G overの正体に迫る!東阪TOUR『FATE』直前、メンバー全員インタビュー【前編】

インタビュー | 2025.10.27 18:00

経歴や素顔を明かさずに活動する、正体不明の4人組バンド・G overが、2025年11月から12月にかけて東阪ツアー「FATE」を開催する。“運命”という意味を持つタイトルを掲げた同ツアーは“バッドエンド編”と“ハッピーエンド編”に分けられ、2公演でまったく異なる内容となるそうだ。
G overは2023年3月にリリースした「drive」でそれまでと音楽性を大きく変えたり、同年11月に開催した初の有観客ライブであり初ワンマン「Hide Out」の会場をシークレットにするなど、これまでもリスナーに新鮮な驚きを与える仕掛けを数多く用意してきたバンドだ。2024年からは様々なフェスやサーキットイベントに出演し、2025年は「RPS」や「噂乃平成ガール」といったライブアンセムも多数生み出している。彼らは一体どのような考えのもとバンド活動を行っているのだろうか。前後編にわたるメンバー全員インタビューで迫った。
──皆さんはもともと同じ学校に通っていたそうですね。
Ibuki(Dr)Naoと僕が一緒にやっていたバンドからメンバーが抜けて、高校の先輩のYokiと学校で仲が良かったAoiと組み直したのがG overですね。だから僕が仲のいい人たちが集まったところからスタートしています。
Nao(Vo)学校でバンドメンバーを組むための集会があって、そこにIbukiと僕が参加してたんですよね。でもIbukiも僕も途中で飽きちゃって、帰ろうとしたタイミングが一緒で。それがきっかけで仲良くなりました(笑)。
Yoki(Gt)だから声が掛かったタイミングでは、NaoとAoちゃん(Aoi)と僕はほぼ初対面で。でも一緒にやっていくなかで気が合うなと感じました。ゆるいとこはゆるいけど、やるところはやるという塩梅がみんなある程度合っている気がしますね。プライベートでもメンバー全員仲いいんですよ。みんなで出かけたりもしますし。
Aoi(Ba)声を掛けてもらったときは別で音楽活動をしてたんですけど、もともとIbukiと仲も良かったのでここで一緒にやれたらなと思って入らせてもらって。
Nao3人とももともと友達としてIbukiと仲が良いから、その時点で大体似たような人たちなんですよね(笑)。だからバンドメンバーというより友達なんです。
──皆さんはなぜバンドという形態を選択したのでしょう? コロナ禍、特に2020年から2021年にかけては活動を休止するバンドも多く、バンドは今の時代には不利だと語られる場面も少なくありませんでした。
Ibukiいろんな偶然が重なったんですよね。バンドをやりたいと思っていたけれど、コロナ禍で学校が休みになって、ライブハウスもどこもやっていなかったし。暇だからカシオの7000円のピアノを買ってぴこぴこ触ってたら曲の作り方を覚えちゃって、それでNaoとレコーディングをして、特に深く考えずにYouTubeに上げてみたらちょっと聴かれちゃって。そのときは「一応バンドを組んでいるのに自分たちの曲がないのヤバいよね」ってことで初めて曲を作っただけで、「ここからバンドをやっていくぞ!」みたいな気持ちも特になかったんです。
──曲もできたし、一緒に音楽をやりたいと思える友達もいたから、結果的にG overになったというニュアンスでしょうか。
Ibukiそうです、そうです。いろんな人に曲を聴いてもらいたくて、それがモチベーションになっていたんです。だから僕らには結成という概念がないんですよ。
Naoそれで僕らの結成日を、1曲目の「曙光」をYouTubeに上げた日にしているんですよね。

G over/『曙光』(official lyric video)

Ibukiまず最初にレコーディングをした2曲を出したら思いのほか聴いてもらえて、そのときにMVやジャケットとかで僕たちが作品を表現するよりも、イラストのほうが曲が引き立つんじゃないか、楽曲をより深く理解してもらえるんじゃないかと思ったんです。そのまま経歴や素顔を明かさずに活動するようになって、今もそれが自分たちのスタイルに合っているなと感じていますね。
──そして2021年からコンスタントに楽曲をリリースし、2023年3月にリリースした「drive」がバイラルヒットします。それまでの楽曲はロック色が強いですが、この楽曲からダンスミュージックの要素が出てきますね。

G over/drive (Music Video)

Ibukiいろんなジャンルを聴くタイプなので、曲作りのきっかけはほとんど「自分もこんな曲を作ってみたいな」と思うときなんです。この時期はおしゃれな曲にハマってたんですよね。でも「drive」を書いた当初はこれまで聴いてくれていた人たちからは受け入れられないんじゃないかと思って、あんまり自信がなくて。でもいざ出してみると反響が良かったんですよね。
Yoki最初「drive」を聴いたときは驚きましたね。でもG overとしてもいろんなことをやっていきたいねと話していた時期だったので、自然というか。
Naoうん。「今回はこういう感じの曲ね」ぐらいで、マイナスな感情は1ミリも湧かなかったですね。
Aoi2022年9月に1stアルバムの『Hood』をリリースしたことも大きいですね。あのアルバムを作った後にIbukiが「1回G overを切り替えたい」と言っていたので、「drive」が届いたときも驚かなかった。素直に「次はこういう感じをやっていきたいな」と思いました。
Ibukiずっと同じことを続けるのがあんまり好きじゃなくて。やっぱり同じ作り方をしていると曲が似てきちゃうんですよ。だから敢えて自分の得意じゃないやり方で作ることもあるんですよね。『Hood』までの曲はスウィングしていて、そういうジャンルのロックのアイデアをある程度出し切った感覚もあったのかな。ちょっと気分転換したい時期だったのかなと思います。

G over/『Hood』(Official video)

──「drive」以降音楽性もどんどん広がっていますが、そのなかでG overとして発信する楽曲において絶対に譲れないもの、守りたいものはどんなものでしょうか?
Ibukiいろんなジャンルに挑戦しつつも、楽曲のクオリティは下げたくないですね。「このジャンルにおいて自分は初心者だから、音源に未熟なところがあってもいいよね」とサボりたくはない。完成した音源が前の音源のクオリティに負けないように心がけてます。あと僕は、あんまりマイナスなことやネガティブなことは曲にしないようにしてるかな。勝気かポップかの2択ですね。Naoはどう?
Nao作る曲は全部自動的に僕自身が歌うことになるので、表現しきれないだろうなって曲は絶対に作らないようにしていますね。あとIbukiも僕も、4人の個性が活きるものを心掛けています。ステージングもメンバーそれぞれ個性が出ているので、そうじゃなくなる曲は作らない。自分の作った曲でメンバーの良さを潰すわけにはいかないなと思っています。

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