G-FREAK FACTORY “Dandy Lion” TOUR 2022~FINAL~
12月4日(日) 高崎芸術劇場
「日本のアフリカ、群馬を25年間ずっと守ってきました。何を隠そうビジュアル系バンド、G-FREAK FACTORYです。今日もカッコ良くてすみません!」
G-FREAK FACTORYワンマンライブ序盤、茂木洋晃(Vo)が地元・群馬への愛といつもの挨拶を告げると、多数の地元民を含むファンから大きな拍手が起きる。12月3日(土)群馬・高崎芸術劇場にて、G-FREAK FACTORY主催による音楽フェス『山人音楽祭 2022』が開催。翌4日(日)には同会場にて、『G-FREAK FACTORY ワンマンライブ』が開催された。
以前はグリーンドーム前橋にて開催されていた『山人音楽祭』だったが、コロナの影響もあって、会場を移しての2度目の開催。規模縮小と言ってしまうと寂しいが、少数精鋭とも言える間違いのないラインナップはG-FREAK主催だからこそ。岩崎有季、どんぐりず、FOMAREといった群馬出身のアーティストと、10-FEET、BRAHMAN、THA BLUE HERBといった心強い盟友たちを迎えて開催された『山人音楽祭』は大成功のうちに幕を閉じ、翌日のG-FREAKワンマンへとバトンを繋いだ。
僕も2023年に地元・長野でのフェス開催を企画していて、長野で色々と活動してるのでよく分かるが。正直言って、ローカルの音楽現場は現在も厳しいばかり。だんだんとコロナ前の日常に戻ってきた東京と異なり、それぞれが色んな事情を抱えてて、ライブハウスやフェスへの客足がいまだに遠のいているのがリアル。でも、だからといって諦めることなく、G-FREAKのようなローカルバンドや地方のライブハウスは闘い続けている。魅力ある企画を打って、感染予防を徹底して。再び、音楽現場にお客さんに足を運んでもらえるように、必死で努力しているのを僕もよく知っている。
だからこそ、愛する地元・群馬を必死に守り続けるG-FREAKに共感し、共闘してくれた群馬出身のバンドや盟友たちと共に作り上げて、地元民を中心とした大勢の観客を集めた『山人音楽祭』が見れたのは本当に良かったし、すごく感動した。「俺たちは諦めない。これからの未来のために、自分たちのために、仲間のために。怖いとか言ってる時間はもう過ぎた。次に行こう、掴みに行こう」という、茂木洋晃(Vo)の言葉に心底共感したし、奮起させられた。
そして、そんなG-FREAKの愛する群馬をもっと知った上で、ワンマンを見届けたいつうことで。『山人音楽祭』観覧後は東京に帰らず、新前橋に宿泊。群馬を満喫してから、G-FREAKワンマンに挑むことにした僕。夜は一人で上州牛を食って、ホテルのサウナでととのって。翌朝はゆっくりホテルをチェックアウトして、前橋駅方面にある目的地に向かって、市内散策をしながらウォーキング。ライブ後は、すぐに東京に帰らなきゃいけないので、今回は「ライブ終わったら、ど~する?」でなく、「ライブ行く前、ど~する?」つうことで。お目当ては、大好きな『秘密のケンミンSHOW』で最近紹介していた、「シャンゴ」の“ベスビオ”。
正確には前橋でなく、高崎の話だが。パスタが名物で、“パスタの街”として知られる高崎市。そのキッカケとなったのが、1968年に開店して、いまも人気店であり続けるイタリア料理店「シャンゴ」。シャンゴに集まった料理人がパスタ料理を習得して、高崎市内に多くのパスタ屋さんを出店したことから、高崎が“パスタの街”と呼ばれるようになったそう。地元民にはよく知られてるけど、他県ではあまり聞かない“ベスビオ”なるメニューを求めて、シャンゴへ。
日曜の昼時ということもあって、店の外まで行列が出来ていたシャンゴ前橋南店。「群馬の人、ホントにパスタ好きなんだ!」と驚きながら、待つこと20分。店内へと案内されて、迷わずベスビオを注文。昭和40年代、シャンゴの先代が大好きだった辛味噌ラーメンをヒントに開発。イタリアの火山からその名が付いたというベスビオ。イカやエビ、あさりやムール貝といった海鮮がたっぷり入ったピリ辛のトマトパスタは、めちゃくちゃ美味! 海鮮の旨味が贅沢で、初めて食べた気がしないポピュラリティもあって、「これ、なんで群馬でしか食べられないの!?」と思いながら美味しくいただく。
