──5月9日に初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』がリリースされて、そのアルバムを引っさげてのツアーが6月14日・15日には日本武道館、6月30日・7月1日には大阪城ホール、7月からはアジアツアーと続いていくわけだけど、このベスト盤をきっかけに、LiSAのライヴに来てみたいなと思ってる人達にも、改めてLiSAの楽曲とライヴの楽しみ方を伝授してもらえたらなと。
はい!了解です。シングルももちろん、私が曲を作るときって、自分のその時々に感じた想いや気持ちが反映されたものが多かったりするんです。その全てと言っていいほどが、ライヴで起きたことや、ライヴで感じたことだったりするんです。ファンのみんなと過ごす時間のことを、そのまま歌詞にしていることが多くて。今回のベストアルバムで言うと、『LiSA BEST -Day-』の中に収録されている「Rising Hope」と「シルシ」は、1回目の武道館(2014年1月3日・日本武道館でのワンマンライヴ『LiVE is Smile Always~今日もいい日だっ~』)があったからこそ生まれた曲と歌詞だと思っているんです。私にとって武道館は、オーディションで立った場所でもあって、そのときから、"いつか自分のライヴでこの場所に立ってみたい!"って思っていた夢の場所でもあったし、念願の場所だったんですけど、自分のベストな状態がライヴで出し切れなくて、すごく悔しい想いを残してしまったんです。3曲目くらいで、"あぁ、もうみんな帰っちゃうかもしれない……"って思ったんだけど、みんなちゃんと最後まで一緒にライヴを盛り上げてくれて、私を支えようとみんなが一緒に歌ってくれた、本当にみんなに助けられたライヴだったんです。そんな景色をみんなが見せてくれたから、私は、そのとき、"この人達の一緒に見たい景色がまだまだある!この人達を絶対に連れて行きたい場所がある!"って心に誓ったんです。戦わなくちゃって思ったというか。そんな想いから、「Rising Hope」は出来た曲なんです。
──「シルシ」も、歌詞を読んでもらうと伝わると思うんだけど、これもまた、LiSAが見た景色と決心の歌詞だからね。
そうなんです。自分の物語の中で曲を作ってきているので、きっとその場所に一緒に居てくれた人達は、その時の場面が思い浮かぶくらいリアルなんじゃないかなって思います。メッセージ的には「Rising Hope」と似ているんですけど、"みんなが居てくれたから頑張れる"っていう想いが込められてますね。「Rising Hope」がライヴの真っ最中の想いだとしたら、「シルシ」は、ライヴが終って帰る帰り道での想いかな。
──LiSAのライヴは、これまでもいろんなコンセプトで行われてきていたりもするよね。
そうですね。2016年の11月26、27日に横浜アリーナでやった2DAYSのワンマンライヴ『LiVE is Smile Always~NEVER ENDiNG GLORY~』のときは、LiSAと同じ気持ちを持ったSUNちゃんとMOONちゃんの曲っていう風に、活発なSUNちゃんと、ちょっと引っ込み思案のMOONちゃんという姉妹を1日ずつテーマにしてライヴをしたりもしたし、2回目の武道館だった2015年の1月10、11日のワンマンライヴ『LiVE is Smile Always ~PiNK&BLACK~』では、ポップとロックで分けたライヴをしてみたりもしたし。とにかく来てくれたみんなに楽しんでもらえるようなライヴを作れるように、毎回考えてます。なので、毎回、ライヴのテーマによって、歌う曲や歌わない曲がある感じですね。
──男子限定、女子限定ライヴもしていたけど、そのセットリストはどういう基準で決めてたの?
女の子限定の日は、一人称が"私"の曲ばかりを選んで、男の子限定の日は、一人称が"ボク"の曲ばかりを選んでセットリストを組んだんです。
──それすごいね!LiSAの楽曲でしか出来ないことでもあるよね。
そうなんですよね。男の子の日はロックな曲とか、女の子の日はポップな曲とかにするのは、当たり前過ぎちゃうかな?って思って。何か私らしいことが出来ないかな? 後からみんなが紐解いていったときに、その仕掛けが分かって、"お!ヤベェ、LiSA天才!"って思ってもらえたら嬉しいなと思ったんです(笑)。
──さすが、遊び場を作る天才!
あははは。ありがとうございます!
──たしかに、LiSAの曲って"私"と"ボク"があるもんね。そこは意識的に変えて書いているんだよね?
そうですね。意識的に変えてます。私は女性なんですけど、女の人の悪い部分というか、わがままな部分を書くときは、"私"の一人称で書くことが多いんです。文句を書くときとか、わがままなことを書くときは、"私"。"だって、私女の子だもん!"って最後に"女の子"を武器にしちゃうっていうか(笑)。そうすると、なんでも言えちゃうんです(笑)。
──あははは。LiSAは実際にそういう女の子じゃないから、ちょっと着ぐるみ着ちゃうような感覚?
