昨年12月に2ndフルアルバム「JUNCTION」をリリースした早見沙織。14曲のうち10曲の作詞・作曲を自ら手がけた本作は、ソウルミュージック、AORなどをルーツに持つ彼女自身の音楽的志向が示された魅力的なポップ・アルバムに仕上がっている。4月に行われる2度目の全国ツアー「Concert Tour 2019 "JUNCTION"」(東京公演は4月29日(月・祝)の東京国際フォーラム ホールA)も楽しみ!
──まずはこれまでの早見さんの音楽活動を振り返ってみたいと思います。2015年にシングル「やさしい希望」でアーティスト活動をスタートさせたわけですが、以前から音楽活動に対する興味はあったんですか?
小さい頃から歌うことは好きで、家とか習い事で歌うことはあったんですが、もともと人前に出るのが恥ずかしいタイプだったんです(笑)。なので(音楽活動などは)縁遠い世界だなと思っていたんですが、いろいろな縁が重なって、この世界で仕事をさせて頂くようになって。いまって声優と歌の仕事は重なっているところがあるし、キャラクターソングの歌唱を担当させて頂くなかで、「ソロワークはどうですか?」とお声がけしていただいたのがきっかけですね。そのときは学業と声優業を並行していたので、大学を卒業した後、音楽活動をスタートさせました。
──その時点では、どんなアーティスト活動をイメージしていたんですか?
その時は真っ白だった気がします。音楽は好きだし、ライブにもよく行っていたのですが、リスナーとして受け取るものはたくさんあっても、いざ自分が提供する側に立ったときに、「どの棚から持ってきたらいいんだろう?」と迷ってしまうところがあって。声優業もそうなんですが、実際に体験するなかで「こういうことなんだな」と学んでいくタイプだし、何事にも時間がかかるんですよ。
──リスナーとしては幅広い音楽を聴いていた?
はい。親が音楽好きで、小さい頃からいろいろな音楽を聴いていたし、ライブにも連れていってもらって。いま私が好きなものとも重なっているんですが、母親がファンクやソウルが好きだったんです。母親はジャズボーカルを習っていて、ときどきライブをやっていたので、小さなジャズクラブで親子一緒にハモったり(笑)。
──なるほど。2018年12月にリリースされた2ndアルバム「JUNCTION」には、早見さん自身の音楽のルーツがかなり反映されていますね。
そうかもしれないですね。チームでモノ作りをしていくなかで、「こういう感じの曲が好きなんだね」と、制作サイドの方からもご提案頂けたりして。
──しかも今回のアルバムは、14曲のうち10曲が早見さんの作詞・作曲。
“いやはや”というか(笑)、まだまだ精進しますという感じです。学生の頃から、ちょっとずつ曲は作っていたんです。ちゃんと1曲になっていなくて、断片的なものもあったんですが、音楽活動が始まってから、ディレクターのみなさんに「作ってる曲があったら、気負わずに提出してみて」と言われて。「そう言われても、気負います…」と思いつつ、自分で作った曲を持っていくようになったんですよね。あとはクリエイターの方と小さいスタジオに入って、鍵盤を弾いてもらいながら、半・即興みたいな感じで曲を作らせてもらったり。
──曲を作ると“こういうコード感が好きなんだな”とか、いろいろわかってきますよね。
そうなんですよね。何でもそうですが、「モノ作りには“人”が出て来るんだな」ということも改めて感じられて。音楽プロジェクトのなかで、自分を顧みることも多いんですよ。役者の仕事でも、「自分にはこういう一面があったんだな」と気付くことがあるんですが、それは音楽も同じで。自分がどういうものが好きで、どういうことに興味があるのか――そういうことがフワッとしてたんですよね、以前は。でも、曲を作っていくなかで、自分が本当に好きなもの、何をやりたいと思っているかを突き詰めて考えるようになって。
音楽のジャンルもそうだし、もっと広く、自分のセンスとか感性だったり。この3年半の間に自分と向き合うことも多かったし、周りの方に導いてもらいながら、ちょっとは成長できたのかなって。それは今回のアルバムにも出ていると思いますね。聴いてくれた方からの反応や感想も楽しいんですよ。「JUNCTION」の収録曲はバリエーションがあるから、「この曲が好きです」というのも人によって様々で。「最初は○○が好きだったけど、先月から××という曲が気になってます」と言われることもあって、「先月、何があったんだろう?」って気になったり(笑)。
