ポルノグラフィティ
因島・横浜ロマンスポルノ’24 ~解放区~
2024年9月7日(土)8日(日)横浜スタジアム
※取材は8日(日)に実施
ステージ上にはビルや観覧車など、象徴的なセットがそびえ立つ。そこに、開演時刻になるとファンファーレのような祝砲が鳴り響き、岡野昭仁(Vo)と新藤晴一(Gt)が登場。軽快なナンバー「おいでよサンタモニカ」でライヴはスタートした。
「1999年9月8日にデビューして、今日で25年です。この記念すべき日にこの素晴らしい横浜スタジアムでライヴができて、ポルノグラフィティは幸せ者です!」と、岡野がこのライヴに向けた胸の高鳴りをストレートにぶつける。
続けざまに披露した「ネオメロドラマティック」「メジャー」が大きな手拍子で迎えられ、彼らのメジャーデビュー曲「アポロ」ではその手拍子が最大級のボリュームで会場に鳴り響いた。岡野、新藤はそれぞれステージを左右に歩き、観客の熱気をしっかり感じ取れるように隅々にまで視線を送る。そして、最後は交互に一気にステージを駆け抜け、スピーディーな楽曲の切れ味を高めてみせた。
ここで岡野が因島ライヴ初日の悔しさを振り返り、「今日はあの日の分も楽しんで帰ろう」というMCで始めたのは「狼」。彼らの地元である因島の地名が含まれたナンバーを丁寧に届ける。さらに、パワフルなナンバー「OLD VILLAGER」ではステージ上に炎が上がる演出も加わり、ライヴが強烈な印象を帯びていく。
因島から東京へ出て一旗あげたいと願い始まった当時の想いを、この先もずっと持ち続けたいと岡野が語って繋げたのは「FLAG」。新藤のエモーショナルなギタープレイが艶やかに響き、岡野のボーカルはさらにタフさを増し、どっしりとしたバンドサウンドが圧倒してくる。そして、ゆったりと聴かせる「カメレオン・レンズ」、新藤が奏でる12弦のアコースティックギターと哀愁のメロディが深みを感じさせる「シスター」、繊細さに満ちた美しいバラードナンバー「愛が呼ぶほうへ」など、中盤のコーナーはじわじわと染みわたるような楽曲がセレクトされていて、静かな感動を呼ぶ場面が満載だった。
さらに、ライヴでは披露したことがないという「むかいあわせ」も優しさに満ちた楽曲だ。岡野のボーカルと新藤のギターで始まり、聴き手を包み込むような安堵感にあふれたナンバー。新藤のアコースティックギターと自問自答の歌詞を歌う岡野の真摯な歌がまっすぐに刺さる「ギフト」も、夕暮れが迫る時間帯にピッタリの落ち着いた楽曲だった。
静かに始まりながらも途中から一気にアッパーなサウンドへと変貌する「THE DAY」は、ライヴ前半を締めくくるナンバー。この曲が終了すると、さっきまでライトに照らされていた客席がすべて暗転し、ステージ上のセットにあるネオンが点灯する。夜の闇が訪れていることに気づかされる時間になっていて、スタジアムの後ろに広がる横浜の夜景とステージのセットがまるで繋がっているかのような錯覚を覚える。
新藤のギターソロをフィーチャーした官能的なインストナンバー「螺旋」が披露され、続く「Zombies are standing out」ではライヴ前半よりも巨大な炎の柱があがり、壮大なスケール感で迫ってくる。「今宵、月が見えずとも」では手拍子がさらに加速し、岡野のロングトーンのボーカルが会場を沸かせるなど、熱気もさらに上昇。そして、過去の苦い経験や切ない思い出を描きながらも現実を生きる自身の姿を歌った「ひとひら」は、冒頭に歌詞の一部がヴィジョンに映し出されることで、より楽曲の世界観を強く打ち出していた。