開場1時間前にZepp DiverCity Tokyo(以下、Zeppダイバーシティ)付近に到着し、早速目撃したのは、フレンズグッズを身にまとうファンたちと入り口付近のグッズブースにできた長蛇の列……観光客でにぎわうお台場で会場前はひときわ目を惹いており、ファンたちは会場に入る前から、すでに<petit town release tour~グランパーティー!~(以下、グランパーティー)>を楽しんでいる様子だ。
会場へと入りフロアを眺めると、さすがのソールドアウト公演。約2500人のキャパを誇るZeppダイバーシティは人で溢れかえっている。フロアも巻き込んで共にライブを作りあげるという形でファンを楽しませるフレンズだが、このキャパシティでのワンマンは初となる。どのようにフロアの隅々まで巻き込み、ライブを作りあげていくのか……想像すると楽しみでならない。
ステージ上には『プチタウン』のジャケットに描かれた月が立体的に組まれており、セットについて話し、スマホで撮影をしながら開演を待っていた観客たちもチラホラ。すると、公演の陰アナウンスが聞こえてきたが、なんだかゆるいアナウンス。違和感を覚え、しっかりと聞いてみると、なんと影アナウンスの声の主は、おかもとえみ(以下、おかもと)だ。気付きはじめたフロアが徐々にざわつきはじめる。締めの影アナウンスでは、「精一杯歌わせてもらいます!」と宣言したのは、ひろせひろせ(以下、ひろせ)。登場前から意表を突いたフレンズらしい演出で、ざわつきは歓声へと変わった。
歓声に迎えられ、セットの月の上からメンバーが登場。 ひとりひとりが個性的なポーズを決めて、ステージへと降りてくる。それぞれの立ち位置へ着くと、「パーティーしよう!」のSEとともに、ひろせの「Zeppダイバーシティにパーティを持ってきました!」のあおりで<グランパーティー>が開幕した。長島涼平のベースさばきも別段弾んで聴こえ、おかもととひろせの「ベース格好良いわ!」の掛け合いフレーズからの、三浦太郎(以下、三浦)のS級なライム。フレンズのライブは初めての観客もいるはずだが、1曲目からフロア全体がハンズアップをしている。最高のスタートに浸る間もなく「DIVER」まで駆け抜けたが、ここに集ったオーディエンスは「今日は最高のライブになる」、序盤から誰もがそう確信したはずだ。
もちろんメンバーも全力で楽しんでいる。おかもとが、「すごいね! 人! 人! 人が沢山!」と、1F、2F、会場全体を見渡し、ひろせは「本日はソールドアウト公演です!」と声をあげると、観客も大きな歓声で返し、“今日は最高に楽しんでいこう!”という想いを共有しているようだ。
少しの掛け合いののち、「雨のフライデー」と、一転スローナンバーへ。会場全体におかもとのロングトーンが響き渡り、フロアは自然と横へ揺れている。「とけないよ」が終われば、今度は聴き入っていた観客の拍手が会場全体に響いた。しかし、ここでしっとりさせないのがフレンズだ。開演前から観客たちも気にしていたセットについての話しをはじめると、いつのまにかプチアルバムや<グランパーティー>についての話へと移り変わる。流れるようなメンバーとフロアの掛け合いは、まるでテンポのよいコントのよう。会話のオチでは、SEKIGUCHI LOUIE(以下、LOUIE)がバスでツッコミをいれるのだが、その“間”も絶妙だ。
笑い声と歓声が作りあげた空気感そのままに、テンポを上げていくのかと思えば、聴き込ませてくれる「咲かないで」で演奏を再開する。「DON'T STOP」がはじまると、「夜にダンス」のMVに出演しているダンサー、よしだえりか登場し、月の上で舞い、楽曲の世界観を昇華させる。続く「夜明けのメモリー」から徐々に、爽やかな夜の街を連想させる楽曲が続いたが、「ここまでは夜の曲。フレンズは夜の曲には定評がある」とひろせが話すと、次も“夜の曲”、「夜にダンス」。ひろせと三浦の歌声へと、重ねるように「dancing the night through the night」のフレーズを観客がハモり、ともにこの空間を盛り上げた。