音楽のジャンルもそうだし、もっと広く、自分のセンスとか感性だったり。この3年半の間に自分と向き合うことも多かったし、周りの方に導いてもらいながら、ちょっとは成長できたのかなって。それは今回のアルバムにも出ていると思いますね。聴いてくれた方からの反応や感想も楽しいんですよ。「JUNCTION」の収録曲はバリエーションがあるから、「この曲が好きです」というのも人によって様々で。「最初は○○が好きだったけど、先月から××という曲が気になってます」と言われることもあって、「先月、何があったんだろう?」って気になったり(笑)。
──竹内まりやさんの提供曲「新しい朝」、早見さんのオリジナル曲「温かな赦し」などもそうですが、早見さんのボーカルの表現力も印象的でした。
「新しい朝」は言葉の重みがすごく感じられる曲で、レコーディングでも歌いながら感極まってしまって。壮大だし、とにかく素晴らしい曲なので、かなり気負いがあったんですが、歌っていくなかで「自分の心が震えて、その振動が聴いてくれる人にも伝わればいい」と思って。
「温かな赦し」はミニマムというか、小さい世界のなかで素朴に作った曲なんです。ただ、歌詞にはかなり苦戦しましたね。最初は曖昧な表現が多くて、ぼんやりした印象だったから、レコーディングの直前にもっとハッキリした言葉に置き換えたんです。歌っていても言葉が際立っているのを感じたし、ライブでどんなふうに届くのかも楽しみです。
「温かな赦し」はミニマムというか、小さい世界のなかで素朴に作った曲なんです。ただ、歌詞にはかなり苦戦しましたね。最初は曖昧な表現が多くて、ぼんやりした印象だったから、レコーディングの直前にもっとハッキリした言葉に置き換えたんです。歌っていても言葉が際立っているのを感じたし、ライブでどんなふうに届くのかも楽しみです。
──ボーカルの表現も変化している?
そうですね。音楽活動をはじめてから、キャラクターソングを歌うときの感度が高くなった気がするんですよ。「この曲の良さはこういうところにあるんだな」と考えるようになったし、クリエイターのみなさんに対して「こんなに素敵な方の曲を歌わせて頂いていたんだな」と思うようになって。感謝とリスペクトが増えましたね。レコーディングの資料も取ってあるんですよ。「この曲のときは、こういうディレクションをされた」みたいな記憶を残しておきたくて。
──ライブについても聞かせてください。2016年に東京、大阪で初のワンマンツアーが行われましたが、早見さんとってはどんな経験になりましたか?
ライブがはじまるまでは緊張していたんですが、ライブ中はけっこう楽しんでいた気がしますね。バンドの生の音も素晴らしかったし、一瞬一瞬、ライブが作られていく感じがすごく良くて。2年半前だから、美化されている部分があるかもしれないけど(笑)、楽しかった印象が強いです。
──4月からスタートする2度目の全国ツアー「Concert Tour 2019 "JUNCTION"」は、公演数も規模もスケールアップしていて。どんなライブになりそうですか?
新しいアルバムを軸にして、そこにこれまでの楽曲がどう交わってくるのかな?という感じですね。ライブで歌ったことがない新曲もあるし、ドキドキしてます。セットリストは、まず私がもとになるものを提出して、スタッフのみなさんと相談しながら決めました。
──音楽活動では、早見さん自身が決めることも多いですよね。
いちばん違うのは、そこですね。役者や声優のお仕事は、最初に台本があって、そこから膨らませていくんですが、音楽の場合は、まず私から「こうしたいです」というものがないと始まらなかったりするので。最初の頃はそれも大変だったんですよ。いくつか選択肢があって、どれも良く感じてしまったり、「これを選んだら、どうなっていくんだろう?」と見えないところもあって。そういう経験を重ねるなかで、いまの自分があるんだと思うし、それは次のツアーでも反映できると思いますね。
──リスナーのみなさんへの思いも深まっているのでは?
それはすごくあります。ライブに足を運んでくれる方には「本当にありがとうございます」という気持ちだし、「どうやったら、もっと楽しんでもらえるかな」と考えるようになって。アルバムの制作でも、「これはライブ向き」ということを加味するようになったんです。
たとえば「この曲のアウトロはもっと長くしたいけど、それはライブに取っておこう」とか。一緒に楽しめるライブにしたいですね!
たとえば「この曲のアウトロはもっと長くしたいけど、それはライブに取っておこう」とか。一緒に楽しめるライブにしたいですね!
PRESENT
直筆サイン入りポスターを3名様に!
※転載禁止
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