まるで映画みたいですけど、「待ってろ世界!」って本当に言いましたからね(笑)
──この2年半くらい、LAやマイアミ、メキシコなどで楽曲制作や売り込みを続けてきたそうですが。日本でも活動しながら、水面下ではそんな動きがあったんですね。
2016年いっぱいで活動を止めた大きな理由がまずそれで、「世界への挑戦を始めたい」ということだったんです。そこで半年間、世界を旅してから具体的に動き出したんですが。月の半分は海外に行って、ラテンのクリエイターと一緒に曲を作ってはレコーディングをして、色んな人に会いに行って聴いてもらってという感じだったんです。
──日本では「再デビューする気持ちで」と言っていましたが、まさにデビュー前の新人に戻ったような気持ちで取り組んでいたんですね。
日本での活動を1年半も休んでしまって、大人からは(愛情がこもってですが)「みんなに忘れられちゃうよ」なんて言われてたんですけど、それも分かった上で世界デビューに時間を遣ったので。日本ではもう一度ゼロからやりなおす気持ちで、“再デビュー”という言葉を使ったんですが。LAでは日本で19歳の頃、ストリートライブをやったり、色んな人にデモテープを渡したりして、「どうやったらデビュー出来るんだろう?」と思ってた、まさにデビュー前と同じことをやってました。日本のキャリアは持ち込まないようにと決めていたので、誰のコネもツテも使わず。19歳のあの頃から20年が経って、39ちゃいになったナオトが「世界に挑戦したい!」という漠然とした目標だけ持って、ギター一本持ってLAの空港に降り立って。まるで映画みたいですけど、「待ってろ世界!」って本当に言いましたからね(笑)。……いやぁ、この2年半くらい、がむしゃらに走ってきちゃったから、改めて振り返ることもなかったけど。こうして振り返ると、我ながらむちゃくちゃですね!
──あははは。いや、本当に素晴らしいですよ!疑問も抱かず突っ走れるところが、本当にカッコいいと思います。日本でこれだけのキャリアがあれば、奢ってしまう部分とか、逆に慎重になってしまう部分も出てきてしまいそうなところですが……。
(椅子にふんぞり返りながら)いやいや、奢りなんかないですよ!(笑)
──めちゃくちゃ奢ってるじゃないですか(笑)。
あはは。昔から知ってくれてる日本の友達が「ナオト、売れて良かったね」みたいなことを言ってくれて。「ありがとう」と思いつつ、「いや、まだここじゃないんだよな」みたいな気持ちもあるんですよね。だから、一度も奢ったことないかも知れないです。世界にも出たいし、やりたいことがあだまだあるし。「俺、凄ぇだろ?」みたいな気持ちは1mmもないです!もし世界に出て、ワールドツアーの夢を叶えちゃったらどうなるんだろう?そこに向けて突っ走ってきたから、廃人になっちゃうかな?(笑)
僕はこれからもライブを信じて、戦い続けていくと思います
──いやいや、実際に叶えたら「まだ、ここじゃない」って言ってると思いますよ。いま、時代を見た時には音楽配信も一般化して、音楽の届き方も変わっていますが。その中でナオトさんがやるべきことって、どんなことだと思ってますか?
やっぱりライブですよね。曲が売れて、夢の印税生活という時代が完全に終焉に向かってて。日本はまだ、CDがギリギリ売れている国ではありますが、それも時間の問題だと思うんで。世界のミュージシャンがライブで生計を立てている中、自分が一番大事にしてきたし、一番の持ち味が出せると思っているライブというもので判断されるようになっていくのは、分かりやすくていいなと思います。お客さん3人から始まって、100人になり200人になり、ディスクガレージさんにも支えてもらいながら、渋谷クアトロ、SHIBUYA-AXとだんだん会場を大きくしていって。どんな状況下であっても、ず~っとライブで戦ってきましたからね。その後、Zepp~NHKホール〜日本武道館~代々木第一体育館〜横浜アリーナ〜さいたまスーパーアリーナ〜京セラドームって会場を広くしていって、すごいサクセスストーリーに思われがちだけど。地道にライブをやり続けて、一人ずつお客さんを増やして、一歩ずつ飛び級無しで前に進んできたことに自信もありますから。僕はこれからもライブを信じて、戦い続けていくと思います。
──音楽の届き方が変わっても、ライブは変わらずあるものですからね。
いまも夏フェスとか出ると「どうやって1,000人くらいファンになってもらおうかな?」ってずっと考えてますから。やっつけでステージに上がったことは一度もなくて、どんなアウェイでも「絶対に盛り上げてやる」って気持ちでやってます。僕はヒット曲もないし、ブレイクもしてないのに、ドーム公演をやった唯一の男だと自負してて。そういう意味でもライブを大切にしてきて良かったなと思うし、ライブを面白がって来てくれるお客さんにはすごく感謝してるし。これからもライブは大事にしていきたいです。
──今年のツアーもみんなに「来て良かった!」と思ってもらえるものにしたいですね。
もちろん。「もうヤメて!」っていうくらい、腹十二分目まで満足してもらうものにします。ナオト・インティライミのライブを見たことない人、一曲も知らない人も楽しめるライブにするので、みんなに遊びに来て欲しいです。
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