そうして迎えた初ライヴ。場所はaube shibuyaというライヴハウスだったんですけど、埋まらなかったんですよ。100人ぐらいしかお客さんがいなかったから、主催者側からは“このままだと赤字ですよ”といわれて“すみません、すみません”って。初ライヴだから自信もなかったんで、もうどうしよう、みたいな感じでうじうじしながら出ていったんですよ。出ていったら“わ~”ってなって。出た瞬間、本当にビックリしましたよ。宇宙人に会ったぐらい(笑)。会ってないですけど、宇宙人に会ったぐらいビックリした感覚でした。知らない世界の人と交信しちゃった、みたいな感覚で。だって、画面越しにいた人がリアルにいるんですよ?目の前にいるんですよ?ビビっちゃいました。「生きてる!」と思って。だからそのとき、いっちゃいましたもん。「お前ら生きてる」って。それが初ステージの印象です。
ネットのなかにはろくなヤツはいないと思っていたのに、その人たちが生きてるというのが分かったら、ちゃんと向き合いたいなと思ったんです。じゃああのとき、こういうリプライをくれたの君なの?え、あのアイコンは君?って。みんなそれぞれ本名じゃなく、ハンドルネームで会話してたのに、本体がいきなり目の前に現れた感じで。本体のコックピットから中身はお前だったんだ、みたいな感じで顔を出すんですよ。だから、そこで2度目のご挨拶というか、「初めまして」がそこにはあるんです。僕は僕で、配信ではわりと強気なことをいって、リスナーとの絡み方も上から目線なんですけど。実際に会ったときは、僕なんかヘコヘコですから。わりと(笑)。向こうは向こうでアイコンからひょこっり顔を出してくる感じで、こっちはこっちで“あ、中のゆきむら。です”みたいな(笑)。ライヴの幕が開いた瞬間は、いまでもそういう感覚があります。そこであいつも「あ、生きてる」って、命を感じるんですよ。だから、ぬるいことはできない。ライヴを重ねるたびに思うのはそれですね。