一つ白状すると、実は11月のコンサートから私は生まれ変わったんですよ。
プリンセス プリンセスの時代はプロンプター(元は芝居のセリフを伝える役割の人、もしくはその機材。転じて、音楽ライブで歌詞を示す機材のこと)なんてものはまだ無かったんですけど、再結成プロジェクトをやった頃にはもう音楽業界でもプロンプを使うことが当たり前のようになってて、スタッフが「香さん、プロンプどうしますか?」と聞いてくるから、私も使うことにしたんです。必要なければ見なきゃいいんだし、と思って。でも、あると見ちゃうんですよね(笑)。それに最近はギターもずっと弾くから動き回らないのも不自然じゃないし…、っていうことで、普通に使うようになっていきました。ところが、ある時ラジオのゲストでヒゲダン(Official髭男dism)のメンバーが来てくれた縁もあって、彼らのライブを見に行ったんです。すごく良いライブだったんですけど、何が一番良かったかと言うと、常にお客さんに視線が向いてるのがわかるんですよね。そうすると、お客さんは一つひとつの言葉が自分に向けて歌われてると感じるんだろうなと思って。最近の私みたいに、プロンプに目をやったりギターの手元を見たりしてるのとは印象が全然違うんだろうなって。今更ながらそんなことを思い、そして「プリプリもそうだった!」と思い出したわけです。“メンバー全員が、100%お客さんに向けてアピールしてた! それだ!”と気づいてむちゃくちゃ反省し、「プロンプは見ない!」と宣言したんです。
11月のライブはプロンプ無しでやったんですけど、すごく大変でした(笑)。プリプリ時代とはリハの回数が違いますから。でも、メンバーのみんなが「香さんが練習するんだったら、一緒にやりましょうよ」と言って私の自主練習に付き合ってくれる形になって、おかげで本番はなんとかプロンプを見ないでやりきりました。
みんなも「香さん、プロンプ見ないでがんばれ!」みたいな感じで盛り上がってくれたんですよ。彼女たちも、見ないでやったほうがいいと思ってるから、「ハンドマイクで歌う曲を何曲か」と言い出したんだと思うんです。だから、このコロナの間、あまり活動していないように見えていたと思うんですけど、ここまで話してきたようにバンドとしてはものすごくいろんなストーリーが展開していった時期だったんです。その上でのツアーだから、今回はUnlock the girlsというバンドの、今の状態に相応というか、例えば私はプロンプが無くてわーっとなっちゃう場面もあるかもしれないけど(笑)、バンド全員で一生懸命アピールしている姿を見ていただけると思うし、そういうライブがいいと思うんですよね。
そうかもしれないですね。今頃?っていう感じもありますけど(笑)。
ファンの皆さんも、コロナのせいでライブに出かけるということからすっかり遠のいてしまったという方がたくさんいらっしゃると思うんです。そうなったらそうなったで、ライブに出かけないことが普通になってしまうと思うし、それ以外にもコロナのせいで手放してしまったもの、失ってしまったことがいろいろあると思うんです。でも、やっぱり生のライブ、ライブの現場って本当に特別ですから。“今、見なくても、またいつか見ればいいや”と思ってる方も、ぜひ今見てほしいなと思いますね。私たちの“今”を見てほしいし、見に来てくださった皆さんの“今”もいい方向にきっと変わると思います。
PRESENT
オリジナルエコバッグを3名様に!
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