというバンドを全公演に出演させるという、驚きの行動に出たのだ。これは[NOiD]が“Amelie”という一つの答えを提示したことにもなるのではないのだろうか?その真相をAmelieに語ってもらった。
──“[NOiD](ノイド)”とは、もともとイベントだったんですよね?そこにAmelieが毎月のように出演していた。
mick(Vo,Gt,Pf) そうです。このイベント([NOiD])自体がどれくらい前からやっていたかはわからないんですけど、私たちにとって“[NOiD]”は遠い存在でした。でも、出始めてから…何年前くらいだっけ?
あっきー(Ba,Cho) 3年くらい前だから、2014年か。
mick うん。2014年くらいからほぼレギュラーで出させていただきました。
──憧れの舞台だったんですか?
あっきー そう、出たかった!登竜門的なイメージだったし。
mick 人気バンドしか出られない、みたいなね!敷居が高いっ!
あっきー そうです!そこ([NOiD])を経て売れていく、っていう感じ。
──Amelie結成当初から、[NOiD]出演が目的地の一つでもあったんですか?
直人(Gt,Cho) 設定まではしてなかったんですけど、なんとなく意識はしていました。たまたま知り合いの伝手で、渋谷のeggmanに出させてもらうってなった時に「そのうち[NOiD]に出られたらいいね!」って話していたら、出演詳細のメールに、いきなり[NOiD]の出演って書いてあったからびっくりした!
mick すごい![NOiD]じゃん!!って。
直人 うん、やべえっ!って興奮して…!その日から([NOiD]との関係が)始まりましたね。
──Amelieが[NOiD]に出演を果たした“決め手”はなんだったのでしょうね。
mick 自分たちで作った「リリィ」のミュージックビデオを[NOiD]の人が見てくれていたらしくて。
──これまでお客さんとして[NOiD]に参加したことはありますか?
mick ないんですよ!Twitterで見ていただけ。「うわあ〜すごい〜!」って。
──ロックを志すものにとっては、お客さんとして観にいくにも緊張するような、人気イベントだったのですかね。
mick はい!
あっきー [NOiD]は(新木場スタジオ)コーストでもやったよね。僕はそのイメージも強い。
──そうですね。2014年からはAmelieさんがほぼレギュラー出演をされていたということですが、その頃に印象深かったステージはありますか?
あっきー あるでしょ、mick!
mick うん、私は一番最初!まずは[NOiD]に出れるっていうだけでも足がガクガクだったんですけど、高校生の時にメディアでずっと見てて大好きで、憧れていた人との対バンだったんですよ!
──なんと!それはズバリ…
mick トライアンパサンディっていうバンドで、GOLLBETTYっていうバンドのボーカルの方(G-YUNcoSANDY)が新しく始めたバンドなんです。そのバンドと対バンすることになって、ここで一個も二個も夢が叶っちゃった感がありましたね〜その日は!
あっきー 手紙を渡したくらいでしょ?
mick そう、手紙を渡しました(照)
あっきー 僕らはずっと、お客さんも数人っていうようなアンダーグラウンドな場所で活動していたから…。[NOiD]に出た時、初めてお客さんの熱気というか、そういうものを感じました!バンドが発したことに対するレスポンスも本物、煽りもお客さんの方からくるし。[NOiD]っていうオーバーグラウンドな場所にやっと立てた!って思いましたね。
──目の肥えた、ライブのノリ方を知っているお客さんばかりだったんですね。
あっきー そうです、それそれ(笑)!
mick うん![NOiD]に出られた日から、自分たちのレベルも上がったような実感がありました。
直人 僕も、やっぱり一番最初の出演が印象深かったですね。[NOiD]はeggmanでやることが多いんですけど、出演前に映像が映し出されるんですよね。アー写と一緒に“Amelie”って紹介されて出てくるっていう演出も含めて、今まで出ていたイベントとは空気が一切違ったので、自分の中で意識がすごい高まりましたね。
アサケン(Dr,Cho) 毎年恒例の年末[NOiD]って“[NOiD]ファイナル”っていう名前でやっていたらしくて。その時にバドガールがいたんですよね。…それが良かったです(笑)
一同笑
あっきー 俺、結構(バドガールに)お金を落としましたからね!一杯買うと、光るリングみたいなのが貰えるんだけど、それをつなげてこれくらい(ロングネックレス程の長さ)にまでなった(笑)!
直人 イベントとして成立していないとそんなこともできないですからね。お客さんも楽しみにして来るのが伝わって来るので、[NOiD]はすごいなっていう印象です。