DI:GA ONLINE読者の皆様、こんにちは。シンガーソングライターのUEBOです。
このコラムは【シンガーソングライターUEBOがその日その時その場所で感じたことや疑問を、イラストを添えてお届けする煩悩エッセイ】です。煩悩への僕なりの回答が果たしてズレているのかどうか…読者の皆様に答え合わせしてもらうべく、日々ペンを走らせております。
先日ドンキに行ったら、ガンダムのプラモデル、通称ガンプラを見つけまして。ひさしく味わっていなかったタイプのトキメキに全身が震えました。しかし値段を見たら3000円。ノリで買うにはちょっと高い…後日専門のショップにでも行って、1000円前後のやつを買って楽しもう。その時はそう思ってドンキを後にしました。
でも今になって思うんです。あの時、あの訳の分からない興奮とノリのままに、ガンプラを買っときゃ良かった、と。
あの時感じたエネルギーをありがちな言葉で言うならば、きっと「少年の心」ってやつなのでしょう。プラモを買う。帰りの電車の中で我慢できずに箱の中をのぞく。帰ったら手も洗わずに箱を開ける。作り終えるまでメシも食わない。そんな正体不明の、「役に立たない」エネルギー。
いつの間にか、生活にまつわる全てのものを「役に立つか・立たないか」で判断するようになっているな、と感じます。この本を読めば作詞の「役に立つ」かな、この人と会えば何か自分の生き方の「参考になる」かな、この音楽を聴けば自分の音楽を良くする「役に立つ」かな、云々かんぬん。息苦しいです。
そして、今僕が専門ショップに行って1000円前後のガンプラを買ったところで、それは僕が「少年の心」を取り戻す「役に立つ」のでしょう。あぁ、息苦しい。
衝動に駆られる。そして息つく間もなく没頭する。ふっと我に返って、「俺、なんでこんなことしてたんだろう…?」と思わず笑ってしまう。いま僕が心から欲しているのは、そんな瞬間。そりゃ「役に立つ」こと抜きには生活は回りません。だけど、僕が心から癒されるのは思考から解放されている瞬間、我を忘れている瞬間なんです。そして、そこにはきっと人生がある。
生活≠人生。
ズレてはいないと思うんだけど、どうかなあ。