4月23日(土)18:00 宮田和弥@新代田FEVER
2月22日にリリースしたニュー・アルバム『The 21』のツアーで、ひとりで弾き語りで全国14本を回った上で、最後に東名阪でバンド編成でやって締める、そのバンド編成編の1本目=新代田FEVER2デイズの1日目。
『The 21』収録の13曲すべてと、それ以外のソロの曲も加えて、本編16曲・アンコール3曲の、計19曲。前半のMCによると、「昔は曲が足りなくてジュンスカの曲もやったりしてたけど、今は全部ソロの曲でやれるようになった」とのこと。
その1曲1曲を、丁寧に誠実に伝えていく、とても充実したステージだった。歌っている側にブレや迷いがないので、受け取る側もシンプルな気持ちで身を音楽に委ねられる時間。
あと、今さら言うことじゃないが、この人のMC、独特だ。「これを言ったらこう思われるかも」とか考えずに、その場で頭によぎったことを正直にしゃべっているんだけど、妙におもしろい。お客さんもいちいちウケている。でもこれ、他の人が同じことをしゃべったら何もおもしろくないだろうな、寄席言葉で言うところの「フラがある」とか「ニンがいい」というのは、こういう人のことを指すんだろうな、と、思った。
前にも宣伝しましたが、『The 21』の特設サイトに、私によるインタビューがアップされています。ぜひ。≫ 宮田和弥 5th Album『The 21』official interview
4月24日(日)17:30 Caravan@仙台 retoro Back Page
東京などでの単発のライブはあったが、ツアーで各地を回るのは(全8本)、なんと4年ぶり。しかし、東京公演=5月5日(祝)東京キネマ倶楽部の日は、自分は『OTODAMA’22』で大阪に行くことがもう決まっている。じゃあ地方まで行こう、というわけで、仙台へ足を運んだ。
会場のretro Back Pageは、広い老舗のバーで、とても雰囲気のいい店。で、本来のキャパよりも上限は絞ったそうだが、席はみっちり埋まっていて、集まったみなさん、久々にCaravanの歌を生で聴けることが、本当にうれしそう。
という開演前のムードを見た段階で「あ、絶対いいライブになるわ、今日」と思った。しかし根強いな、Caravanの人気。コロナ禍を経ての……いや、経てないわ、コロナ禍の最中の4年ぶりの弾き語りツアーで、仙台でこれだけの人を集めるというのは。
お客さんが声を出せなくて一方通行になるのが嫌、ということで、事前にみなさんにメッセージを書いてもらい、MCのたびにクジ箱からそれを引いて読み上げながら進んでいくライブ。新旧のライブ定番曲から、最新曲の「Kid」まで、うれしい曲だらけだったし、Caravan本人も、こうしてツアーをやれることの喜びを噛み締めながら歌っていることがわかる、とてもグッとくるパフォーマンスだった。
4月24日(日)17:45 ピーズ/びっくりしたな、もう@下北沢CLUB Que/CLUB QUE LIVE STREAM/Streaming+
そのCaravanの仙台と同じ日だったので、配信のアーカイブで観た。CLUB Queの企画で、この2バンドが対バン。びっくりしたな、もうは、真心ブラザーズの桜井秀俊が真心以前から組んでいるトリオ・バンドで(彼がボーカル&ギター)、メンバーふたりは大学卒業後に普通に就職したが、今でもこうしてたまにライブをやっている。
先攻はそのびっくり。ライブは1年おきにやっていたがコロナで3年空いた、いつもCLUB Queの二位店長が忘れずに声をかけてくれる、それがなかったらうち、ライブないですからね、とベースの滝将之。その3年前のライブはTOMOVSKYと対バンで、バックのベースを務める双子の兄=ピーズのはること大木温之が食道がんの手術で休んでいた時で、エールの意味でピーズの「このままでいよう」をカバーした。でもそれを今日演奏する勇気はどこにもないです! と、桜井秀俊。愉快なMCをはさみながら全9曲を演奏。ラストの曲の前に桜井、「2022年、びっくりしたな、もう、やれることはやったような気はしています、ありがとうございます」と挨拶。
