この足でずっと歩き続けてきたーーアルバム『Sneaker Walker』リリースツアー中のラックライフPONが語るライブへの想い

インタビュー | 2022.02.09 18:00

スニーカーの靴ひもをしっかり締めて、その足で一歩を踏み出そう。ラックライフのニューアルバム『Sneaker Walker』は、コロナ禍で活動を足止めされた2020/21シーズンの苦闘と、そこから立ち上がって再び歩き出す決意を詰め込んだパワフルな作品だ。リリースツアー〈ラックライフTOUR 2022「Step by Step」〉も、ギター・ikomaのコロナ感染(*2月1日時点)というアクシデントにも負けず、3月15日のツアーファイナル&結成14年記念日、横浜1000 CLUB公演へ向けて驀進中。どんな困難に直面しても、決してリタイアしないタフな長距離走者・ラックライフの現在位置について、ボーカル・PONに語ってもらおう。
──お久しぶりです。元気ですか。

元気にやっております。

──このお話をしている時点で、ツアーは、名古屋と大阪が終わったところ。調子はどうですか。

すごくいい調子です。久しぶりに「ツアー」と掲げてライブができてるのがすごくうれしくて、名古屋が始まった瞬間からなんか違いますね。ここ1年、配信も含めてやっていたライブと、ツアーをやるよと言って始めた初日とは何かが違う感じがして、「あ、これやな」というものを感じながらやれてますね。

──お客さん、見た感じ、どうですか。

めちゃくちゃいい顔をしてくれて、うれしそうに迎えてくれる感じがありますね。アルバム曲を中心にやってるんですけど、アルバム曲の乗り方を探ってる感じやとか、「あー、ツアーってそうやったな」って、「初めて聴く曲は、どうやって乗ったらいいかわからん感じやな」って、そんなことを感じながらやれてます。

──大阪は、昼夜二回公演でした。

そうです。昼はアコースティックで、夜はバンドで。

──初めてですよね。どうですか、その試みは。

すごく新鮮にやらせてもらいました。けっこうドタバタしてましたけど、あんまりそういうこともやったことがなかったので。アコースティックで、ゆるくもあり熱くもあり、みたいなものもありながら、バンドになった時には完全に体が出来上がってる状態で、1曲目からすでに10曲目ぐらいのテンションというか、そんな熱量でやらせてもらいましたね。

──良かった。ここでちょっとだけ振り返り話を。前回、2020年の初夏にお話した時には、正直PONちゃん、落ち込んでる感じも見受けられて。
(ラックライフが地元・茨木のライブハウスから配信ライブ開催!再会の時に向け、PON(Vo&Gt)にインタビュー )

あはは。あれ、何の時ですかね?

──「アオイハル」が出たあと、ですね。

ああー。一番しんどかった時かもしれないですね。

──その頃と比べると、今の気分は?

もう全然健康的です。去年おととしと……おととしは特に、自分たちが必要とされていない感をすごく感じてしまって、最初の緊急事態宣言が出た時とか、テレビも全部バラエティとかで、音楽を聴かないようにしてたし。でもそこで、みんなのことを思い出して、「やっぱりやりたいな」となって、こつこつと曲を作って行った感じはありますね。

──アルバムを聴くと、最初は迷いや不安から始まって、そこからどうやって突き抜けていくか?を描いた曲が、すごく多いと思ったので。これはもろに、PONちゃんの当時の心境だろうなと。

(アルバムが)出来上がって、タイトルを決めようと思って、「こんなことあったな」と思い出しながら聴いてた時に、「くじけてるし、ひがんでるし、ねたんでるし、でもやっぱり前を向きたいんやな自分は」みたいな気持ちになって、『Sneaker Walker』というタイトルを付けたんですよ。そうやって立ち止まったり、さぼったりしている時間も、結局この足はこの足で、また踏み出そうとしているこの足があって、ずっとこの足にスニーカーを履いてやってきたなっていうところからのタイトルなんですけど。

──スニーカーっていうのがいいですね。カジュアルで。

そうなんですよね。僕、スニーカーしか履かないんで。

『Sneaker Walker』ティザー映像

──『Sneaker Walker』を聴いて思ったのは、特に「あかり」とか「Hug」とかは、ファンというか、支えてくれる人のために歌った、という感じがしたんですね。

正直、それしかないんですよ。身近な人に対するラブソングとかも数曲ありますけど、それも全部、聴いてくれてる人たちのことを思いながら作ったので、だから「もれなく」ですね。今、(曲名を)バーッて見てますけど、全曲です。あらためて、すげぇな、それ(笑)。全部、お客さんとか、音楽に関することです。それしかないんか!っていう感じもしますけど。

──それって財産じゃないですか。もっと若い頃には、そこまで歌えなかったかもしれない。

昔からそういうタイプではあるんですけどね。そういう曲はすごく多くて、ライブハウスで出会った人、聴いてくれる人に対して、ライブハウスで向かい合って、名前も知らんけど、なんとなく覚えてるあの顔とか、ツイッターでメッセージをくれる人とか、そういう人たちのことを思って、いつも曲を書いていることは書いているんですけど。それをいまだにやってるのは、すごくうれしいことですね。今年34歳になるんですけど、けっこうな、いい年齢になってきて、きっともっとうまいこと曲を書けるし、ぼやーっとした、ええ感じのラブソングとかも、書けると思うんですけど。

──ぼやーっとした(笑)。よくできた感じの。

思ってないこともきっと歌にできるし、「こんな曲書いて」って言われたら、たぶん書けるんですよ、上手に。けど、そういう曲が1曲もないというのは、自分のソングライターとしての誇り高きところなのかなとすごく思ってますね。書きゃいいのにね、もうちょっと。

──売れそうなラブソングを?(笑) でもそれじゃ、ラックライフじゃなくなる気が。

そうですね。正直に、音楽をやらせてもらってます。だからすごく楽しいです、ライブをやってても。嘘が一つもないんで。

──それって、コロナになったから本音が言えるようになったとか、そういうことじゃないでしょう。ラックライフはずっとそうだった。

自分の根っこというか、何のために歌うか?といったら、目の前の人に聴いてもらって、認めてほしかったり、元気になってほしかったり、ほめられたいという気持ちがすごくあるので。それは、根っこにずっとあるものやと思いますね。

あかり【Music Vieo】

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