そうですそうです(笑)。着ぐるみ着てるから、こんなこともやっちゃえ!みたいな(笑)。
──じゃあ、LiSA的には"ボク"を一人称で書いているときの方が、素直な言葉ってこと?
そうですね。"ボク"の方が素直です。だからほとんど"ボク"なんですけどね。素直な自分を書くことが多いから、"ボク"が多いです。なんかね、"ボク"で書いてるLiSAは、"今日もいい日だっ!"って言ってる、表に立ってるときのLiSAで、"私"で書いてるLiSAは、素直とはまたちょっと違うんだけど、そこも偽りの私ではなくて、素直よりももっと本音のLiSAというか。着ぐるみ着てわがままいっぱい言ってる感じもあるんだけど、もっと本能な部分もあるというか。なんかちょっと矛盾してる(笑)?
──いやいや、すごく素直な感情だと思うよ(笑)。両方自分なんだよね。でも、"ボク"の方は、性別とか関係なく、より素直なLiSAで、"私"の方は、LiSAであることには違いないんだけど、もっと一個人の女性というかね。
そうですそうです!"私"の方は、理性が外れた後みたいなね。
──なるほどなるほど。ってことは。女子限定が"私"の一人称ということは、女同士、この感覚解るよね?的な、女子会でもあった感じだね!
そうですね(笑)。まさに、女子会ですね(笑)!
──女子会って、怖いもんね〜。
女子会って怖いですよね〜(笑)。女の子なら誰でも経験があると思うんですけど、男の子に愚痴ると、"まぁまぁまぁ。そうカリカリすんなよ〜"とかって、めんどくさがられて流されちゃうから、なかなか男の子に愚痴ったりできないじゃないですか。正論で返されちゃうというか。いやいや、分かってますよ、分かってます。分かってるんですけど、今、この愚痴を聞いてもらえませんか?みたいなときってないです(笑)?
──分かる分かる!今、諭されたいんじゃないの。ただただ、この愚痴りたい気持ちを聞いてほしいの!っていうね(笑)。
あははは。そうそうそう!分かってるけど、聞いて〜〜〜っ!みたいなね(笑)。女の子は聞いてほしいだけだから(笑)。
──"ちょっとだまってて"っていう言葉が、歌詞中にボソッと入ってる曲もありますしね、LiSAさんの曲。
あははは。ありますあります(笑)。でも、女子同士だとその鬱憤が分かり合えるんですよね〜(笑)。
──女の子人気の高い曲とかあるの?
リクエストを募ったりするから、人気曲とかは分かるけど、女の子人気の曲ってところまでは分からないなぁ。でも、『LiSA BEST -Day-』に入っている「ジェットロケット」っていうアルバム曲なんですけど、この曲は、みんなが自分の歌だって思ってくれてるなって感じた曲だったんです。「ジェットロケット」は、「best day, best way」(2013年4月にリリースされた3rdシングル)よりも前にあった曲で、「ジェットロケット」があったから、「best day, best way」を作ろうと思ったくらいの曲なんです。「ジェットロケット」という曲で、LiSAという人がどういう曲を歌っていくべきか、ということがしっかりと見えたというか、固まった気がしたんです。私は最初、ミニアルバム、シングル、フルアルバム、という順番で出していったんですけど、ミニアルバム『Letters to U』(2011年4月リリース)では、自分が何をやりたいか、ということを差し出す作品で、次に出した1stシングル「oath sign」(2011年11月リリース)では、タイアップの楽曲で、"アニメとLiSA"という関係を象徴した作品でもあったので、アニメとどうやって関わっていこうかというものだったんですね。フルアルバム『LOVER"S"MiLE』(2012年2月リリース)を作ったときは、それまでのいろいろと全部詰め込んだ中に、「ジェットロケット」を入れたんです。「ジェットロケット」という楽曲は、頑張っていく自分の過程を描いた楽曲なんですけど、日比谷野外大音楽堂のライヴ『LiVE is Smile Always〜LOVER"S"MiLE〜』(2012年4月)で、この曲を歌ったとき、みんなが一緒に歌ってくれたのを見て、みんなが本当にこの曲を自分の曲だと思って歌ってくれているのを感じたんです。その光景を見て、"あ、私がライヴでやりたかったことって、これだな。私が作っていきたい、歌っていきたい音楽というのは、これだな"って、そのときに思ったんです。
──最初の話もそうだけど、LiSAはやっぱり全部ライヴからいろんな感情をもらっているんだね。
本当にそうなんです。聴いてくれる人達の楽曲になる音楽を作りたいって思っているんです。「ジェットロケット」で、その光景に出逢うまでは、自分の気持ちを音楽にすることが多かったんです。"私のこと聞いて!"って、自分の主張を出してる曲が多かったんですけど、そこからは本当に変わりましたね。