兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第216回[2026年8月後半・ 『MONSTER baSH』@香川×2日、奥田民生@仙台、GLIM SPANKY@渋谷、フラカン×ヒグチアイ×YO-KING@名古屋などの6本を観ました]編

コラム | 2026.09.09 16:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、生で(たまに配信で)観た、音楽も音楽以外も含むすべてのライブのレポを書いて、半月に一回アップする連載の216回目=2026年8月後半編です。香川と仙台と名古屋に行けた、うれしい8月後半でした(とにかくどこかに行きたいタチなので)。翌日の仕事の都合で、名古屋は日帰りだったのが悔やまれる。

8月22日(土)11:00 MONSTER baSH 2026の1日目 @ 国営讃岐まんのう公園

関西のライター/ラジオDJ/放送作家etc.の鈴木淳史とふたりで、毎年オフィシャル・ライターの仕事で足を運んでいる、香川の老舗フェス『MONSTER baSH』、今年もふたりで呼んでくださいました。分担して書いたレポは納品ずみ。アップされたら貼ります。
レポで触れたものも、触れられなかったものも合わせて、自分がこの日観たのは以下。
クレイジーウォウウォ!!→DISH//→セカンドバッカー→ano→天々高々→TRACK15→かりゆし58→Tele→04 Limited Sazabys→ヤバイTシャツ屋さん→東京スカパラダイスオーケストラ

8月23日(日)11:00 MONSTER baSH 2026の2日目 @ 国営讃岐まんのう公園

同じく、『MONSTER baSH』の2日目。同じく、レポがアップされたら貼ります。1日目は午後にちょっと雨が降ったりしたが、この2日目は「とにかく倒れないように」と、常に己の体調を気遣いながら過ごしたほど、ストレートに暑かった。この日観たのは以下。
Sunny Girl→My Hair is Bad→Base Ball Bear(ACOUSTIC SET)→宮本浩次→PIANO baSH perfomed by 清塚信也→10-FEET→FRUITS ZIPPER→ELLEGARDEN→ストレイテナー→ASIAN KUNG-FU GENERATION

8月25日(火)19:00 奥田民生 @ 仙台サンプラザホール

今年1月〜3月のツアー『奥田民生「MTRYツアー2026“春 Ooh La La”」』のうち、OTの体調不良で4本が延期→振替公演になった、その3本目がこの日。この会場でOT関係の仕事があったので、仙台まで訪ねて、その仕事自体はサウンドチェックの前に終わったんだけど、観ずに帰るなんてもったいないので、マネージャーにお願いして、観せてもらった。
このツアーを観るの、2本目の1月18日さいたま市文化センター 大ホールと、本来のファイナルだった3月28日&29日・東京・昭和女子大学人見記念講堂に続いて、4回目。ゆえに、セットリストなどがわかっている状態で観たが、それでも歌と演奏のすさまじさに興奮させられた。観れてよかった。
もちろん、まったく同じライブ・パフォーマンスではないけど、3月29日昭和女子大学人見記念講堂のライブ(Blu-rayで9月16日に発売になる)のレポが、ぴあ音楽にアップされているので、貼っておきます。28日と29日、両方観た上で、29日のレポを書きました。
奥田民生3年ぶりのソロツアーで魅了した普遍的なメロディと最強の歌声 終始ハイボルテージだった三茶の夜をレポート!

8月27日(木)19:00 GLIM SPANKY @ LINE CUBE SHIBUYA

6月から始まったニュー・アルバムのリリース・ツアー『エクロールツアー2026』全16本のファイナル。(フランス語で)「孵化する」というタイトルどおり、今までの自分たちから脱皮したい、殻を破っていきたい、という気持ちでアルバムを作った。ツアーに出て、そんな自分たちの意志が聴き手に届いていることを感じている──3本ほどツアーが終わった時に、松尾レミにインタビューしたら、そんなことを言っていた( ≫【インタビュー】GLIM SPANKY )。で、「あ、ほんとにそうなんだな」と、実感できるライブだった。
ソールドアウトで超満員(他の各地でも目に見えて動員が増えたという)、客層が広がっていて(若い人が増えた)、みんな熱狂的に、かつ真剣に、ステージのGLIM SPANKYと向き合っている。いいアルバムを作っていいライブをやれば動員が増える、という、超シンプルな理想形を体現しているのが今のGLIM SPANKY、ということだ。
本編のラストに「エクロール」を演奏する前に、「ちょっと待って」といったん引っ込んだ松尾レミは、アルバム・ジャケットの写真と同じ、大きな羽根を背中に付けて戻って来た。次の曲を書いたのは、喘息の悪化で休んでいた頃で、両親から「20年前のレミから手紙が届いたよ」と連絡が来た。地元の村による「20年後の自分に手紙を出そう」という企画で、それで14歳の時に手紙を書いたのを、すっかり忘れていた。その手紙を読んだら「あなたは今の人生に満足してる?」と書いてあって、すごく考えた──というような話をする松尾レミ。その手紙の最後に「これからの人生、がんばれよ」とあって、すごくパワーをもらったそうだ。「自分からのメッセージですから、これほど力強いものはないと思って」。
それから。15曲目の「若葉の時」と、アンコールの「ひこうき雲」(ジブリのトリビュート・アルバムでカバーした曲)の2曲は、松尾レミ・亀本寛貴・キーボードの中込陽大の3人で、いわゆるアコースティック・セットで演奏された。どちらもすばらしかったが、特に「ひこうき雲」、どえらく良かった。

8月29日(土)14:00 全日本プロレス @ EBARA WAVEアリーナおおた(大田区総合体育館)

