前編ではソロデビューの心境や1stミニアルバム『くつひも』への想いを語っていただきました。
ソロデビューしますよと聞かされた時には驚きつつも冷静で、「今まで積み重ねてきた努力が目標だったソロデビューにたどり着いたんだな。スタート地点に立てたんだな」と。それと同時に楽曲に人間性や性格が現れてしまうので、裸にされている気分だなとも思っていて(笑)。2015年にグループとしての活動が始まってから、みんなの前に立って何度もパフォーマンスしてきたけど、いざ1人でやるとなるとこんなに私のことを知られることや歌声を届けることって恥ずかしいことなのかって(笑)。でもまだ見えない未来が待っているのかと思うとワクワクしているし、自分の人生で大きな分岐点になるかもとか、いろいろなプレッシャーもあります。
役になって楽曲やパフォーマンスを届けてきたからこそ、いざ自分名義で届けられることになったのはうれしい反面、いろいろと難しい部分も見えてきて。何をしても自由だからこそ広すぎて、自分を見失いそうになるんです。ふと「私って何だっけ?」って。でも役としてステージに立つことが多かったからこそ、今回自分と向き合う良い機会になったと思うし、自分について知らないことがこんなに多かったのかと痛感しました。
全曲、作詞してくださったハヤシケイ(LIVE LAB.)さんとたくさんお話をして、打ち合わせをしながら1曲1曲作り上げていきました。実は「自分で作詞してみない?」という提案もあったけど、「まだそんなボキャブラリーはありません!」と丁重にお断りして(笑)。歌詞や曲を作る人ってすごいなというリスペクトがあるし、皆さんに伝えたいこともたくさんあるけど、それをしっかり自分の言葉で伝えるのはまだ難しい気がして。もちろんいつか作詞に挑戦したいとは思っています。
まず私を知ってもらおうとケイさんとひたすらおしゃべりしました。どんなものが好きで、何に今ハマっているのかとか、たくさんの質問に答えていく中で、私自身も「こういうことを伝えたいんです」とお話しして、そこからケイさんが歌詞にまとめてくれました。歌詞を見た時、「そうそう!これがめちゃめちゃ言いたかったことなの!」と納得しちゃうことばかりで。私のすべてを見透かされたようで「やだ~!ちょっと~!」みたいな(笑)。これまで「私のことを知ってください」とお伝えする機会はなかなかなかったし、このタイミングでお話しできたことはよかったのかなと思っています。
言葉のチョイスが素敵なんですよね。日常会話の意外なところから持ってきたり、一つひとつが刺さるんですよね。リアルだけどリアルじゃない絶妙な感じにまとめてくれました。また6曲の歌詞すべてに今、思っていることや経験したことも書かれているからみんなに共感してもらえたらいいなと思っていて。音楽ってみんなの生活に寄り添っていて、例えば落ち込んだ時に聴くと共感できたり、元気が出たりするものだから。
このミニアルバムのテーマの1つとして、また今後も大切にしようと思っているのが「君と僕」でした。君と僕のストーリーを大切にしたかったからアルバム名にしてもいいかな? と思ったけど、「くつひも」という曲をレコーディングしている時から「くつひも」という言葉が私の心にひっかかって。
私のイメージカラーは赤なので、「くつひも」がミニアルバムを聴いてくれる人と私を結んでくれる運命の赤い糸になればいいなって。また日常に欠かせないものだし、結び方も十人十色で、このミニアルバムの収録曲も描かれている主人公がそれぞれ違うようにも聴こえるし、1人の主人公が6つの物語を歩んでいるようにも聴こえるし。
実際にアルバム名を決めてから全曲通して聴いてみたら、「こういうことだったんだな」って。人間って考え方や見え方がそれぞれ違うからこそ、聴いてくれた人の受け取り方も違うだろうなって。もちろん「私はこう思ってます」というものはあるけど、聴いてくれた人が感じてくれたもの、受け取ってくれたものがあればいいと思っています。
私に英語のタイトルはちょっと違うなって(笑)。漢字のいかつい感じよりもやわらかくて、子供でも読めるひらがなのほうが自分にはピッタリかなと。だから「ひらがなで行こう」というのは内心ありました。
ありがとうございます。でもレコーディングではよく「滑舌!」と指摘されてました(笑)。また「言葉と言葉を繋げるように」というアドバイスもいただいて。1曲ごとの課題を自分の中で回収していった結果かもしれません。
