斉藤朱夏レコ発ワンマンライブ『セカイノハテ』
2021年6月3日(木)東京ガーデンシアター
2月10日にリリースされた2ndシングル『セカイノハテ』発売記念ライブであり、昨年のツアーがコロナ禍で中止になったため、1stライブ「朱演2019『くつひもの結び方』」以来、約1年半ぶりのワンマンライブでもある。
会場に向かう道すがらに設置されたモニターには『セカイノハテ』のMVが流れ、エントランスにも赤い天井、ステージには「八」のように左右に広がる赤いカーテン幕など、すっかり朱夏色に。
開演すると、1stライブ同様にサポートメンバーが上下真っ白な衣装で入場。キーボードソロからドラムビート、そしてベース、ギターの音が加わっていくインストナンバー。インストの演奏が終わると『くつひも』の軽快なイントロと共に、赤く光る3重のアーチのセットの奥に、真っ赤な衣装とおなじみの赤いコンバースのハイカットを履いた朱夏さんが登場! 弾んだ声で「レコ発ライブ『セカイノハテ』にようこそ!」。
サイリウムで真っ赤に染まる会場を見ながら、片想いする女の子の想いを描いたガーリーなポップチューンをハツラツと歌う朱夏さん。久しぶりのライブに声も笑顔も弾ける。でも1コーラス歌い終わったところで、軽く胸のあたりを何度か叩く。緊張している? 「手と手繋いでほしいんだ」と右手を前に差し出す振りに思わず、手を伸ばしたくなったりして。
明るく楽し気な『リフレクライト』のイントロに変わると中段のステージから「行くよ!」と言いながらメインステージへ軽やかに降りていく。客席もクラップしながらホップするようにリズムにのっている。そのままステージ上手(左側)に移動し、小さなお立ち台に。「背中に羽根が最初から生えていたら」のフレーズでは背中をかわいく右人差し指で差し、2番では逆サイドに移動し、しゃがんで歌ったり、バルコニー席を見上げながら指を差したり。また朱夏さんが会場に「クラップ!」と誘うたびに音量や強さが増幅していき、それを肌で感じた朱夏さんもニッコリ。君を照らす光になりたいという曲のように、お客さんたちの表情も明るく、まぶしく。
最初のMCブロックでは「みんな、久しぶり!……みんなが声出せないのを忘れて、(レスポンスを)求めちゃった(笑)」。お客さんとの1年半ぶりの再会に「こんなにも会えることがうれしいなんて、今すごく感動しています」。ライブ当日の過ごし方について語る朱夏さん。「ライブが近づくたびにそわそわしていて。今日も7時に起きる予定が自然に30分前に起きちゃって。お味噌汁作ったり、体を動かしたり、朝風呂入ったり。有意義な朝活しちゃった」。喜びと興奮を抑えきれない様子の朱夏さん。そして「この日を無事に迎えられたのが嬉しいし、奇跡だなと思います。ステージに出てきた瞬間に赤い光景が見られて幸せです。ありがとう。今日は1分1秒をムダにせず、宝物だなと思ってもらえるようにしたいと思います。だから、まばたき禁止だよ。みんなの目でシャッターを切ってください」。
「再会を、音楽を通して味わいたいなと思います。みんなに会いたくて、みんなのことが知りたくて。1曲1曲で空いてしまった1年半の距離を埋めていけたら。私の1年半を教えるので、みんなも想いをぶつけてください」と語ると『あと1メートル』に。照明は好きな人との帰り道の気持ちを歌う曲に合わせて夕景のよう。「じゃあまたね」と右手を振る仕草やつぶやくような『君がそばにいるせいさ』に、キュンと来たり、ふと思春期を思い出したりして。続く『シャボン』も片想いの苦しさを歌う。「ああもし出会わなければ」や「胸の痛みも 詰まる呼吸もふわり消え去ってくれるかな」と思いながらも、「そんなの嫌だ」と歌った時の体を折り曲げながらの表情やニュアンスに「それでも好き」とでも言っているようで、せつなく胸を締め付けてくる。
暗転後、イスに腰掛けた朱夏さんがピアノ演奏にのせて、「君と会いたくて、君のことが知りたくて」と、とつとつと語り始める。「いつ会えるかな? いつ君のことが知れるかな? この1年半すごく考えました。でも今日、君と会えたことが嬉しくて。来てくれてありがとう」と話した後、アコースティックセットで『秘密道具』。カホン、タンバリン、ピアニカ、ギターのさわやかな音色にのせて、自身もハーモニカ演奏を披露。サビメロの「君に会いたいよ 君に会いたいよ」は朱夏さん、そしてお客さんの心境とも重なり、心に響く。タイムマシンや秘密道具が使えたならと願った日々がこのライブに繋がったのだと。
「君との再会を味わうことができて心が潤っています。音楽を通して、君について知らなかったことが知れた気がします。ありがとう」と話した直後、「しっとり3曲もやったし、やっぱりみんな騒ぎたいよね?」と問いかけ。その答えは大きな拍手。「OK! じゃあやるか。ここからゲームしたいと思います」と提案。会場を半分ずつ赤チームと青チームに分けて、朱夏さんが振る旗の色に合わせて、会場も同じ色のサイリウムを上げる企画。楽曲は青春パンク風の『Your Way My Way』。自身が上げた旗の色に合わせて、会場が青、赤にスイッチするようにきれいに入れ替わる様子を見ながら楽しそう。
