ゆきむら。、渾身のロングインタビュー【後編】多面的な表現に挑み切ったアルバム、掴み取ったガーデンシアター公演への覚悟を語る。

インタビュー | 2024.12.11 18:00

ものすごい熱量で、常に本気で身体張って、命を削って生きるむき出しの人間性は、危なっかしくもありながら、だからこそこの世の中に生きづらさを感じている人たちが唯一信じられる救世主、代弁者となっていった。現代の生きるカリスマ、「ゆきむら。」とはいったい何者なのか。初の全国流通アルバム『-Never ending Nightmare-』をリリースするゆきむら。に話を聞いた。【後編】

僕に対して、偏見を持ってる人にこそ、黙ってこれを聴いてみろといいたいです

──それでは、ここからはそんな第3形態に入ったゆきむら。さんの最新アルバム『-Never ending Nightmare-』について、聞いていきたいと思います。タイトルは直訳すると終わらない悪夢。
今回は初めて全国流通となる作品なので、いろんな方に手に取ってもらえるように無理に笑って、売れるためにとか、大人がこういったからといって光のほうに振り切ってしまうようなアルバムにはしたくなくて。なので、タイトルは自分の趣味嗜好を押し込みました。これまで、人生に生きづらさを感じているみんなに寄り添ってきた自分だからこそ、そこは堂々と。たとえそこが沼底でもいいじゃないかというところは、僕自身外れてはいけないなと思ったので、タイトルとして打ち出しました。
──ジャケットではアー写の初顔出しに続いて、通常版盤は。
全裸。真っ裸ですね。メイクも素朴な感じで。着飾らない自分がテーマです。布を剥いだ人間はみんな同じじゃないですか。それを表す表現として、脱ごうと思いました。これまでのようにもっとカッコつけて、女の子がきゃーってなるような分かりやすいものもできたんですけど。なんか、逆をいきたくなって。“ゆきむら。って、カッコつけて自分を取り繕ってて厨二病みたいじゃん”、“あんなの偽物だよ”と思われるのが悔しくて。じゃあどうしたらいいんだと思ったら、真っ裸で出るしかねぇなと思ったんです。お前らこれできんのか?俺にしかこんなのできねぇだろうっていう。

『- Never ending Nightmare - †』[通常盤]

──うだうだほざいてるヤツはここまで振り切る覚悟はあるのか、という宣戦布告ですね!
そういう反抗心もあったかもしれないです。どこかで。
──本当にそうやって危険を顧みず、振り切れてしまえるところがロックだなと思います。では、選曲はどんな風に考えていったのですか?
ボーカロイドがとても好きなので、そのなかからみなさんが知っている、馴染みのある曲を歌いたいというのを前提に。心の内側にある理由としては、逆に多くの方に歌い尽くされた曲をいま僕が歌うというのは、結構ハードルが高いことなんですね。そこで、どこまでできるのか。自分の歌の技量を試したいというのもありました。ゆきむら。だったらどう歌うんだってことを。そのなかで、本家もいいけどゆきむら。バージョンもいいなって思って貰えたら、別の心をノックできるんじゃないかと。ボカロ曲以外にオリジナル曲も含め、バラードやロック、表現することが好きなので。ゆきむら。=ドロドロしてるだけとか、闇チックな曲しか歌ってないんじゃないかというレッテルがもし貼られているのであれば、自分の性別もそうなんですけど。女性っぽい声も出せればカッコよくもなれるんだぞ、やさしい曲だって歌えるし、なんだって表現できるんだぞって。いろんな曲を選んでるからごちゃごちゃなんですけど、いろんな角度からゆきむら。を見てもらえる。そんな名刺代わりのアルバムになるように選曲しました。
──このアルバムを聴けば、ゆきむら。さんが分かる1枚になった、と。
はい。僕に対して、偏見を持ってる人にこそ、黙ってこれを聴いてみろといいたいです。僕の場合、ファンも一緒になって叩かれていた時期もあったんですよ。僕に賛同したり共感するといった時点で、僕と一緒に否定されるというのが自分自身悲しくもあって。ネットでゆきむら。を検索すると物騒なことが出てくるから、親御さんになかなか理解してもらえないという子もたくさんいた。そういうリスナーの子たちは自慢して欲しいです。ゆきむら。は歌もやってて、こんなにいろんな歌の表現ができるんだぞって誇りに思って欲しい。あとは、よく「なにを思ってるの?」、「なにがしたいの?」って思われたりするんで、これを聴いて「同じ人が歌ってるのに、この人って男なの、女なの?」とか「「シナリオノート」歌ってるけど、この人本当に病んでるの?」とか。もっと迷い込んで欲しいんです。超ファンの子からしたら、笑ってるゆきむら。、病んでるゆきむら。、かわいいゆきむら。…一緒に過ごしてきた日々の僕が走馬灯のように駆け巡ると思うんで。そのコントラストを感じ取りながら聴いて欲しい。
──それぐらい、このアルバム、ゆきむら。さんが何人いるんだ?と思うぐらい、曲ごとに歌い方が振り切れてますからね。だから、情緒がジェットコースターみたいになって楽しい!もう1周って。
終わらない悪夢をエンドレスに楽しんで、ゆきむら。に沼って欲しいです。
<「- Never ending Nightmare - †」共通収録曲>
M1. 天涯
M2. AI
M3. ロミオとシンデレラ(doriko)
M4. 愛未遂ジェーン・ドゥ
M5. え?あぁ、そう。(蝶々P)
M6. 虎視眈々(梅とら)
M7. 反逆ノノロシ feat.ヒゲドライバー
M8. ヒバナ(DECO*27)
M9. アイドル(YOASOBI)
M10. Calc. (ジミーサムP)
M11. ハウトゥー世界征服(Neru)
M12. シナリオノート
<通常盤のみ収録>
【Bonus Track】 secret base 〜君がくれたもの〜(ZONE)

