フレンズ、みんなから受け取った愛は曲で、ライブで返す──ポジティブ&ハッピーな空間をファンと共有

ライブレポート | 2023.08.01 17:00

フレンズ -愛をやめないTOUR 2023-
2023年7月14日(金) Shibuya WWW X

 フレンズの東名阪ツアー「フレンズ -愛をやめないTOUR 2023-」の東京公演が7月14日(金)、Shibuya WWW Xで開催された。
 6月14日(水)に配信限定EP『愛をやめない』をリリース。本作を携えておこなわれた今回のツアーでフレンズは、“これまで”と“これから”を結び付けながら、開放的でポジティブ(そして、ちょっと切ない)なポップミュージックを高らかに響かせてみせた。

 BGMは90年代〜00年代あたりのJ-POPのヒットチューン。フロアを埋め尽くしたオーディエンス(チケットはソールドアウト!男女比は半々で年齢層も広い)は楽しそうな表情で開演を待っている。開演前から朗らかでハッピーな雰囲気。“ファンはアーティストの鏡映し”とよく言われるが、「まさにそうだな」と実感させられる。
 そして19時を少し過ぎた頃、ライブがスタート。1曲目はEP『愛をやめない』「ヤッチナイナ!」。シックなファンクネスを感じさせるバンドサウンド、“つまならい日々から飛び出そう”という思いを込めた歌詞が広がり、オーディエンスは気持ちよさそうに体を揺らす。ハンドクラップからはじまった「U.L.K.」では、えみそん(Vo)が「憂鬱なことは全部忘れて、最高な時間にしましょう!」と語り掛け、大きな歓声が上がった。えみそん、三浦太郎(Gt&Vo)の歌が響き合う「夜にダンス」の後、最初のMC。
 「今日、フレンズのライブに初めて来た人!もう“ズッ友”だからね。声出しOKなので、自由に声を出してもらって、最高の空間を作っていきたいと思います!」(えみそん)
 そんな言葉で親近感を生み出した後は、フレンズのカラフルな音楽性、ストーリーやメッセージを込めた歌をじっくり体感できるシーンが続く。シカゴ・ソウルを想起させるアンサンブルと〈夜は嫌い/あなたが消えないから〉というラインが溶け合う「夜は嫌い」、東京の夜景、“君に会いたい”という切実な思いを描き出す「NIGHT TOWN」。
編曲をDATSのMONJOEが担当した「きっと私は大丈夫」は、エレクトロニカ的な音響を取り入れたミディアムバラード。別れを経験したり、困難な日々があっても、きっと大丈夫。不器用でも、自分を愛して生きていこう──切実にして真摯な感情を込めたリリックにも強く心を揺さぶられた。「今日、渋谷で、最高の思い出を作りましょう」(えみそん)という言葉に導かれた「cruising memories」(ホーン・セクションの音色を反映したサウンドが心地いい)のゆったりとしてグルーヴも絶品だった。

えみそん

 2度目のMCでは、ツアーの思い出を語り合ったり(三浦)は「ツアーは“Too Short”」、関口塁(Dr)は「すごく短く感じるくらい楽しかったってことです」とコメント)、「ヤッチマイナ!」のMVで「ウェットスーツを着たんだけど、メンズメンバーで俺だけ半ズボンだった」(長島)「“あまちゃん”みたいだった(笑)」(えみそん)というホンワカしたトークが繰り広げられた。ステージでのユルい雰囲気もまた、フレンズのチャームポイントだ。
「あま?」「ちゃん!」「Too?」「Short」というコールレスポンス、そして、「なんておかしなコール&レスポンスなんでしょう!」(えみそん)というMCから「OKASHi NA DEAi」へ。「iをyou」「シンデレラガール」ではメンバーが揃いのステップを披露するなどエンタメ感に溢れたパフォーマンスを披露した。ワチャワチャと楽しい雰囲気から一転、バラードナンバー「約束」(TVアニメ『ホリミヤ』エンディングテーマ)ではえみそんが切ないバラードを感情豊かに歌い上げる。本当に多彩な音楽性を持ったバンドだなと改めて実感させられた。