初めて聴いた時、「またすごい曲と歌詞がこの世の中に生まれてしまったんだな」と(笑)。ケイさんに「言葉を大切にしていきたいんです」とずっとお話ししてきたことがそのまま入っていて、ある意味、私が言いたいことがすべてこの曲に詰まっています。今、応援してくださる方やこれから私を知ってくださる方にたくさん聴いてほしくて。いただいた時、すごく良い曲だからこそ、大切にしたかったから最初はミニアルバムに入れたくなくて。「今だ!」というタイミングで出したかったけど説得されて(笑)。
今って、他愛も言葉や日常生活の中で当たり前に使っている言葉をどんどん言えなくなっているような気がするんですよね。特に若い人は。小さい子にモノを拾ってあげても「ありがとう」と言えない、そんな光景をたくさん見てきたからこそ、初歩的な言葉をどれだけ大切にして、生きていけるのかが大事だと思うんです。もし自分に子供が生まれた時にも素直に「ありがとう」を言える子になってほしいし、忘れてほしくなくて。そんなお話をしていたからケイさんも大切なことだと思って、曲の冒頭で「おはよう」「ありがとう」「ごめんね」と書いてくださったんでしょうね。
私にとっては昔からあったくらいの大御所感があって(笑)。「伝えたいことが詰まっているけど、これをメロディにのせてどう表現すればいいだろう?」とすごく悩みました。でもこの楽曲と一緒に成長できたらいいなと私なりの全力で歌いました。
泣かせにいってます(笑)。重めに聴こえる曲を1曲目にしたことでも私の本気を感じてもらえるかなと思っています。ソロデビューが決まってから「大丈夫?」と心配する声ももらったけど、私がどれだけ本気なのかをわかってもらうにはこのミニアルバムにかかっていると思ったので、1曲1曲たっぷり時間をかけて丁寧に丁寧に作りました。
聴いた時、懐かしさを感じたし、レコーディングでは隣りに誰かがずっといるような感覚で、放課後の帰り道を想像しながら歌っていました。レコーディングではどんどん落ちていく時が結構あるんですけど(笑)、この曲は終始、さわやかな気持ちで。
「あと1メートル」って時間にしたらわずか数秒くらいだけど、それくらい「君」と話したいし、隣りにいたいという気持ちは誰でもどこかで経験したことがあると思うんです。だからこの曲を聴いた時、「あの時、あの瞬間、こんな気持ちだったな」と懐かしさが蘇ってくれたらいいですね。あと歌詞の中に、「一人」、「一生」、「一瞬」と「一」が明らかに多いんですけど(笑)、「一」を大切にしてほしいと思っていて。人って隣りに誰かがいて、支えてくれないと生きていけないんだなとソロデビューすることで改めて思ったことであり、みんなにも支え合っているんだと気付くきっかけになってもらえたらいいなと思っています。
MVを見たら重めに感じてしまうかもしれないけど全然違って。レコーディングではさわやかで甘酸っぱい気分で歌っていますから(笑)。MVでは世界観がガラっと変わっているし、ぜひフルバージョンも見てほしいです。音源、MVそしてライブと、印象が変わると思うので、それぞれ楽しんでいただけたらうれしいです。
6曲の中で独特の世界観だなと思っていて。足元が軽くて、常にスキップしているような気持ちでずっと歌っています。また歌詞を見ると主人公が生意気すぎて、そこが私に似ているなと思いました(笑)。女の子は好きそうな歌詞だなと思うけど、男の子が聴いたら「なんだよ、こいつ」って思われそうかもって(笑)。
そうなんです!乙女な部分が歌詞に詰まっていたり、女の子が憧れる「ガラスの靴」とか若い子には刺さりそうですよね。小生意気なんですけど(笑)。レコーディングでも「小生意気に、悪ガキな女の子で歌ってみよう」というテーマがあったんですけど、サウンド自体はいろいろな音が入っていて、軽やかで楽しいのに、歌い方は小生意気というところが絶妙なバランスだなと思います。
Music Videoも日常生活のシーンを描きながら、ダンスを踊る動きもあって。動作が音にはまってそれっぽく見える、みたいな。難しかったけど楽しかったです。あまりない不思議な映像になっているのでぜひ見てほしいです。まとめるとすべてが絶妙なんですよね。この曲は。
(後編へ続く)
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