[織田哲郎&ダイアモンド ユカイ]ロックンロール対談!ついに目覚めた孤高の恐竜・ROLL-B DINOSAURについて語る!

インタビュー | 2016.03.01 14:00

ROLL-B DINOSAUR

ROLL-B DINOSAURは作曲家、プロデューサーとして数々のヒット曲を世に放ってきた織田哲郎が“ロールするバンド”を作ろうと、ボーカリストのダイアモンド ユカイに話を持ちかけ、さらにGUNIW TOOLSのASAKI(Gt)、FUZZY CONTROLのJOE(Ba)、LINDBERGのCHERRY(Dr)が参加して2015年初夏に結成されたスーパーバンドだ。百戦錬磨のミュージシャンが結集したが、いぶし銀という表現はふさわしくない。ロックンロール初期衝動が詰まった勢いあふれるみずみずしい音楽が展開されているからだ。昨年12月リリースの1stアルバム『ROLL-B DINOSAUR』も骨太のロックンロールをベースとしながらも最新の音楽のエッセンスも吸収して、今の時代にリアルに響く作品となった。3月31日からツアーも始まる。バンドの生みの親であり、ギター担当の織田とボーカルのダイアモンド ユカイに聞いていく。

──1stアルバムが完成しての手応えは?

織田 1枚目にふさわしい勢いのあるもの、これから始まっていくんだというパワーが詰まったものができたと思ってます。今時のレコーディングって、打ち込みや編集を駆使することでどんどんカチッとしたものになっていく傾向があるんだけど、このバンドは初期衝動まかせのライブ感のあるものをそのまま提示していくというがテーマだったんですよ。そのとおりのものになったかなと。

──バンドの演奏するスリル、熱がまんま伝わってきました。

ユカイ 最初に録音したときもものすごいエネルギーがあって、歌うのが大変だった(笑)。「これでいいんですか?織田さん?」って聞いたら、「パンクだからね」って言う。えっ、このバンド、パンクだったんだ、知らなかったって思ったんだけど、それくらい衝動やエネルギーが詰まってる。

──1曲目の「教訓」からエネルギーがほとばしりまくってます。

ユカイ 大体バンドって休む場所があるじゃない?ギター・ソロがないんだもん。えっ、ずっと歌ってなきゃならないのって。しかも最初からテンション・ハイだし。

織田 そこから下がらないからね。

ユカイ やばいよね。Aメロでこれだけのハイ・テンションで歌っちゃったら、サビはどうすればいいんだろうって、血管が切れそうになった(笑)。休みながら歌ったり技巧的に歌ったりすると、織田さん、首を縦に振らないから(笑)。そんな始まり方だった。

──作曲作詞はどんな感じで?

織田 曲によって色々でしたけど、ある程度材料が出てきたら、あとはスタジオで音にしていく方法。歌詞はね、ユカイくんが歌うと思うといくらでも書けちゃうんだよ、俺(笑)。

──聴いていて、楽しんで書いてる感じも伝わってきました。

ユカイ 織田さん、おかしいだろうっていうぐらい、ハイペースで書いていた。突然連絡がくるんですよ。「できたよ、ユカイくん」って。行くと、6曲ぐらいできている。えっ、こんなに一気にできちゃったのみたいな。

──どうしてそんなにすらすらと?

織田 今までって、ソロ・アーティストのものしか書いたことがなかったんですよ。ソロ・アーティストが歌うのは当然フィクションなんだけど、個人のイメージから大幅に逸脱することはできない。ところがバンドの場合はどこまでも虚構でいいってとこがある。おまけにユカイくんが歌うわけですから。だって、名前がダイアモンド ユカイですよ。その時点でおかしいでしょ(笑)。どこまでいってもリアルなのか虚構なのかがわからない裏腹な存在として成立している。その彼がボーカルなんだから、こっちもどこまでも膨らませてOKなので、すっごい楽(笑)。どんなに極端に振っても、かっこよく歌ってくれる。

──ユカイさんはROLL-B DINOSAURのボーカリストとして、どんな意識で歌を?

ユカイ 織田さんが言ってたのと一緒かもしれないけど、バンドだから言えることってのはあるんだよね。どさくさに紛れて言えちゃうっていうか、バンドが隠れ蓑になってる。「あんなこと、歌っちゃっていいの?」「いや、バンドだからさ」って(笑)。そうやって、隠れ蓑を利用して、好き勝手言えるのもバンドの魅力だな。その集合体というか、合体恐竜みたいなのがROLL-B DINOSAURなんじゃないかな。

ダイアモンド✡ユカイ

──しかもどの歌も今の時代にリアルに届いてきます。

ユカイ 最初に誘われた時に織田さんが言ってたことでもあるんだけど、今の空気感の中でロックンロールしたいってのがROLL-B DINOSAURの原点だからね。

──「Runaway from Chicago」はタイトルもかっこいいですが、歌の内容もシビレました。

織田 最初は詞のイメージがなくて「どんなのがいい?」ってユカイくんに聞いたら、「アルカポネに追われてるのはどう?」って言う。なんだそれ?ってびっくりしたけど、おもしろくて、するっとそのイメージで書けました。

ユカイ 俺も自分で何言ってるかわかんないんだけど、なんとなくのインスピレーションを織田さんに投げたんだよ。そしたら次の日に詞になってて、びっくりした(笑)。逃げるルート、ちゃんと本物のアメリカの地理に沿って書いてるってところがすごい。

織田 シカゴから南へ逃げるとしたらどういうルートがあるか、アメリカにいる知り合いに調べてもらって、いっぱい地名を出してもらったんですよ。

──レコーディングはどんな感じで進行していったのですか?