三浦太郎

 「自由に話していいよ。何か質問ある?」(えみそん)という問いかけに対して、「好きな動物は?」「好きなアイスは?」「夏の思い出は?」という質問が飛ぶ。バンドとファンのフレンドリーな雰囲気が広がり、「後半戦、いけますか!?」(えみそん)「渋谷パーティーピープルのみなさん、Put your hands!」(三浦)という煽りから「パーティしよう!」を放つ。さらに「常夏ヴァカンス」「塩と砂糖」「ビビビ」とフレンズのキャリアを代表するポップチューンを次々と披露。ナチュラルな多幸感、心地いい一体感が広がり、観客のテンションも一気にピークへ。豊かでハッピーな音楽を介した純粋なコミュニケーションは、何度体験しても最高だ。
 本編ラストはEP『愛をやめない』のタイトルトラック「愛をやめない」。70年代のダンスミュージックを経由したバンドサウンド、ソウルフルな旋律、〈最後に笑おう〉というラインが響き合うこの曲は、フレンズの新たなアンセム。〈Oh Oh Oh Oh〜〉という観客のシンガロングも素晴らしい!

長島涼平

関口塁

 アンコールではまず、超ポジティブな意志が気持ちよく広がる「地球を越えても」を演奏。ここでメンバー全員がツアーの手ごたえを語った。「次のライブが決まっていることが自分たちにとってはすごい前進なんです。また会場でお会いしましょう」(三浦)「声出しできるようになって、それが力になります。我が川崎フロンターレの応援もよろしくお願いします(笑)」(関口)とコメント。今年5月にthe telephonesを脱退した長島は「個人的に人生で大きな決断をして。人前に出たくないなと思っていた時期もあったし、今回のツアーの前は“どんなパフォーマンスができるだろう”と考えてたんですけど、(ステージに)立ってみたら、そんなのポーン!という感じで、めっちゃ楽しくて。本当に救われました。バンドやっててよかったです。これからも一緒にいいライブを作っていけたらいいなと思います」と語った。
 最後にえみそんが「みんなから受け取った愛を、曲を作ることで返せたらなと。いろんな思いを抱えてここに来てくれたと思うんだけど、少しでも寄り添えたらいいなと思っています。また会えるのを楽しみにしてるので、それまで元気で。また会いに来てくれるかな?」と話しかけると会場からはこの日、いちばん大きな拍手と歓声が送られた。
「フレンズのライブは最後、みんなでたくさん歌って、ハッピーで笑顔で終わりたいと思います!」(えみそん)「Love,ya!」を披露。さらに「東京今夜」を放ち、ライブはエンディングを迎えた。

キャプションテキスト

 この夏、フレンズは各地の夏フェスに出演。そして、えみそんの誕生日11月10日には、「フレンズ -FRIEND REQUEST TOUR 2023-」東京公演(Sibuya WWW X/ゲストバンドは ODD Foot Works)も決定している。質の高いポップネスと色彩豊かな感情をたたえた歌、そして、オーディエンスの心と身体を解放してくれるハッピーなパワー。フレンズの音楽をもっと多くの音楽ファンと共有したいと心から願う。

SET LIST

01.ヤッチマイナ!
02.U.L.K.
03.夜にダンス
04.夜は嫌い
05.NIGHT TOWN
06.きっと私は大丈夫
07.cruising memories
08.OKASHi NA DEAi
09.iをyou
10.シンデレラガール
11.約束
12.パーティーしよう!
13.常夏ヴァカンス
14.塩と砂糖
15.ビビビ
16.愛をやめない

ENCORE
01.地球を越えても
02.Love,ya!
03.東京今夜

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