インタビュー/牧野りえ
今年、結成15周年を迎えたKra。9月14日にニュー・ミニアルバム『宇宙トラベラー CORE盤』と『宇宙トラベラー CELL盤』を2枚同時リリース。“宇宙”をテーマに2つのコンセプトに分けられ、Kraのライブが好きなファンも、幅広い音楽性が好きなファンも納得させる渾身の二作品が完成!9月17日の柏Thumb Upより「Kra『宇宙トラベラー』RELEASE LIVE TOUR 2016【あー テンション プリーズ】」をスタート。そして12月24日には浅草公会堂にて「Kra LIVE2016【ケラスマス・イヴ】〜今夜はキミと過ごしたい〜」を開催!
──2枚同時発売のミニアルバム『宇宙トラベラー CORE盤』と『宇宙トラベラー CELL盤』は、その名の通り“宇宙”をテーマに2つのコンセプトに分けてのリリースになりましたね。
景夕(Vo.) “宇宙”というテーマは俺が歌詞を書く段階に提案したんですけど。2枚に分けたのは、選曲会で楽曲が出揃って並び順を考えてたときにちょっと収まりが悪いかなっていう話が出て、じゃあ2枚に分けましょうってなったんです。
──『CORE盤』はライブ向きのテンション上がる楽曲が揃い、『CELL盤』はKraの幅広い音楽性が感じられる楽曲が揃っていますね。これまでのレコーディングと変わった部分はありましたか?
靖乃(Dr.) ドラムのレコーティングで使ったスタジオが初めてのところでした。群馬県の高崎にあるTAGO STUDIOで、環境や機材を含めてたぶん音が良くなるからって勧められて一回トライしてみようと。ドラム録りは3日間あったんですけど、スタジオの近くのホテルに泊まって。スタジオに併設してオシャレなカフェがあったり、ちょっと優雅な気分でブランチを済ませて作業に入るっていうノリでした(笑)。結構広いスタジオだったのでエアー感も含めてすごいリアルでパワフルな音になったなと思いますね。
結良(Ba.) 僕はエンジニアさんのハウススタジオで録らせてもらいました。機材的にはライブと同じものを使ったんですけど、ひとつだけ違う機材があって。ベーシストの中で今流行りのダークグラスエレクトロニクスっていう製品をたまたまエンジニアさんが持ってて試してみたんですよ。普段自分が使っている機材と同じ音が出て、ベースとの相性もよかったですね。
タイゾ(Gt.) 僕は『エクリプス』という曲の前半でアコギのボディタッピングを入れてるぐらいで、最近は自分のメインギター1本しか使ってません。昔は曲によってギターをいろいろ変えて録るっていうこともやってたんですけど、さすがにライブではそれはできないので。自分が一番好きなテレキャスター1本で録ったほうが自分の個性も出るし、“タイゾの音だな”って聴いてわかってほしいなと思って。
景夕 『Joker’s KINGDOM』というアルバムと同じエンジニアさんと一緒にやったんですけど、そのときから歌い始めとか繫ぎの部分を細かくやっていくようになってて。たとえば歌い始めの言葉が“な”だったら、“な”の前に“N”を入れて歌ったり。特に『CELL盤』の流れるような綺麗なメロディの曲はそういう歌い方のほうが合ってるんですよね。逆に『CORE盤』の『ブラックホール』とか勢いのある曲はパンと声を出すほうが合ってて。そういう使い分けもよりわかるようになって、耳馴染みのよい歌い方のものを選ぶようにしましたね。
──2枚合わせて全10曲の中で特に印象に残っている曲を教えてください。
靖乃 僕は『エクリプス』ですかね。ドラムはほとんど出番ないんですよ(笑)。その後半1分強の間に一球入魂じゃないけど、どれだけ気持ちを込められるかみたいな。ひょっとしたら全10曲の中でいちばんエモーショナルなのが『エクリプス』かもしれない。曲が持ってるベクトルとは別で。原曲者のタイゾ的にも“無機質なところからパッと世界が変わるのがいい”っていうことだったから、そこでどれだけ生きてる人間の血の沸騰加減みたいなものが出せるかなっていうのを意識しましたね。
──こういう曲ができるヴィジュアル系バンドってなかなかいないですよね!
タイゾ ヘンな曲を作りたかったんですよね。もともとメロディも何種類かあったんですけど、作っていく中で“この曲は何がしたいんだろう?”って自問自答が始まり(笑)。結果、メロディはシンプルに、バンドサウンドになるところでガラッと空気感を変えられたら面白いのかなと思って。ライブでは音源に負けないようにしないとなと。やる会場も選ばないといけないなって思ってますね。
結良 僕も強いて言えば『エクリプス』ですね。その曲はアップライトベースを使ってるんですよ。だからちょっとベース音のタッチが強いんですよね。ライブでどうしようかなと思ってて。背負ってるベースを後ろに回したままやろうかなって、侍っぽいですけど(笑)
──タイゾさんはどの曲が特に印象に残っていますか?
タイゾ 『カムパネルラへ』ですかね。途中ラップの部分があるんですけど、エンジニアさんと話している中で“景夕の声に重ねて低い声がほしいね”ってなったんですよ。Kraで低い声は俺しかいないので。劇的に低い声は俺です(笑)。ライブではもしかしたらメンバーもコーラスするかもしれないですね。
靖乃 俺が歌っちゃうと悪目立ちしちゃうからやめとくわ(笑)
景夕 エピソード的なところで言えば俺も『カムパネルラへ』で、確か最後まで歌詞ができなかった曲ですね。歌詞を書くときは曲からキャラクターを感じ取ってから書くんですけど。この曲はなかなかつかみ取れなくてずっと悩んでたんですよ。そしたらマネージャーが“「銀河鉄道の夜」って読んだことあります?足しになるかわかんないけど読んだほうがいいと思うから、今日買ってポストに入れておきますよ”って言って。その間にネットで「銀河鉄道の夜」を調べてる中で、主人公がいなくなった友達、カムパネルラへ届けたい想いを書こうと思って。ラップの部分ではその情熱的な熱さを出しました。
──歌詞を書くヒントになったんですね。マネージャーさんが買って来てくれた「銀河鉄道の夜」は読まれたんですか?
景夕 読んでないです(全員爆笑)。ヘンに読んじゃうと寄り添い過ぎちゃうかなと思って。
──ちなみにこの後、読む予定は?
景夕 あ……ありますよ〜(全員爆笑)。枕元にずっと置いてあります(笑)
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