絶対進化してるなと思ってる。それぐらい、自分にプレッシャーをかけて挑みます

──そうして沼ったあとは、2025年2月11日。1年越しに東京ガーデンシアターで開催するワンマンライヴ<Never ending Nightmare -The nigh†->に来場していただきましょう。
はい。もう1年、ここにくるまでコンプレックスになってましたから。やはり、みんなのなかでは1年前、ガーデンシアターまできたというのが1つのゴール、区切りなんです。あそこで記憶が止まっちゃってるんですよ。ゆきむら。のピークといえばあそこだよね、と全盛期扱いになっちゃってて。しかも、第2形態のときにやったガーデンシアターは<ゆきむら。Memories Full of Noise>というタイトルだったから、ファンのなかでは雑音だらけの思い出で終わってるんですよ。僕も勢いだけで「かっけー」って思いながらやってたので、まさかそのあと、本当の意味で活動を辞めるか辞めないか、みたいな壁にぶち当たって悩んで挫折するとは思ってもいなかった。だけど、第3形態になってご縁があって、あのガーデンシアターにもう1度立てるというのは運命というか。「もう1回ゆきむら。、やってみせろ」といわれてるような気がしてます。だから、今回は1回目に立ったときとは覚悟が全然違います。ノリではない。本当につかみとったものだから、終わった頃には絶対進化してるなと思ってる。それぐらい、自分にプレッシャーをかけて挑みます。もう1回ガーデンシアターを1人で埋められたら、“こいつ運で立ったんじゃない、本物じゃん”と思ってもらえるのかなと思ってます。
──またまた、身を切るような勝負に出たのですね。
かなりの勝負です。だから精神的には右往左往してますね。
──今回はなにを見せてくれるのでしょうか。
それは自分でも思ってます。マジでなに見せてくれるのかって。立った当日にしか分からないです。でもその未来を作っているのはいまなので、いまに命削るしかないなと思ってます。
──こうして日々、どんどんカッコつけてない裸の自分をさらけ出していって。
その積み重ねがすべて、ステージに出る。それを実感する日になるんじゃないかな。そのときに変ないい訳とかは絶対したくないんで、アルバムもここまで突き詰めたからこそ、2月11日も突き詰めて挑みたいです。
──アルバム収録曲のパフォーマンスは?
もちろんやります。いろんな想像、それぞれの解釈のゆきむら。がいると思うんですが、当日、生身の僕がステージに出た瞬間に、その会場にいる人たちが感じ取ったものが、たぶんこのアルバムの答えでもあると思うので、それを確かめにきて欲しいです。

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