バンド紹介後に、ステージ上で衣装を早着替えすると、タオルを首にかけて、『しゅしゅしゅ』。曲名フレーズの入ったサマーレゲーっぽいサビに入ると、お客さんと一緒に全力でタオルをぶん回わす。サビラストでは身をかがませたと思ったら、左右にステップしたり、体を大きく揺らしたり、アクティブに動き回る朱夏さん。「みんな、まだまだ踊るよ!」と次の『パパパ』でもギターが刻むファンクのリズムにのってダンス。「パパパ」のフレーズではお客さんもサイリウムを大きく上に掲げ、それを見た朱夏さんは客席に両手で大きな〇印。アウトロでも素早く回転し、ジャンプするなど、エネルギッシュなパフォーマンス。
4月にお天気キャスターを務めた『ズームイン!!サタデー』の取材が来たことを告げ、お客さんと「ズームイン!!」ポーズをキメた後には3つの重大発表。
1つ目はこのライブの模様が7月11日に「フジテレビTWO」で放送されること。2つ目は8月4日から東名阪ツアー「朱演2021 LIVE HOUSE TOUR『真夏のハイウェイ』」が開催され、最終日のZepp Tokyo公演は誕生日の8月16日とのこと。「去年の3月にやる予定だったものとは違う、新しい形でツアーをまわります。みんなのところに遊びに行くからね! ラストはできたら来て、お祝いしてほしいな(笑)。大人の女性を目指して頑張ります」。3つ目は1stフルアルバム『パッチワーク』を8月18日にリリース。「初めてのフルアルバムです。今、制作途中だけど、すごいことになってます。早くみんなに届けたくて。ツアーやアルバムを出せるのは1年半会えなかったけど、みんなが背中を押してくれたからです。ありがとうございます」。深く頭を下げると温かい拍手。
「正直、壁ばかりあって、ツライなという瞬間があって。ムカツクとかいろいろな負の感情が湧き上がってきたけど、誰かにぶつけることはできなくて。この壁をぶち壊すのにはどうしたらいいんだろう? と考えたけど、転んだり。みんなもきっとそうだったと思う。でも今は焦らなくてもいいかな。無理だから1回休憩してもいいかなと思いました。この先にどんな壁が待っているのか、怖くて足が震えるけど、今日、安心しました。みんながいるからどんなに分厚い壁でもぶち壊して、みんなに会いに来ようって思いました。私のハートを強くするのはみんなです。本当にありがとう」と感謝の言葉を述べ、『セカイノハテ』。イントロで照明が暗くなると朱夏さんが右足を大きく蹴り上げた。会場の大きな愛情あふれるクラップに支えながらエモーショナルなロックチューンを歌い上げる。掲げた手を思い切りおろしたり、手を広げたり、あふれる想いを体全体で表していく。『セカイノハテ』でも「神様よりも自分を信じて」「さあ一歩切り拓いていけ」と。
小刻みにギターのリフが鳴り、ドラムが力強くリズムを叩き込むと「盛り上がっていくぞ!」とラストナンバー『止まらないで』。パンキッシュなパワーナンバーで、繰り返す「止まらないで」のフレーズは自分やお客さんを鼓舞するように。間奏で右端から左端まで全力ダッシュ、Dメロに本来であれば声を合わせるパートではサイリウムの動きがより強く、激しく。アウトロになると「まだまだここから止まらないで走っていくから私の背中、ずっと見つめててよ! OK?」と叫ぶと、大きく揺れるサイリウム。
全曲終了後、バンドメンバーやお客さんと一緒に記念撮影することになると「ねえ、ボサボサじゃない?」とメンバーに尋ねる、乙女な朱夏さんも。最後のメッセージは「この日を迎えられたことが奇跡的で。そしてみんなと会えるってこんなにも嬉しいんだって。この先、どんなことが起きるかわからないけど、大丈夫だなって。私は宝物BOXに入れる素敵な想い出ができました。またみんなに会えることを楽しみに、そしてステージに立たせてくれてありがとうございました! ライブがまた好きになりました」。
1年半ぶりの再会は一度止まった時計が再び動き出した瞬間だった。感動しながらも感傷的にならず。朱夏さんらしい笑顔と温かさが感じられるライブ。ツアー発表後、「みんなと2カ月後には会えるってことでしょ? パワーアップして戻ってくるからみんなもパワーアップしておいてね!」と言っていた。今度、会える時、朱夏さんが熱くて最高の夏を連れてやってくる。
SET LIST
01. くつひも
02. リフレクライト
03. あと1メートル
04. シャボン
05. 秘密道具
06. Your Way My Way
07. しゅしゅしゅ
08. パパパ
09. セカイノハテ
10. 止まらないで
※Spotifyは、Internet Explorerではご利用頂けません。他ブラウザにてご覧くださいませ。
ご利用可能な環境についてはこちら
PRESENT
斉藤朱夏作画表紙イラストの『DI:GA』に直筆サインを添えて2名様に!
※転載禁止
受付は終了しました