織田 メンバー全員がそれなりに経験のある人間たちだからってのはあるんだけど、時間をかけずにやっていた。おもしろいのが出たら、即OK。スタジオでセッションをやっててもおもしろい。ASAKIももともとヘンなヤツだし。

ユカイ 軟体動物みたいな(笑)。

──恐竜かつ軟体動物なんですね。

ユカイ 何でもくっつける才能を持ってる。

織田 ギタリストとしてちょっと変なことをやるのに魅力を感じてるヤツだから。ユカイくんのアルカポネの話じゃないけど、なにそれ?ってのをサウンド面でやってくるから、そのへんもおもしろい。世代もバックグラウンドも違う人間の集まりだから。ざっくりいうとロックンロールってことになるけど、全然違うバックグラウンドから出てきたものがひとつの音楽になっていくところがすごくおもしろいんですよ。

──ロックンロールという名前のミクスチャーという感じですね。

織田 やってることとしては、ホントにミクスチャーですね。

──ユカイさんが歌詞を書いて、織田さんが作曲した「馬の耳に念仏」はロックンロール、ブルース、シャンソンが混ざったような曲ですね。ラスベガスあたりにも似合いそうな曲を歌いこなしているところも見事ですね。

ユカイ 「馬の耳に念仏」はおもしろい曲だな、いい曲だなと思って。総合的にはロックなんだけど、いろんな要素が入ってて、メロディーが独特で、ハリウッド的な要素もあるし、ジャジーなところもある。ものすごく気に入ったんですよ。向こうのスタンダードみたいな感じ。

織田 そうだね、古き良きエンターテインメントのイメージはあった。ユカイくんもそういうものに対する共感、あるよね。

ユカイ 根本的に向こうのスタンダードのメロディーが好きなんですよ。子どもの頃にそういった曲をなんとなく耳にしてきたせいかな。古くはシナトラとか。それでこの曲にもグッと来ちゃって、すごくいい曲だなと思って、自分の中ではスタンダードだと思って歌っているわけ。

──フェイセズのアルバムのタイトルにもありますが、このタイトルにしたのは?

ユカイ バカの歌だから、馬鹿ってところで、こうなった。最初に織田さんが、「ジャジー・バカ」って言ってて、なんだそれ?ってこともきっかけになった。やっぱりどこかバカなイメージあるんだろうね。今って、バカになれない時代じゃない?でもホントはバカのほうが幸せだと思うんだよね。音楽もバカじゃないとできないし。バカになった瞬間に、自分の頭の中で考えてた理想も含めて、決めつけみたいなものを忘れるでしょ。音楽の良さって、そういうものを飛び越えるところにあると思う。ロックは特にね。バンドなんて、ホントそうだよ。

織田 みんな、相当根がバカですよ。

──アルバムのラストの曲「女神(ミューズ)」は素の歌声が染みてきました。この曲も織田さん作曲で、ユカイさん作詞ですね。

織田 俺ら恐竜なんだけど、ガンダムに例えるとしたら、でかいロボット同士が戦ってるだけだと、どっか味気ないじゃない?その中に人間が入ってないとさ。この曲はそんな感じ。

ユカイ 織田さんがね、「この曲はユカイくん書いて」って渡されたから、作らないわけにいかない。ネットでも出ちゃったんだけど、妻が緑内障になったこともあって書いた歌詞ではあったんだよね。だけどキース・リチャーズも言ってたけど、歌詞の中にはいろんな人が存在していて、自分だけの歌じゃないし、そこにはいろんな意味があって、自分も含めていろんな人を集めて合体したものが歌詞の答えなんだって。俺もそうだよなって思う。織田さんもそうでしょ?

織田 結果的にはね。

ユカイ 織田さん、自分のことをいっぱい書いてるわけですよ、隠れていろいろ。俺に言わせてるようにしながら(笑)。

──そういうところもまさにバンドならではの魅力と言えそうですね。3月31日からツアーが始まります。どんなステージにしていきたいですか?

ユカイ うねりが生まれるところまで持っていきたいよね、バンドをやる以上。バンドって、うねってなんぼだから。

織田 多分、3回やるなかで、つかめるものがあるんじゃないかと思いますね。

ユカイ バカの境地に行きたいっていうのはあるよね。バカになれるまでにちょっと時間がかかると思うけど。

──見に来る人にメッセージをいただけますか?

織田 だまされたと思って、とにかく来てよってことですね。観てくれれば、きっと何か感じてもらえると思います。

ユカイ このバンドでどこまでもバカの境地まで行きたい。みんなでバカになろう!頭で考えることを脱して、バンドも観客もバカになった時に、きっとサムシングが見えてくるから。

ROLL-B DINOSAUR

インタビュー/長谷川 誠

Live Photo/森島興一

 

「Roll-B Dinosaur」MV FULL

LIVE TOUR 2016

2016年4月8日(金) 新宿BLAZE
18:00 開場 / 19:00 開演
メンバー:ダイアモンド ユカイ(Vo)/織田哲郎(Gt)/CHERRY(LINDBERG:Dr)/ASAKI(GUNIW TOOLS:Gt)/JOE(FUZZY CONTROL:Ba)
対バン:THE WASTED
NOW ON SALE

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受付期間:3月7日(月)10:00〜4月3日(日)23:00

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DEBUT ALBUM「ROLL-B DINOSAUR」
(キングレコード)
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