インタビュー/伊藤博伸
──2月まで続く全国ツアー「あっち、こっち、そっち、わっちツアー 2016-2017冬」が始まっています。ツアーの感想から聞かせてください。
橋口洋平(Vo.Gt.) ファイナルの豊洲PITに向けて、とにかくいいツアーを作っていこうと、メンバーの気持ちがひとつになっていますね。セットリストをライブごとに入れ替えたり、年が明けたらまた少し替えてみようかなとも考えていて。まだ流動的ではあるんですけど、ベースにあるものはライブをやるたびにどんどん固まってきている感じがします。初日の横浜からすごくいい感触だったので。
──横山君は横浜出身ですよね。地元でのライブはやはり特別でしょうね?
横山祐介(Dr.) そうですね。しかも会場が、僕の母校の中にあるホール(藤原洋記念ホール)だったので、帰ってきた感はいつもより強かったです。今回だけ、僕はMCで“ただいま!”と言わせてもらいました(笑)。
村中彗慈(Gt.) 毎回言ったっていいだろ!(笑)でも自分が生まれ育った街でライブができるっていいよね。
横山 ライブの朝、自分が通ってた駅に着いた時は、なんかじわっとくる感動がありました。
──北海道でワンマンをやるのは初めてですよね?
村中 ワンマンは初めてです。北海道はデビュー前に一度やっただけなので、4年半ぶりでした。ぜんぜん行けてないから不安もあったんですけど、ふたを開けたらたくさんの人が待っててくれた。根室から5時間位かけて来てくれた人もいて。
──北海道公演の日(12/4)はwacciの結成記念日だと聞きました。
橋口 そうなんですよ。wacciという冠をつけて初めてライブをやったのが2009年12月4日で。そこから7年経って、ようやく北海道でワンマンライブができたんだなと思ったら、感慨深いものがありましたね。基本、男の人って、記念日とか忘れがちじゃないですか(笑)。それでもそうやってお祝いしてくれる人がいると、なにか恩返ししたいなという気持ちも出てきて。一番はwacciを長く続けることだと思うんですね。その上で豊洲PITも大きな目標だったんですけど、そこでwacciを応援してくれる人たちと、大きな会場で一緒の景色を見て、ライブを一緒に作ることが、ある意味お返しなのかなとも思っているんですよね。wacciを今まで応援してきてよかったな、と心から思えるような時間を、1分1秒でも多くみんなと過ごせたらいいなと思っています。
──1st.フルアルバム(『日常ドラマチック』)を出してからの初めての全国ツアーということで、アルバムを聴いて新しくファンになった人たちもステージからは感じられますか?
因幡始(Key.) すごく増えたなと感じます。しかも初めての方も、ずっと来てくれてる方も、みんな同じ感覚で楽しんでくれてる。そんな景色が見られるのもうれしいですね。
小野裕基(Ba.) その土地の方はもちろん、北海道まで遠征して観にきてくれる方もいて。ほかの場所でも、けっこうそういう方がいるんですね。wacciを初めて観るお客さんと、遠征して何度もライブを観に来てくれるお客さんの反応が二極化しないように気をつけながらやってるんですけど、ライブを観た回数に関係なく会場のみんなが一体化する瞬間があって。その瞬間が気持ちいいんですね。
村中 ライブって、それこそ1000人いたら1000通りの楽しみ方があっていいと思うんです。ただ、1曲でも、そこにいるみんなが同じことを感じる瞬間があるのかなと思ってて。例えば、100人でオーロラを見に行った時、夜空にオーロラが出てきたら100人が全員、きれいだな!と感じると思うんですよ。ライブでも、そういう瞬間が出せたらいいなと思うんです。後でその時のことを思い出して、行ってよかったな!出会えてよかったな!と、みんなの気持ちが繋がるような時間に豊洲PITがなったらいいと思ってますね。もちろん楽しいところはひたすら楽しく。よくライブで笑いすぎて、頬が痛くなると言われるんですけど(笑)、それもwacciの大事な要素だと思うんで。
──「君に不採用」で、会場の人たちがタオルを回して一体化する景色を、豊洲で見てみたいです。
横山 あの曲は特に、お客さんがアグレッシヴにステージに向かってくる曲なので、今まで経験したことのない圧がきっとくるだろうなと(笑)。僕らもそれに負けないように届けなければいけないと思ってます。一番後ろの席までちゃんと音が届いているかは、やっぱり5人の気持ちが同じ方向を向けてるかどうかだと思うんですね。この曲はこういう気持ちを伝えるべきだから、こういうふうに演奏するよ、みたいなところを、ツアーを通して5人の気持ちがひとつになるように固めていきたいと思ってます。
因幡 僕はフロントの3人越しに、うしろからお客さんを見てるので、すごくライブが一体化する瞬間ってわかるんですね。お客さんが全員、橋口の歌ってる姿に目線がいってる瞬間があって。それを演奏中に客観的に見れた時のぞくっとする感じを、豊洲の規模で見たらと思うだけで、今からぞくぞくしますね(笑)。
──橋口君は、「ファイナルはいつも僕らが描いていた景色を、来てくれたみんなが見せてくれる場所」と言っていましたね。豊洲PITファイナルでは、どんな景色を想像していますか?
橋口 今回のツアーは今までで最多の公演数なので、豊洲は重ねてきたライブの完成形になる場所だと思うんです。ライブハウスのように距離の近いアットホームなライブもwacciの強みだと思うんですけど、大きな会場だからこそ伝えられるwacciの良さもあるなと思っていて。大きな規模ならではの一体感だったり、逆にたくさんの人がいるのに、歌はそれぞれ1対1で届いていく事への感動だったり。そういう、もっと大きな会場が似合うバンドなんだということを豊洲PITでは見せたいと思ってますね。wacciを見つけてホントに良かった、と思ってもらえる時間になることを目指して、がんばります!
──今回のツアーでも、本編の終了後に“二次会”をやっていますね?
橋口 毎回ツアーでは、より近い距離で、トークやアコースティックのライブとか、本編とは違う感じのイベントをやっていて。どんなに大きくなっても、近い距離で触れ合える、心が繋がるバンドというところは忘れないでいたいなと思うので。二次会はこれからも続けたいと思っています。
村中 二次会では、今回、全会場で奇跡が起きてますから。みんなも自由にしゃべるので、すごい爆笑が生まれたり、すべったり(笑)。
横山 二次会の名前も、『〜打ち上げドラマチック おかわりくだ祭〜』。これはファイナルだけの名前なんで。どんなドラマチックな打ち上げが待っているのか(笑)。僕らも楽しみです。
橋口 なにしろ豊洲PITはwacciにとって過去最大規模の会場なので、みんなで一緒に忘れられない景色を作りたい。「ワチとも割」っていうお得なチケットもあるので、元彼、元々彼まで誘って観に来てほしいなと思います(笑)。責任を持って笑顔で帰すことを、約束します!
■wacci「大丈夫」MV