2017年11月にTVアニメ「Fate/Apocrypha」2ndクールの EDテーマに起用された1stシングル「KOE」でメジャーデビューを果たし、昨年11月にはアニメ「グレンクレスト戦記」や「ソードアート・オンライン」、「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿」などのテーマソングを収録した1stアルバム『百歌繚乱』をリリースしたASCA。昨年末にはキャリア初となる全国ツアーも大成功に収めるなど、充実した1年を送った彼女は、2020年第1弾となる通算6枚目のシングル「CHAIN」と春の全国ツアー「華鳥風月」をもって、新たな章へと突入したようだ。
──2019年はどんな1年でした?
大発見があった1年でしたね。まず、4月に1stワンマンライブがあったんですけど、本当にずっとワンマンライブを目標にしてきたので、私にとっては念願のステージだったんです。そのステージに登場した瞬間、お客さんの熱が想像の100倍くらい熱くてびっくりしてしまって(笑)
──あはははは。あまりの盛り上がりに面食らったんですね。
びっくりすることじゃないかもしれないんですけど、自分としては驚いてしまったんですよね。でも、歌っていくうちに、みなさんが心から楽しんでくれてる表情を見れるようになって。これまでも楽曲がちゃんと届いてるとは思っていたんですけど、お客さんの顔を生で見た時に、ちゃんと届いていて、しかも、たくさん聴いてくれてて、こんなにも愛してくれてるんだなっていうことが実感として伝わってきた。当たり前のことなんですけど、それに気付いたのが去年の一番大きな収穫だったと思います。
──12月には初の東名阪ツアーも開催しました。
楽しかったです。自分でも、こんなにライブが楽しくなるとは思ってなかったくらい楽しくて。何て言えばいいかわからないですけど、ライブで歌ってる時は、体がもう1個ある感じになるんですよね。アドレナリンが出過ぎて、ゾーンに入るというか、無双状態になるんですよ。あのツアーでは、本当にこれまでに味わったことのない感覚になりましたし、生きがいを見つけた!という気持ちにもなりまして。初めてのツアーが終わった時に、もっともっと応援してくれてる人たちを喜ばせたいし、最高の場所に連れて行きたいって思ったし、改めて、一人で歌ってないなって感じた。みんなに生かされてるな、支えてもらってるなって感じた1年でした。
──応援してくれてるみんなを連れて行きたい場所というのは?
武道館です。私が本格的に歌手を志したきっかけなんですが。小学生の時に、武道館でマイクなしでアカペラで歌ってるシーンを見て、カッコいいって思ったのがきっかけなので、あの会場、あのステージにいけるように努力していきたいと思います。
──大きな気づきと収穫を得た1年を経て、2020年第1弾としてリリースされるシングル「CHAIN」は、アニメ「ダーウィンズゲーム」のOP主題歌になってます。
原作の漫画を全部読ませていただいたんですけど、自分と重なる部分がたくさんあったんですね。ちょうどワンマンライブが終わって、ツアーが始まる前のタイミングだったんですけど、今までの楽曲は自分の感覚でいうと、一人で頑張らないといけないって気負っていて。ワンマンライブを終えて、こんなにASCAのことを好きで入れてくれて、支えてくれる人がいるんだっていうことを改めて実感できた。主人公のカナメが仲間を増やしていって、理不尽な世界に立ち向かっていくっていう物語が、仲間とどんどん絆を結んでいく部分が自分と重なって。すごくいいタイミングで歌わせていただけるなって、運命的なものを感じましたね。
──作曲とアレンジはライブのサポートメンバーでもある重永亮介さんで、作詞は共作になってます。
重永さんも、原作を全部読んだ上で書いてくださって。二人で話し合った時に、私のライブといえばほとんど渋谷で、この物語の舞台も渋谷なんですよ。それも縁を感じて、じゃあ、ここぞとばかりに渋谷を連想させるワードを入れようじゃないかということで、<オーロラビジョン>とか、<交差点>とかを入れてて。あと、「ダーウィンズゲーム」では、すごく仲のいい友達が死んじゃうんですね。主人公が立ち向かっていけるのは、亡くなってしまった友達の存在があったり、友達の言葉が自分を奮い立たせてくれるっていうところが印象的だったので、そこは大事にしたいなと思って、Dメロで書いていて。アニメの世界観に寄り添いつつも、自分のライブで感じたことも入ってますね。
──繰り返しになるかもしれないですが、ライブで感じたことというのは?
支えてくれてる人たちとの“絆”がテーマになってますね。
──タイトルの「CHAIN」は“絆”という意味なんですね。
そうですね。輪っかで絆を連想させつつ、ヒロインのシュカちゃんが鎖で戦うシーンもあって。作品にも寄り添えるタイトルじゃないかと思って付けました。
──レコーディングはいかがでした?
割といつも苦戦しながらやるんですけど、この曲はそんなに時間かからずに終わった印象です。重永さんがデビュー当時から曲を作ってくださっているし、ライブもキーボードで入ってくださってるので、私の歌を聞いてくれていて。私の得意とする歌い回しとか、キーとか、メロディラインとか。私の歌を熟知してくれてる上で出来た曲なので、デモを聞いた段階で、これは必ずうまく行くだろうっていう確信があったくらい、苦労なく歌えたなと思います。
──何か思い浮かんでいた風景はありますか。
やっぱりライブの風景というか、お客さんの顔や表情を思い浮かべながら歌ってましたね。ライブが本当に楽しかったので、私の歌い方にもライブ感が足されたかなと思っていて。レコーディングブースってめちゃ狭くて、無機質で孤独なんですよ。意思の疎通も難しいんです。そこで、想像させてくれる材料がたくさん増えたというか。これまでは『孤独だな』って感じながら歌ってた気がするんですけど、実際にライブをやって、お客さんの顔を見て、自分の中の引き出しがすごく増えて。想像力を膨らませる材料が自分の中にたくさん増えてきたし、ライブで歌ってる自分を想像しながら歌うことがすごく増えたと思います。
──MVも渋谷で撮影されてますね。
そうなんですよ。監督は原作を知らなかったんですけど、『渋谷で撮ろう』って提案してくださって。物語にも歌詞にもMVにも全部渋谷が出てくるので、なんというぴったり具合なんだ!って思ってます。あと、今回は私だけでなく、(コスプレイヤーの)伊織もえさんが出演してくれてて。伊織もえさんの表情は色っぽくてしっとりしてて、私は強い眼差しをしてる。伊織さんはちょっとサイバー感のある衣装なので、ゲームの世界の人で、私がリアルな現代の人って感じなのかな。アニメのオープニングともマッチしている映像なので、アニメとMV、それぞれの解釈で楽しんでもらえたらいいなと思います。
──撮影で何か印象的な出来事はありましたか。
寒かったです。深夜で、しかも、雨でした。陸橋で撮ったんですけど、人が通る度にストップして、修行のような時間ではありましたね(笑)。でも、どんどんのってきたし、最近はMVも楽しくできてます。
──最近なんですか?
当たり前ですけど、ど素人だったので、動きも表情もすごく硬かったんですよね。でも、この楽曲を届けたい人が明確に想像できるようになると、表現は柔らかくなるし、種類も増えたりするんだなってこともわかって。それもライブがくれた大きな気づきの1つでした。