取材・文/翡翠
kainatsuが初めて立ったステージとは?
編集部:kainatsuさん、人生で初めてステージに立ったときのエピソードを教えてください。
二十歳くらいの時、表参道か高田馬場にあったライブハウスで、オープニングアクトを務めたことが始まりです。
デビューに向けて、曲作りをしたりレコーディングを重ねていたころだったので、当時、所属していた事務所のスタッフに「ライブが決まったから」と言われたときは、「えっ」って驚きました。
高校時代にダンスをしていたので、舞台には上がったことがありましたが、音楽では初めて。バンド活動などもしたことがなかったので、デビュー曲「下北沢南口」を編曲していただいたみなちん(皆川真人)が鍵盤でサポートをしてくれました。
緊張でガチガチ。対バンライブだったので、お客さんが結構はいっていたのですが、ステージからフロアを見る余裕なんてなかったので、会場がどんな景色だったのか、全く覚えていません。
スタッフの方が、後から見ることができるようにと、様子を撮影して下さっていたのですが、落ち着いて振り返って見ても、記憶になくて。ただ、「わぁーーー、歌もMCもぐしゃぐしゃだ。恥ずかしい…」という気持ちだけがありました。
あの頃は、「ライブは嫌だなぁ」と憂鬱でしたが、いま思えば経験がないわたしに、「場数を踏んで、力を付けて欲しい」と思ってくれていたのだと思います。
「ライブが楽しい」と思えるようになったのは、ストリートに立って歌うようになってからです。足を止めて聴いてくださった方に、「良かったよ」とか「CDください」など声をかけていただいて。曲への反応をじかに伝えていただけるようになったとき、聴き手のことを具体的に想像できるようになって、士気が上がりました。
編集部:インタビューでは「(ライブでは)いつも一番頑張るのではなくて、肩の力を抜いて。」とお話して下さったkainatsuさん。
今では考えられない貴重なお話をありがとうございました!