その後は近くのショッピングモール「けやきウォーク前橋」をぶらぶらしたり、喫茶店に入ってPC開いて仕事したり。前橋駅に向かう路地裏でブワ~ッと吹き付ける突風に「これが群馬名物・からっ風か!」と群馬らしさを体感したりして。程よい時間になったところで、両毛線で高崎に移動。高崎で気になってたのは、「絶メシ」。地域に根づいた、“失うには惜しく、絶やしてはならない絶品グルメ」=絶メシ”を紹介する、高崎のローカルグルメサイト『絶メシリスト』。このサイトを参考に古き旨きお店を尋ねて、上州名物・焼きまんじゅうを食べるというのが、次の目的。
『絶メシリスト』を参考に、高崎駅から歩くこと15分。お店に到着するも……なんとお休み! しかし、『絶メシリスト』にも書いてあるように、「絶メシ店によっては、日によって営業時間が前後したり、定休日以外もお休みしたりすることもございます。そんな時でも温かく見守っていただき、また別の機会に足をお運びいただけますと幸いです」というのも絶メシの味であり、これも絶メシのひとつの楽しみ方。「じゃあ、ど~する?」とGoogle Mapをうぬぬとにらみ、見つけたお店は「CAFE高崎じまん」。
道中の駐車場に飾られた、だるまをモチーフとした高崎らしいイルミネーションにほっこりしながら、お店のある駅前のファッションビル『高崎OPA』へ。「こんなおしゃれなビルで、焼きまんじゅうが食べられるの?」と疑問に思いながらお店に到着してメニューを眺めると、本当だ! 「高崎焼きまんじゅう(210円)」だって!! 飲食スペースを見ると、若い女の子がコーヒー飲みながら、焼きまんじゅうを食べてたりして、高崎では一般的な食べ物なんだと感心。「揚げまんじゅう カリッとシナモン(240円)」なんて、ちょっとおしゃれなメニューもあるけど、ここは焼きまんじゅうを注文。
到着した焼きまんじゅうの大きさにちょっと驚くも、まんじゅうというよりは蒸しパンのようなふわふわな食感に、焼き目の香ばしさと甘い味噌ダレがばっちり合って、すごく美味しい! 最初は「こんなに食べれるかな?」と思ったけど、エアリーな感じでパクパク食べれて、あっという間に一本完食! 絶メシ店に行くのは叶わなかったけど、名物グルメも高崎の街の雰囲気もしっかり味わって、G-FREAK FACTORYのワンマンが行われる高崎芸術劇場へ。
僕みたいな2日連続参戦の人も多かったであろう、この日のワンマン。地元の人がかなり多めと推測される客席は、開演前からアットホームな雰囲気とG-FREAKへの愛と期待に満ちた温かさに溢れ、G-FREAKは本当に群馬の人々に愛されているのだなぁと実感。たくさんのゲストが出演することが、事前発表されていたこの日。ライブの幕が開くと、ステージには大きな和太鼓がずらり並び、高崎頼政太鼓のいさましい上州太鼓の響きで、ライブが始まる。
続いてメンバーが拍手に迎えられて登場し、原田季征(Gt)のイントロで始まった楽曲は「大地の勇者たち」。渡部“PxOxN”寛之(Dr)のドラムに吉橋"yossy"伸之(Ba)の野太いベースが重なると、上州太鼓の力強い和太鼓も加わり、重厚で壮大な演奏で観客を圧倒すると、茂木がライオンの雄叫びのように吠え声を上げる。地元開催ならでは、ホール会場ならではのスケール感あるオープニングに、割れんばかりの拍手が鳴り響く。イントロに全員が手拍子を合わせ、<素晴らしき愉快な世界にありったけの愛を>と始まった「STAY ON YOU」で互いの気持ちが繋がっていることを確認し合うと、「G-FREAK FACTORY、始めます」と改めて宣言。「SOMATO」、「乞え -KOE-」と続いた序盤戦。客席の熱気がどんどん上がると同時に、結束力がどんどん強固になっていくのが分かる。
