1月にリリースした「畢竟」について
──「畢竟」はRPG『崩壊:スターレイル』黄泉イメージソング。「Void」や「火焔」などMisumiさんの和洋折衷のバランスセンスが光る書き下ろし楽曲です。
EMAMisumiさんの作る和テイストの曲がすっごい好きなので、歌っていて楽しかったですね。『崩壊:スターレイル』の黄泉のニュアンスもありつつ、サビのキャッチーさや低音と高音が行き来するメロディはDUSTCELLのテイストだと思うし、すごくいいバランスの楽曲になりました。アレンジにはライブのバンドメンバーである伊藤翔磨さんと及川創介(Roomies)さんが参加してくれているので、オケには生楽器ならではの迫力もありますね。
Misumi僕が曲を作る場合、自分の感情や経験を落とし込むパターンと、映画(映像)からインスピレーションを受けるパターンがあって、「畢竟」や2024年10月にリリースした「表情差分」は後者の感覚で作っていきました。日常から遠く離れた非現実世界に行ったときのような“ふわっ”とした状態になると、すごく歌詞が書けるんです。そうすると全然違う自分が出てきて面白いんですよね。「表情差分」の可愛らしさは書き下ろし作品であるTVアニメ『君は冥途様。』の影響があったからだし、「畢竟」も楽しんで制作できました。この曲のテーマは“生と死”で、“畢竟”という言葉も“最終地点=死”という意味で使っているんです。
──《落ちる砂時計/流れる音が変わってく/終わりがあるから/今を大切にできるんだろう》という歌詞はまさにそれを象徴しています。
Misumi自分にとって重要な歌詞ですね。終わりを意識するからこそ人生が充実する、死を見つめるからこそ起伏のある人生を送れるという感覚がすごく大きいんです。「命の行方」(※2021年4月リリース曲)に《あと何回鼓動を刻むのだろう/何回君に会えるんだろう/何回歌が唄えるだろう/何回光を見られるのだろうか》という歌詞もあるので、自分は前々から終わりを見つめがちですね。もちろんそれは悲観的な意味ではなく、人生を充実させるためなんです。
DUSTCELL - 畢竟 / In the End
──Misumiさんにとって“悲しみ”や“終わり”は、人生の充実を噛み締めるためのもの。
Misumi“人間万事塞翁が馬”という言葉がすごく好きなんですよね。幸せだと思ったことが後に悲しみを生むこともあるし、不幸せだと感じたことが後に良い結果を生むこともある。感情をなくすとラクに生きられるなとは思うんですよ。でも僕は変化という現象が好きだし、ラクで平坦な人生をものすごくつまらないと感じてしまうんです。人間らしくいたいんですよね。
Misumiそのほうが起伏が生まれて、面白い人生になると思うんですよね。「オルターエゴ」で書いている歌詞も、人間である苦しさと、どうしようもないほどの愛おしさの両方を抱えているから出てきた言葉なんです。人間として生きるべきか否かで揺れ動いている感覚がずっと前からあって、それが武道館公演の「ONE」というタイトルにもつながるんですけど。
──DUSTCELLは2020年に「ONE」という楽曲をリリースしていますよね。
Misumiそこから取ったものです。この曲は『エヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを観てインスピレーションを受けて書いた楽曲で、《人は誰しもが孤独なのか/それとも全てが一つなのか》という歌詞は自分の人生の大きなテーマにもなっているんです。誰しもが孤独であること、すべてがひとつであることどちらも“ONE”と言い表せるのも面白いし、自分自身もどちらが正しいのかはまだ答えが出ていないんですけど……。
──“感情”や“人間であること”を大事にするおふたりなら、一人ひとりを尊重して、会場をひとつにすることができるんじゃないかと、お話を聞きながら思いました。
Misumiありがとうございます。実はまだ武道館公演前にリリース予定の楽曲が2曲あって、そのうちのひとつはSNSでも「歌詞に苦戦した大切な曲ができた」と言及したもので、“ONE”という言葉に相応しい曲になりました。リリースされたあかつきにはぜひ聴いていただきたいですね。
【後編】へ続く 1月18日(土)20:00公開予定
PRESENT
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