──ではキンモクセイが年末にリリースするアルバムもそういう仕上がりになりそうですか?
伊藤そうですね。だからなかなか曲ができなくて(苦笑)。
倉品(笑)。キンモクセイのこういう、嘘のないスタイルもめっちゃ好きです。
──10月には2組とも新曲の配信リリースが決定しています。GOOD BYE APRILの「サイレンスで踊りたい」とキンモクセイの「Smile」、それぞれどのような感想を抱きましたか?
伊藤「サイレンスで踊りたい」にはまさに風を感じました。見事なファンタジーだなと。倉品さんは実際にフロアに行って踊られるんですか?
倉品いや、しないですね(笑)。
伊藤きっとフロアで踊ってないだろうな……というのが「サイレンスで踊りたい」からは伝わってくる(笑)。でも同時に、その世界への憧れがすごく伝わってくるんですよね。GOOD BYE APRILは時を経るごとにどんどん自分たちのやりたいことができてるんじゃないかな。今後のプランがぎゅっと詰まっている新曲だと感じました。
倉品うれしいです。実際に30歳を超えたあたりから、経験値も相まってか頭の中に鳴っている音をバンドで具現化できる度合いが高くなってきたんです。「サイレンスで踊りたい」は80年代のソウルミュージックをやりたいという強い思いを持って真正面から取り組みましたね。
佐々木「本当に2023年にリリースされる曲なのかな?」と思うくらい、あの時代の瑞々しさがあるんですよね。当時のソウルミュージックをまとめたプレイリストの中に忍び込ませても違和感がないくらいの馴染み方というか。だからどんな手順でこの曲を作ったのかはすごく気になって。
倉品コーラスワークやホーン、ストリングスといった、僕の中にやりたいサウンドのイメージがしっかりあったので、この曲は最初僕がアレンジまでしっかりデモを作りました。それをスタジオに持っていって、メンバーみんなの意見をもとにサビメロを変えたんですよ。もともと洋楽的だったメロディが、和製テイストになりました。
──「Smile」についてはいかがでしょうか。
倉品この前キンモクセイのワンマン(※8月31日開催の「THE FIRST DINNER in COTTON CLUB」)にお邪魔させていただいて、そこで新曲をメドレーで披露していらっしゃったんですよ。その中に2曲特に好きな曲があって、そのうちのひとつが「Smile」でした。新曲たちをメドレーでたくさん聴けちゃうなんて、すごく画期的で度肝を抜かれて。
伊藤あれはラジオから得たアイデアなんです。昔、ノンストップで新曲をつないでいくDJミックスがラジオから流れてきて、知らない曲はフルで味わって聴くよりも、短尺のほうが記憶に残るし、衝撃的でかっこいいなと思ったんですよね。だからライブで初めて聴く人は、ダイジェストのほうがより伝わるんじゃないかなと思ったんです。
倉品ダイジェストでも、伊藤さんの内省的な歌詞の世界はすごく印象に残ったんですよね。今の自分のアウトプットは「憧れ」を曲にするというモードなんですけど、その人にしか書けない世界観や哲学という表現はすごく好きなので、変わらないキンモクセイのフレーバーと哲学的な言葉が同居していて、とても感動しました。
佐々木倉品くんの感想は、伊藤にとってもすごく新鮮だと思います。僕らは伊藤の作ってくる曲に対して全肯定なんですよ。だからあんまり具体的な感想や、ここが良かったとか普段伝えないんです。
伊藤メンバーから作ってきた曲の感想は聞いたことないですね(笑)。だから「ここはどういう意味なの?」とかも聞かれたことなくて。
佐々木言葉にはしないけど一緒にバンドをやっているというのは、伊藤の作る曲を信頼してるということなんですよね。だから倉品くんの感想を聞いて、シンガーソングライター同士で感じるものがあるんだろうなと新鮮でした。
キンモクセイ「Smile」Spotify Playlist
──これだけお互いに刺激を受けているバンド同士のツーマンである「2MAN TOUR“What a Harmony” Vol.3」も、素敵な夜になりそうですね。渋谷PLEASURE PLEASUREという会場もお2組にぴったりではないでしょうか。
倉品今回のツーマンシリーズでは、お互いの音楽性に合った会場を選びたかったんです。渋谷PLEASURE PLEASUREは昔ワンマンをやったことがある会場であり、キンモクセイをここで観たいという強い気持ちもあって、キンモクセイとGOOD BYE APRILのケミストリーが起きそうだなと。ホールでツーマンをするのは僕らにとってもチャレンジですし、この会場でキンモクセイとツーマンをすることがかっこいいとも思ったんですよね。
伊藤PLEASURE PLEASUREを選んでいただいてよかったです。キンモクセイのお客さんも椅子があるとありがたいお年頃の方が多いので(笑)。そもそもお互いの音楽も、ノリノリで跳ねるというよりは心地よく体を揺らしながら聴く音楽なので、すごく音楽性と合っている会場だと思いますね。ただPLEASURE PLEASUREは、椅子が気持ちよくて寝ちゃうお客さんもいるんですよ。
倉品そうらしいですね。座り心地がいいって。
伊藤椅子が気持ちよくてリラックスしちゃって、浸りすぎて反応が薄くなる人もいるみたい。それにビビらないようにすることが、PLEASURE PLEASUREのステージに立つ側の心構えですね(笑)。
倉品あははは。来てくださった方々には、メロディと言葉の世界に浸っていただきたいですね。
──どうやら当日は、2組でのセッションも予定されているそうですね?
伊藤そうなんです。でも何をやろうかと悩んでいて。
佐々木普通にキンモクセイの後にGOOD BYE APRILが出て来て、アンコールでセッションして終了っていうのは、ちょっとありがちすぎるかなとは話しているんですよね。そんなに時間がたっぷりあるわけでもないんですけど、ひとひねりしたいなとは思っているんです。対バンも本当に久しぶりなので……。活動再開後、サーキットイベントとかを除いたら初めてだね。
伊藤僕のバイオリズムが内にこもっている期間が長かったのもあって、頑なに断ってきていたので(笑)。でもほんと、久しぶりのツーマンをお受けできたのは、GOOD BYE APRILだからというのがすごく大きいんです。
倉品本当にうれしいです。僕らとしても、2、3年越しに念願叶ったキンモクセイとの競演なのでワクワクしていますし、ライブを観ていただくことでキンモクセイとGOOD BYE APRILの親和性の高さも腑に落ちていただけると思います。僕らはバンド結成当初から「普遍的な音楽を作りたい」という気持ちでやってきているので、そういう音楽をずっと作り続けているキンモクセイの皆さんと一緒にライブをすることで、普遍的な良さを持っているポップスの尊さや、それをリアルに感じる気持ちよさを全身で体感していただけたらと思います。すごく幸せな日になると思いますね。その空気やハーモニーを1月8日の「“What a Harmony” EXTRA FINAL」につないで、来年の弾みやパワーにしたいと思っています。
PRESENT
直筆サイン入りチェキを1名様に!
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