ピーズは、持ち時間を守るため、はるがストップウォッチで時間を計測しながらのライブ。「赤羽ドリーミン(まだ目は醒めた)」で始まり13曲目「ブラボー」まで駆け抜けたところで、51分15秒。はる、「ありがとう、じゃあアンコール、このままやっちゃおうかな」と、いったんステージからはけるのを省略して「生きのばし」をプレイ。
そして、「俺のこのスペシャルヤマハ(のセミアコ・ギター)を弾けるのは、世界広しと言えども昭和の仮面をかぶったあの男しかおらんやろが!」と桜井を呼び込む。桜井、「先輩、ご機嫌っすねえ!」と言いながらギターを受け取り、「脳ミソ」に突入。ピーズで弾く桜井、ハンドマイクで歌うはる、どちらもとてもレア。観れてうれしかった。
4月27日(水)19:00 ユニコーン@Zepp DiverCity(TOKYO)/CSテレ朝チャンネル1
ユニコーン、ニューアルバム『ツイス島&シャウ島』のツアーで、昨年8月から11月まで各地のホールを回ったあと、2月からもう一回、各地のZeppを回るツアーを開催。「“ドライブしようよ”スピンオフツアー『EBI & UNICORN “狙ったエモノは逃さねぇ”』」というタイトル。“狙ったエモノは逃さねぇ”というのは、『ツイス島&シャウ島』収録のEBI作詞作曲ボーカルの曲「米米米(マイベイベイと読みます)」の歌い出し。
2009年に活動再開して以降のユニコーンの指針の大きなひとつに「レコーディングにしろライブにしろ、メンバー5人で集まっている時に、いかに自分たちが大笑いできるか」というのがあるが、その一環、と言っていいと思う。
要は、いちばんおもしろいのは、本人はまったく狙っていないのにおもしろい人である、という事実を体現し続けるEBI、その言動をメンバー4人でオーディエンスで楽しみましょう、ということですね。この日はそのツアーのファイナルで、CSのテレ朝チャンネル1での生中継もあった。
で、実際、予測不能な言動を次々と繰り出すEBIに、オーディエンスもメンバーも大笑いしたり、時には予測がつかなすぎて絶句したり、という、それはそれは楽しい時間になったが、アンコールでそれ以上の笑いが待っていた。
アンコールの「人生は上々だ」の曲中のブレイクの寸前で、演奏がものすごいレベルで破綻(あきらかに違うコードを弾いているメンバーがいる)。ブレイクに入るや否やABEDON、「なんだこの体たらくは!」と叫ぶ。あっはっは。来てよかった。
4月30日(土)17:30 フラワーカンパニーズ@新宿BLAZE
4月9日(土)の松山から5月25日(水)の神戸までの11本のツアー『三十三年連続BOP』の6本目であり、ボーカル鈴木圭介の53歳のバースデイ・ライブ(毎年この日はライブをやっている)。
このツアーの会場から発売になったニューシングル『絶賛公開中/行ってきまーす』収録の3曲や、「揺れる火」「燃えよフラワーカンパニーズ!」「産声ひとつ」「ロックンロールバンド」などの最近の曲、「脳内百景」「深夜高速」あたりの古い曲も網羅したセットリスト。中盤の「感情七号線」「虹の雨あがり」「なんとかなりそう」と、静かめの曲を3曲並べたブロックが、特に感動的だった。
なお、コロナ禍でも極力止まらずにライブを続けてきたフラカンだが、コンパクトなライブハウスが中心だったので、この新宿BLAZEぐらいの規模(キャパ800人)でワンマンを打ったのは、久々。調べたら2021年4月23(金)のリキッドルーム以来。で、その時は、コロナ禍の状況もあって、本来のキャパよりもかなり抑えた動員だったが、今回はお客さん、びっしり。と言っても、今回も本来のキャパよりも上限を抑えてはいたが、それでもフロアいっぱいにオーディエンスがいて、(マスクしているし声は出せないながらも)ステージに熱く反応している光景には、「ああ、この感じ、いつ以来だろうなあ」という感慨を覚えました、とても。