自分のこれからの活動スタイルにとっても、意思表明にもなったかなって思ってます
──もう1曲、8月12日にニューシングルとして「ナツオモイ」がリリースされました。
これも夏のツアーに向けて、夏の曲を作りたいなと思って。でも、当時、春のツアーが終わって、夏のツアーまで二ヶ月しか準備期間がなかったんですね。結構、焦るというか、ヤバイぞっていう感じで(笑)。毎日、いっぱい曲を作ってみては、これじゃないなみたいな感じで、なかなか自分らしい夏の曲が生まれなくて。そんな時に、ピアノをなんとなく触ってた時に、最初の<君の声が 聴きたくなっちゃったなぁ>というフレーズがメロディと一緒に生まれてきて。そのまま作っていた曲ですね。
──この“君”とはどんな存在でしたか?
結果的には切ないラブソングになっちゃったんですけど、最初は多分、春のライブが終わって、しばらくアドレナリンが出てる状態だったので、ライブが終わっちゃった寂しさがあったんだと思いますね。でも、夏って元気な曲もたくさんあるし、ワクワクする出会いのシーンを描いた曲もあると思うんですけど、結果、こういう曲になったのは自分らしいなと思います。
──夏の終わりの哀愁を感じるミディアムバラードで、音源にはストリングスも入ってます。アレンジは「Runaway」と同様に、バンドメンバーでもある山口寛雄(Ba)さんですね。
山口さんは、ちょうど私がバックダンサーをやってた頃のEXILEさんの初期の曲の作曲やアレンジをしてて。だから、自分にとってはドンピシャで、結構、知ってる曲が多かったんですね。初めてお会いした時も、『え?この曲やってたの?』っていうお話をしてたんですけど、その中でも、私の好きなEXILEさんのバラード『運命のヒト』も作曲してて。だから、いつか、ちょっとキュンキュンするようなバラードが自分の中で生まれた時に、山口さんにアレンジをして欲しいなって思ってて。『ナツオモイ』のワンコーラスができた時点で、これは山口さんだって思いました。
──<伝えることも/叶うこともなく過ぎていく>という歌詞が、今の状況だとより染みますね。
そうですね。たくさん聴いていただきたいですけど、今年の夏だけじゃなく、何年後、何十年後になっても、夏になったら自然と『ナツオモイ』が聴きたいって思ってもらえるような曲になったらいいなって思いますね。
──それにしてもBPM180のロックナンバーと切ないバラードという真逆の2曲で。
ほんとに(笑)。でも、もともと、バラードだけを歌うシンガーとか、ロックだけを歌うシンガーっていう枠にハマることなく、いろんな曲調を歌っていきたいなって思ってて。それを含めて有安杏果だなって思って欲しいなと思っていたので、真逆な曲を二ヶ月連続でお届けすることができたのは、自分のこれからの活動スタイルにとっても、色々な音楽をやっていきたいっていう意思表明にもなったかなって思ってます。