不安になって、ポケットに手を入れた時に、その中にあるようなものというのでしょうか。いつも隣にいるよという思いを伝えたいですね。
──10年前と、今。伝えたいと思うことに変化はありますか。
10年前は伝えたいということよりも、伝えることができなかった言葉をぶつける場所が音楽でした。でもデビューをして、私の歌や、私のことを待っていてくれる人に出会って少しずつ変化していきました。全国に出向かせていただいたたキャンペーンでは、私と同じピアスをしたり髪型をした女の子がいて、「なっちゃん、会いたかった」と泣き出してしまったり。その涙を見たとき、音楽を始める前の私がそこにいる気がして、私が抱えていた寂しさを、きっとこの子も感じているんだ。「この人たちのために歌おう」と思うことができたんです。
2011年に前の事務所を離れた時、東日本大震災が起きて、ライブが中止になったり、この先どうなるのだろうと不安がありました。でもこの時、今踏ん張って、丁寧に歌を届けよう。声のぬくもりや、呼吸を伝えることで、聴き手の心に寄り添っていこうと思いました。私は、「ついてこい!」とか、ドンと背中を押すようなキャラクターではないので、手当てじゃないですが、日常に寄り添うような存在でありたいなぁと思っているんです。不安になって、ポケットに手を入れた時に、その中にあるようなものというのでしょうか。いつも隣にいるよという思いを伝えたいですね。
私のホームページ内にある10周年の特設ページに掲載している写真は、「下北沢南口」でデビューした10年前と同じ、下北沢のピーコックの屋上で撮影をしました。当時は、撮られることに慣れていなかったので緊張もありましたし、目も開けていられないくらい風が強くて、今、きっと不細工に撮られているなあと落ち込んだことを、10年ぶりに同じ場所に立って思い出しました。10年前と同じくらい風が強くて撮影は大変だったんですが、街を見下ろしたとき、「みんなそれぞれの生活があるんだ」と感じ、「私は1人じゃないんだ。あぁ、今は(10年前と違って)全然寂しくないな」と思うことができたんです。メイクなどを担当してくれたのも、同世代の仲間たち。大切な同士たちと仕事ができることもありがたかったですし、出会いが私を強くしてくれたんだと感じました。肩の力を抜いて、飾らずに。今のままの自分でいいんだと思うことができた。
──10周年記念ライブの前には、新曲の配信も予定されていますね。
はい。8月のマンスリーライブで初めて歌った曲で、レコーディングなどはこれからです。10周年ライブの時に、みんなで歌えるようにと思い、ファンの方も一緒に歌うことができるパートがあります。10周年のパーティー、一緒に思いっきり楽しんで欲しいです。
■「Little Melody」Music Video