──8月7日にリリースされる「乙女どもよ。」はTVアニメ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のOP主題歌ですが、原作を読んだ感想は?
アニメ化が決まる前から大ファンなんです。作品を知ったきっかけは、電子書籍のバナーのオススメでたまたま見つけて。お試しで読んでみたらハマってしまって、そこからコミックを愛読しています。アニメのOP曲を歌うことはまったく想像していなかったんですが、「おや!?」と思った出来事が……事務所のデスクにコミックが並んでいて。「誰のだろう?」と思ったけど、あえて触れず。数日後にマネージャーさんから「この作品知ってる?」って言われて。「知ってます!」と答えたら「OP曲をやるから」と言われました。いちファンだったので、うれしい反面、恐縮する部分もあったけど、作品を知っている私だからこそ、HoneyWorksの2人に私の作品への熱い想いをどうプレゼンしようかとすごく楽しみでした。
──『荒ぶる季節の乙女どもよ。』のおもしろさや魅力とは?
高校の文芸部の女の子達を中心にしたお話で、恋愛や性に対して臆病どころか、触っていけないもののように振舞っているのに、変なところで大胆だったり、おかしな行動に走ったり。そしてほのぼのとしたタッチの絵とリアルな生々しさのギャップもおもしろくて。またいろいろなことを、段階を踏みながら知って、真剣にぶつかり、つまずき転びながらも向き合おうとする姿が愛しいし、かわいくて応援したくなっちゃうんです。
──「乙女どもよ。」のサウンド感や歌詞の世界観などご紹介ください。
タイアップ曲は基本的にはその物語の主人公と同じ年齢や目線が多いんですけど、今回は一生懸命、一喜一憂しながら頑張る彼女達を第三者目線で温かく見守る側で。歌うニュアンスも、「声だけで表現するので、かわいい声や明るい声で、大げさに歌ってほしい」とHoneyWorksのGomさんやshitoさんに良くリクエストされるんです。「もっとオーバーに。もっとぶりっ子に!」とか。でも今回は「大人びた感じでまっすぐ歌ってほしい」と言われました。
──確かにかわいく聴こえるニュアンスもあるけど、どちらかというとお姉さんっぽいなと思いました。特にDメロでは母性や慈愛にも似た雰囲気も。
私はノリノリに歌い上げるほうが気持ちいいタイプなんですけど、でもこの曲で全開に出したら違うなと思って。実際、「歌ウマな人にもならず、かわい過ぎず、初々しさを出してほしい」とも言われて、参考にしてほしいと言われたのがsupercellさんの「君の知らない物語」のやなぎなぎさんの歌い方で、「飾り気のない、まっすぐな感じで歌ってね」と。
──歌声は温かくて、優しく感じます。
その中にもサビの「荒ぶれ乙女たち」のところはちょっと前向きに、突き進むように歌っています。そんな微妙なニュアンスにも気付いてもらえたらうれしいです。
──サビの「過去に笑われても中指立てろ」「キズついても読むことをやめない」など強い意志を感じるし、背中を押してくれているような。
歌詞はアニメチームとキャッチボールを繰り返して作っています。HoneyWorksのGomさんやshitoさんも「どうしよう?」と悩みながら、作品に寄り添いながら書いてくれました。作品名にちなんだ曲名の「乙女どもよ。」もかなりインパクトありますよね。強い語調の「どもよ」と繊細な「乙女」の組み合わせがおもしろいです。
──1Aの「退屈な15ページだった」は主人公の和紗が高校1年生で文芸部であることから人生を本に例えているのも素敵ですね。
ラジオで初めてオンエアした時に「15ページって年齢のことかな?」と気付いてくれているリスナーもいらっしゃって嬉しかったです。
──サビの「栞はいらない」も立ち止まらず、進んでいこうというメッセージかなと。作品のキャラや世界観を表現しつつ、青春や恋に頑張る女の子達へのチアソングにもなっているところもチコハニらしいです。
ありがとうございます。さわやかなリスリング感もあるので夏にピッタリかも。
──キラキラしたサウンド感は青春を、間奏のうなるギターも荒ぶっているイメージを表現しているようで。その直後にストリングスで、優しくしっとり歌うので、その落差で余計、胸に刺さります。
初めてフルで聴いたら驚かれる方も多いでしょうね。
──聴きどころやお気に入りポイントは?
Bメロのサビに行く前の1行、例えば1番だと「この苦しさの正体とか」は結構、伸びやかに歌っているので、私も歌っていて気持ちいいです。あと背中を押すという意味では2サビの「胸張れ乙女たち 戦え乙女たち」は歌っていて、自然に力が入るので好きです。ちなみにカップリングには『荒ぶる季節の乙女どもよ。』の挿入歌も収録されます。どの場面で流れるのか教えていただいたんですけど、「ああ、このシーンなんだ!?」って。原作ファンの方にはぜひ楽しみにしていただきたいです。
後編は7月5日(金)15:00公開予定!お楽しみに!