フルカワユタカが4thアルバム『epoch』を完成させた。Base Ball Bear、安野勇太(HAWAIIAN6)、ハヤシヒロユキ(POLYSICS)、原昌和(the band apart)との共作曲を網羅した全10曲収録による傑作だ。対談では、同アルバムを引っ提げて8月からスタートするワンマンツアーにて、フルカワユタカのサポートを務めるfox capture planの井上司(Dr)を迎えた。なお、『epoch』にはfox capture planの岸本 亮(Pf)がゲスト参加した楽曲を収録しているなど、両アーティストの親密度は高い。
プレイには目がいくし、ドラムは派手なほうが好き
──お二人の最初の出会いというと?
フルカワユタカ出会いは2年前かな。下北沢シェルターの企画でウチとfox capture plan(以下fox)とSawagiの3マンがあって。foxは3人ともみんな上手いなあ、鍵盤はヘンな奴だなって(笑)。当時、(井上)司くんに強烈な印象はなくて。
──お互いのことは以前から知ってたんですか?
井上司(fox capture plan)ドーパン(以下DOPING PANDA)はもともと知ってました。メルテン(岸本 亮)がドーパン好きで、昔から話してましたからね。4つ打ちのダンスロックを日本のロック/ポップシーンで、しかもメジャーでやったパイオニアだなと。foxの音楽にもその影響はありますからね。
フルカワユタカADAM atもドーパンが好きだったみたいで。速いBPMの4つ打ちはウチやthe band apartが作ったフォーマットに影響を受けているのかなと。僕らの世代の流れを汲んだインストバンドはほかにもいるでしょうね。で、foxに関してはイベントの前に「勢いのあるインストバンドがいるんだよ」とレーベルの人間に教えてもらって。3ピースのジャズのインストバンドって、SOIL&"PIMP"SESSIONS なんかもそうですし、90年代にはたくさんいましたからね。でも観たときの印象は全然違って、僕らがやってる音楽に系譜が近かったから。司くんはもともとハードコアバンド出身なんですよ。
──えっ、そうなんですか!?
井上司ブラストをずっと叩いてて(笑)。ドラムを始めたきっかけがニルヴァーナのデイヴ・グロールですからね。foxをやり始めて、ジャズシーンの人に出会ったんですよ。
フルカワユタカだから、特殊だと思います。「AIR JAM」とかは全然通ってないの?
井上司後追いですね。「AIR JAM 2000」のビデオを2002年ぐらいに観て、それが17、18歳の頃です。初めて音楽にハマッたのがニルヴァーナで、それからバックストリート・ボーイズ、メタリカ、ジューダス・プリーストとかいろんなものを聴き漁って。僕、地元が山形なんですけど、当時はライヴをやれる場所がなくて。隣の仙台に出て、そこでバンドを探したんですよ。
フルカワユタカあっ、そうなんだ。
井上司はい。そこで観たグラインドコアのライヴに衝撃を受けて。そしたらMCで「ドラムが今日で辞めます」と言ってて。ライヴ後に「ドラム叩かせてください」とお願いしたんです。
フルカワユタカすごい行動力があるね! 叩き方はロックだもんね。
井上司foxはそのミスマッチ感が売りですからね。
フルカワユタカ司くんはいいドラマーという印象はあったけど、去年、六本木EXシアターでライヴを観たときに改めてすげえいいじゃん!と思って。
井上司ははははは。
フルカワユタカそれでライヴを一緒にやりたいなと思ったんですよ。動きも派手だし、でかいステージが似合うなと。華があるんですよね。司くんのプレイには目がいくし、ドラムは派手な方が好きですね。
──実際にフルカワユタカバンドのサポートドラマーとして迎えたときはどうでした?
フルカワユタカ良かったです。まだ1回しかやってないけど、アガるんですよね。持論だけど、太鼓って本能を鼓舞するというか、高揚させる楽器じゃないですか。スネアとキックの音でアガりたいんですよ。その感触が久々にあったから、これがドラムだよな!って。
井上司ありがとうございます。僕もfoxと叩いている内容も違うし、3ピースのロックバンドをやっている感じがするので。ロックバンドをやりたいなと思ったタイミングで誘ってもらえたので、嬉しかったです。