佐野元春のデビュー35周年のアニバーサリー・ツアーが12月5日京都KBSホールからスタート、3月26日・27日の東京国際フォーラム ホールAの2デイズでファイナルを迎える。この10年間佐野元春と活動してきたTHE COYOTE BANDをベースに、主に80年代に共にプレイしたTHE HEARTLANDから長田進(G)、90年代のTHE HOBO KING BANDからDr.kyOn(Key)と山本拓夫(Sax)が加わった、まさに35年を総括する最強のメンバー「THE COYOTE GRAND ROCKESTRA」と共に回るこのツアーは、各地で大反響を巻き起こしながら続行中だ。
──すごいメンバーのツアーですが──。
THE COYOTE BANDを中心として、80年代のTHE HEARTLAND、90年代のTHE HOBO KING BAND、僕の盟友たちに集まってもらう──それぞれ80年代、90年代とシーンを牽引してきたバンドで、メンバーは今、日本の音楽界を支える重要なミュージシャンになっている。これはすごく意義深いことだと思うよ。周年期というのは、そのアーティストが、それまで信じてきてくれたファンに感謝をする年だと思ってるんだよね。そしたらそのコンサートはオール・タイム・ヒッツ的な傾向が強くなる。その傾向に応えるためには、歴代のメンバーのオリジナル・プレイが必要だ、ということだよね。
──今、聴き手に関しては、どのように想定しておられますか。
僕の音楽は、常に15歳から25歳ぐらいのリスナーに届けたいと思って作っている。自分をふり返ってみると、15歳から25歳の時に触れた音楽や文学や映画が、非常に大きな影響を僕に与えたから。文化的なものに対する吸収力がいちばん強い時だね。そういう多感な頃の彼らに僕の音楽をぶつけて、聴いてもらいたいと思っている。大人になるとどうしても、自分の固定観念で音楽を聴いたりとか、柔軟性というところから離れていく。15歳から25歳の頃は本当に透明でやわらかい。そこに僕のポエトリーや僕のビートをぶつけて、そこから何か変化するものをこの目で見られたらどんなに幸福かな、という話なんだ。古いファンが集まってくれるのもうれしいけれども、それと同じくらいに新しいファンも、たくさんいるんです。そういう彼らに僕のポエトリーや僕のビートが届くことを佐野元春は考えている、と書いておいてください(笑)
──今のツアーの内容はいかがですか?
3時間を簡単に超える、すごいロック・ショーだよ。観なかったら損する……何か安っぽい言い方になっちゃったけど(笑)、でも、ひとことで言うと、本当にそういうこと。今の時代、ロックしたいと思ったら、僕のライブに来るのがいちばんいいと思うよ。特にこの35周年のしめくくりとなる、東京国際フォーラム2デイズ。何かすごいロック・ショーを観たいと思ったら、ここに来るのがいちばんてっとり早い。本当にすごいから。
インタビュー/兵庫慎司