インタビュー/宮本英夫
ライブのキャパシティが、明らかに増えている。前作シングルは『文豪ストレイドッグス』の、最新シングルは『最遊記RELOAD BLAST』のタイアップを得て、新しいリスナーもどっと増えた。放たれる音も、よりたくましくなった。デビュー2年目、急速に成長を続けるラックライフ。その覚悟と決意の日々を、PON(Vo&Gt)が語ってくれた。
──相変わらずライブバンドですね。
やってはいますね(笑)。前より減ってはいるんですけど。
──これで減ってる?
4か月のツアーで60本ぐらいやって、1年で120本とか、そういうことを毎年のようにやっていたので。だから全然平気です。ないと落ち着かない。
──今年はフルアルバムも出しましたし。いい年進行中じゃないですか。
そうっすね。アルバムを出してツアーをやって、久しぶりの人にもたくさん会えたし、仲間のバンドとも一緒にやれてよかったです。あのツアーはすごく充実してました。
──お客さんの反応は、以前と比べて?
全然違いますね。去年の5月にメジャーデビューした時は、今まで知ってる人たちのすごく喜んでくれてる顔がたくさん見えて、それがうれしいなと思いながら1年たって。アルバムを出してまたツアーを回った時に、今まで見てきてくれた人たちがびっくりするぐらい新しく出会えた人たちが待っててくれて、“おお、すげえ!”みたいな。こんなにチケットが売れてるのってどうなってるんやろ?みたいな気持ちで、半信半疑で当日会場に入って、誰が来るんやろ?みたいな。
──あはは。あなたです!(笑)
そのぐらいの気持ちで、出て行ったらウワー!ってなって。こんなにも届いてたんやなということが実感に変わって、身が引き締まるようなツアーでしたね。
──理由は何だと思います?ライブの積み重ねもあり、アニメのタイアップもあり。
やっぱりアニメを見て来てくれてる人は多いです。それはシンプルにうれしいですね。テレビから流れてくる音に引っかかっても、ライブ行こうと思うかな?って思うんですけど、でもそれを掘り返して、ラックライフというバンドがいて、ツアーをやってるから行ってみようというところにつながって、初めてライブハウスに来るような人がすごく多かったんで。
──それはうれしい。
そうやって新しい環境に飛び込んで来るぐらいの熱を持ってくれたのが、すごくうれしいです。人さまの人生に対してそこまでできたことが。ライブハウスに一生行かない人たちもいる中で、きっかけになれたのがうれしかったし。
──一番新しいシングルが「リフレイン」。アニメ『最遊記RELOAD BLAST』のエンディング主題歌です。
これ、本当はカップリングになる予定の曲やったんですよ。2曲目の「存在証明」をリードで行こうと思ってますと言ったら、こっちのほうがええんちゃう?みたいな空気になって。だからアニメがバトルもので、桃源郷が出てくるようなお話だから、イメージを汲み取ってああいう曲にしたんですか?って聞かれるんですけど、そういうこともなく、作っていた曲がたまたま出会いがあってハマったということですね。歌詞は書き直してるんですけど。今までのラックライフとは違うねとよく言っていただくんですけど、それを狙わずに出せたということが、自分たちの中では一個成長かなと思います。
──いつもと違うというのは、一聴して思いました。ハードで、熱くて、ライブ感がすごくて、エモい。
アニメに出てくる主人公たちがみんな男らしくて強くて、“俺は死ぬまで俺だけの味方だ”とか言っちゃうような、まっすぐすぎる男たちが出てくるんですけど。それって普段の俺にはまったくあてはまらないけれど、この音楽というものだけは、誰に何を言われようともこれがかっこいいと思いながらやっているし、これだけはあの人に伝えたいと思うから歌を作るし、そういうものとすごく重なるなと思って。
──ああー。なるほど。
今はいろいろ入って来るじゃないですか。SNSもそうだし、いろんな人に評価をされ続けて、何だったらメンバーにすら評価をされながら、“この曲いい曲やと思うんやけどみんなで作らへん?”って持って行った時に、“うーん”とか言われるわけじゃないですか。それはバンドの中では絶対にないとあかん作業なんですけど、わかっていてもやっぱりそう言われると腹立つし。それをこれからもずっと続けて行こうとしているのかと思うとげんなりするんですけど、それでもやりたいことがあるから続けてきたし、続けて行こうと思えるし、これからもそうやって戦いながらやっていくだろうなと思いながら。
──リフレインしていくという。
マジ嫌ですけどね、そんなリフレイン(笑)。評価されっぱなしじゃないですか、何してても。よく知らない人にツイッターで何か言われたりとか、どうでもいいっちゃどうでもいいけど、気になるっちゃ気になるし。嫌やなと思うけど、でも見ちゃうんですよね。
──いいのだけ信じて、よくないのはスルーする。占いみたいな感じでいいんじゃないですかね。
でもね、100ほめられても1けなされたら、そっちのほうが残るんですよ。そういうものですよね。それでも負けずにやっていこうという決意の歌です。
──カップリングになった「存在証明」も、曲調は違うけれど熱く叫ぶような曲。
これはリアルタイムであった事件をそのまま歌にしてます。この曲を書いてる時期に友達がすごく落ち込んでて、もう生きるのが嫌だとかそういう状態になって、それを一緒に乗り越えて頑張ろうぜと言ってる歌です。LINEで“今までありがとう”とか言ってきて、“え?”みたいな、ドラマや漫画でしか見たことなかったことが自分の人生の中で起きて。自分はそこまで思いつめたことはないし、死にたいと思ったとしても2秒ぐらいで忘れたりするのを、そいつは本気で思いつめて一人で悩んで、最後に送ったSOSがその言葉で、大急ぎで止めに行って。でも、わかってやりたいと思っても絶対わかってやれへんし、だんだんむかついてきたんですよ。最初は“そんなこと言うなよ、元気出せよ”って言ってたけど、ふと我に返って、“なんでそんなこと言うの。こっちの気持ちはどうなるの”って。おまえがこうなった時に心配して駆けつける奴がこれだけいて、毎日メールして電話してご飯食べに連れて行ってくれる奴がこれだけたくさんいる、そういう人たちの気持ちを考えろよ!みたいな。なんて言うんですかね、ほんまの友達やから思ったこと、きれいごとだけじゃなくて、こっちはそんな気持ちで接してないし、LINE一本で終わらせるようなことじゃないやろと思って。だから一番の歌詞は優しいんですけど、二番ぐらいからだんだんイラついてきて。
──ついに「ふざけんな!」と言い放つという。
そうなんです。激おこでした(笑)
──今、笑って言えるからいいけれど。
そうですね(笑)
──これは大事なシングルになったんじゃないですか。
全然違う3曲なんで、好き嫌いがすごく分かれてます(笑)。好き嫌いと言うか、どれが1位かって。3曲目の「sweet my life」が好きやと言ってくれる人もたくさんいるし、面白いなと。それってめちゃうれしいですよね、シングルでそうなれるのは。手を抜いてないぞって、胸張って3曲出せたことがうれしいです。