MCでは「Dandy Lion」ツアーが茂木の体調不良やコロナの影響で14本中9本中止になってしまい、5本目にしてファイナルを迎えること、PxOxNがこのステージをもってG-FREAK FACTORYを脱退することを改めて告げ、「お前らと一緒だったら、間違いなく良いものが出来ると信じて、このステージに立ってます。最後までよろしくお願いします」と挨拶。続いて、疫病や戦争と暗い世を憂い、聴く者の心の炎を燃えたぎらせた「Fire」、「諦めたら終わるんだよ。25年やってます、過去に解散するチャンスなんて過去に何百回もあったんだよ。やって来れた、やっていく」と宣言した「チャンダンの香るこの部屋から」と、その曲を演る意味と想いを込めた楽曲たちを力強く丁寧に届けると、<いつもここにいるから>と旅立つPxOxNに捧げるように「らしくあれと」を披露。ただのリリースツアーのファイナルではない大舞台に強い想いと覚悟を持って臨み、怒りや願いや感謝や喜びといった感情をダイレクトにぶつける楽曲の1曲1曲が、ガツンと響く。
中盤は気心知れた仲間、リスペクトしてる先輩をゲストに招いてのコラボ。山人音楽祭でもMCを務めていた、群馬のラッパー・NAIKA MCとDJのR da Masta、茂木がキッズだった時代から観ていたSCAFULL KINGのAKIRATT、三味線の上原梅弦、ROUGEのギタリスト・香川誠と、群馬出身の豪華アーティストたちとの贅沢なコラボレーションで観客を圧倒。MCでは「自分の未来のため、みんなの未来のために、足を止めないことを決めた」と覚悟を語ると、「コロナによって失ったものもたくさんあれば、手に入ったものもいっぱいある。俺にとってはそれがローカルでした」と群馬の素晴らしいアーティストや仲間たちとの出会いを語り、自身が群馬で活動してきたことの誇りを告げる。上州弾語組合の3人をコーラスに招き、披露した曲は「Dandy Lion」。たんぽぽみたいにみんなで力を合わせて必死でしがみついた日々、綿毛のように離れていった仲間たち。様々な想いを込めた歌と演奏が、心震わせる。
会場中が心の声を合わせた「Too oLD To KNoW」から、「5年前にPxOxNが入ってきた時、どうやっても上手くいかない曲があって。数百回、数千回単位でやってきて、やっといまのG-FREAKの形が出来ました」とエピソードを語り、「今日演るこの曲が、おそらく今までの数千回の中の最高の曲になると思います」と始まった曲は「ダディ・ダーリン」。一言一言、一音一音にたっぷり気持ちを込めて、音楽の音符にない部分までしっかり表現。PxOxNを抱きしめた茂木は、「なんで最初からそう出来なかったんだよ。最高だったよ、PxOxN。ありがとう」と笑顔を見せる。本編ラストは「GOOD OLD SHINY DAYS」で、希望溢れる中でフィニッシュ。PxOxNの挨拶で始まったアンコールでは「日はまだ高く」で出演者全員がステージに上がり、会場中でジャンプを合わせて大団円。G-FREAKが新しいドラムを入れてすぐにライブをやることも告げ、次に繋がる期待にも満ちたエンディングとなった。
帰り道、高崎から新幹線に乗ると、ビールを飲みながらゆっくり余韻に浸る間もなく、50分足らずで東京駅に到着。近くて遠い群馬にはそこに生まれ育ち、地元を守ろうと必死で闘うG-FREAK FACTORYがいた。それぞれに守るべき故郷があって、守るべき仲間たちがいて、守るべき音楽がある。僕もバンドマンではないけれど、長野という愛する地元があって、そこには大好きなライブハウスがあって、地元で頑張ってるバンドマンたちがいて、長野で育つ音楽を守りたいし、長野をもっと盛り上げたいと心から願ってる。『山人音楽祭』を見て、G-FREAKの姿を見て、それを求める群馬の人たちの姿を見て、僕ももっと地元のために尽力したいと思ったし、全国の地方都市の人たちが心の炎を燃やして、日本全体の底上げになれば良いなと思った。偉い人たちに任せてたって、何も変わらない。自分の未来のため、みんなの未来のため。このクソみたいな時代に諦めることなく、自ら足を踏み出したいと思った。長野のみんな、待っててね! 俺がもっと面白くすっから!!