この日は全7試合で、5・6・7試合目が、ベルトもしくは優勝がかかった試合。◯×が勝敗の結果です。
第5試合:世界タッグ選手権試合=◯王者組・斉藤ジュン&斉藤レイvs挑戦者組・ザイオン&オデッセイ×
第6試合:『ゼンニチJr.フェスティバル2026』優勝決定戦=◯吉岡世起vs田村男児×
第7試合:三冠ヘビー級選手権試合:◯王者・宮原健斗vs挑戦者・安齊勇馬×
世界タッグも、Jr.フェスティバルの決勝も、いい試合だったが、それ以上に、メインイベントの、宮原健斗と安齊勇馬の三冠ヘビー級タイトルマッチが、すばらしかった。
全日本プロレスの各王座の中で、もっとも重要な三冠ヘビー級のベルトを、9回連続で防衛しており、あと一回防衛すれば、自分と川田利明が持っている最多連続防衛記録に並ぶ、なので、あと二回防衛して新記録を作りたい宮原健斗。今年5月から配信された『バチェロレッテ・ジャパン4』に出演したことで、「全日本プロレスの外でも」ブレイク、大量のご新規ファンが会場に押し寄せ、そのうちの何割かが確実に「ゼンニチ沼」にハマった、という、すばらしい成果を出した安齊勇馬。その安齊のアクションの、ひとまずのピークでありゴールが、全日のトップの宮原健斗に挑む、この試合である。
でも、ここで安齊が勝ってトップの座に座るのは、イージーすぎるし、まだ早い。もっとひっぱりたい、この物語は。それに、健斗は、以前に連続防衛記録が10回で止まっているので、今回こそは11回まで勝って記録更新した方が盛り上がる。だから、健斗が勝つ。
というのが自分の推測だったのだが、いざ試合が始まると、健斗と安齊、どっちが負けそうになっても、どっちが勝ちそうになっても、「いやあああ!」「危なあああい!」「返せえええ!(3カウントの前に)」などと、声が出まくるぐらい大興奮した。
ハマると、いわゆる「ハコ推し」の精神状態になって、どの選手のことも好きになる。だから、このような、ベルトのかかった大事な試合の場合、「どっちも勝ってほしいし、どっちも負けてほしくない」という気持ちに陥る。というのが、今の全日本プロレスの特殊なところであり、すばらしいところなのだが、この試合はその最たるものだった。
結果は31分34秒、シャットダウンスープレックスホールドで宮原健斗の勝ち。健斗のシャットダウン、一回目は防がれて失敗→二回目で成功、3カウントで勝利、というのが通常の流れだが、この日は一回目=防がれて失敗→二回目=成功するが2.9で返される→三回目=成功して3カウント、だった。
試合後のマイクで健斗は「今日から全日本プロレスは二大エースの誕生だ!」と、安齊を称えた。

8月30日(日)17:00フラワーカンパニーズ ゲスト:ヒグチアイ、YO-KING@ 名古屋DIAMOND HALL

毎年恒例フラカンの地元イベント『DRAGON DELUXUE』、普段は9月末もしくは10月頭だけど、今年は8月30日。『フォークの爆発』編成、つまりアコースティックで、ゲストはヒグチアイとYO-KING。どうでしょう。観たいでしょ、そんなの。というわけで、日帰りで名古屋まで行った。
1週間前、『MONSTER baSH』で一緒だった鈴木淳史も、芦屋から日帰りで来た。フラカンとヒグチアイが初めて共演したのは、2019年11月28日に、彼がDJと構成を務めるABCラジオの番組『よなよな…なにわ筋カルチャーBOYZ』の企画『ラジオで生対バン』(スタジオでの無観客ライブで対バンする)。なので、これは俺が見届けなくてどうする、という気持ちになったんでしょうね。わかります。
フラカン竹安堅一とミスター小西のぎこちない前説を経て、まずヒグチアイ。「縁」「ラジオ体操」「砕石」「備忘録」、いずれもすばらしかったが、特に、3曲目に歌われたフラカンのカバー「感情七号線」が、ちょっともう、おそろしく良かった。
のちの自分たちのライブでのMCで、フラカンも絶賛。「曲って歌う人によって変わるんだね。いい曲だとは思ってたけど、あんなにいい曲だとは思わなかった」(鈴木圭介)「プロが歌うと違うなあ、と思ってさ。いや、俺たちもプロなんだけど」(グレートマエカワ)などと、自虐的になるのも厭わない称賛っぷりでした。
二番手のYO-KINGは、1曲目が「きれいな水」ということで、1992年に腎臓結石になった時、とにかく水を飲めと医者に言われた、水を飲んでジャンプすると効く、その特別なジャンプの歩法を編み出した──という話を歌う前に始め、ギターを置いてそのジャンプをやって見せ、爆笑をとる。自由にもほどがある、いつものことながら。以降、「マイ・バック・ページ」「前倒しだよ人生は(新曲)」「どか〜ん」「サマーヌード」、最後にグレートが加わってアコギ&ベース&歌で「Hey!みんな元気かい?」でした。
フラカンは、「DO DO」「大人の子守唄」「夏に生きる」「40」「疑問符の歌」「モナ」(ボ・ディドリーの曲をルースターズがカバーしたバージョンをアコースティック・アレンジしたもの)「人は人」「夜明け」、そして最後にヒグチアイとYO-KINGを呼び込んで「ラッコ!ラッコ!ラッコ!」。
曲間で、鈴木圭介・ヒグチアイ・YO-KING、あと竹安と小西とグレートも、自分がいちばん好きな哺乳類の名前でコール&レスポンスをしたりして(ラッコ・シャチ・ナマケモノ・レッサーパンダ・ダイオウグソクムシ・コニシでした)楽しいセッションだったが、その1曲前の「夜明け」も、すんごい良かった。フラカンの中で1、2を争う名曲だと思う。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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