兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第150回[2023年12月前半・電気、ユニコーン、マカロニえんぴつなどの5本を観ました]編

コラム | 2024.01.25 17:00

イラスト:河井克夫

 音楽などのライター兵庫慎司が生で観たライブすべてについて何か書く連載の150回目、2023年12月の前半=1日から10日までに観た5本のレポです。30年ぐらい観ているバンドも、数年前から観ているバンドも、これで観るのが最後のバンドもあり、でした、この期間は。

12月1日(金)19:00 電気グルーヴ @ Zepp Haneda

 名古屋・福岡・大阪・札幌・東京のZeppを回るツアー“アンと匂いの樹”の最終地、Zepp Haneda2デイズの1日目。これより前に、僕が電気のライブを観たのは、8月11日のRISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO、さらにその前は5月のツアー“近いツアー”の東京公演の2日目(5月27日、EX THEATER ROPPONGI)だった。で、そのどちらでもやっていなかった「顔変わっちゃってる。」や「ア.キ.メ.フ.ラ.イ.」や「CATV」などを聴けたのが、とてもうれしかった。
 ただし。この日のアンコール曲は「TROPICAL LOVE」だったのだが、翌日のアンコールは「人間大統領」で、音源でベースを弾いているKenKenがサプライズ出演したのだ。
 ということを、終演直後のKenKenご本人のポスト(ツイート)で知って、「だあああ、観たかった!」と地団駄を踏みました。どのみち翌日は別のライブのレポ仕事があったので行けなかったんだけど。
 なお、僕が観た1日目でも、観れなかった2日目でも、ピエール瀧は5曲目「Disco Union」、でっかい中華鍋とお玉を振るパフォーマンス(炒飯を作る時のアクション)をやった。「CATV」でサックスの代わりに消化器を吹くやつは、それこそデビューの頃からやっているが、中華鍋は初です。
 今回のツアーの衣装が中華っぽいデザインで、2本目の福岡が終わったところで「この格好で中華鍋を持ってないのがおかしい」ということになって、瀧とスタッフで大阪の千日前で中華鍋を買った、かなり吟味して選んだ──ということを、後日、DGCC(電気グルーヴカスタマーズクラブ。noteで月額500円で加入できるファンクラブみたいなもの)で配信されたトーク映像で、おふたりが説明しておられました。で、その中で、最終日に中華鍋にGoProを付けて撮った映像も、公開されました。

12月2日(土)16:00 ユニコーン @ 三郷市文化会館

 ニューアルバム『クロスロード』のリリースツアーの1本目。このDI:GA ONLINEに、ネタバレなしで速報レポを書きましたので、未読の方はぜひ。
ユニコーン2023-2024ツアー「クロスロード」スタート!初日の模様を最速レポ

12月3日(日)16:00 マカロニえんぴつ @ 名古屋ガイシホール

 メジャー2ndフルアルバム『大人の涙』のリリースツアーであり初のアリーナツアーのファイナル、名古屋ガイシホール2デイズの2日目。東京公演=11月18・19日の国立代々木競技場第一体育館、某メディアがレポの仕事を振ってくれたが、両日とも先に別のレポが入ってしまっていた。でもこのツアーを1本も観れないのはイヤなので、名古屋まで行ったのだった。
 さすが最終日だけあって、バンド、仕上がりまくっていた。終始、オーディエンスの気分や温度なんかを完全に掌握したパフォーマンスをやっていて、ワンマンもフェスも含めて、こういうでかい会場でのライブがすっかり常態になっているバンドならではの強さを感じたりもした。
 あと、何がいいって、「我々はロックバンドです」「これがロックバンドのライブです」という無言の主張が、キャパがでかくなっても薄れない、いや、むしろ、でかくなればなるほど強まっていること。今のマカロニえんぴつのファン層で、今回みたいなアリーナツアーだったら、初めてバンドというものを生で観るとか、初めてライブというものに足を運んだ、みたいなお客さんも少なからずいると思うが、「最初がこれで良かったですね!」と言いたくなった。ただ、今後いろんなバンドを観に行って、毎回このレベルのライブに当たるとは思わない方がいいですよ、とも言いたくなった。

12月9日(土)17:30 空想委員会 @ 下北沢シャングリラ

 三浦隆一が亡くなってから8ヵ月後に行われた、空想委員会の解散ライブ。このDI:GA ONLINEをレポを書きました。未読の方、ぜひ。
三浦隆一逝去から8ヵ月。2023年12月9日下北沢シャングリラ、空想委員会ラストライブ。「みんなが聴いていれば、生きています!」

12月10日(日)18:00 ヒグチアイ @ TOKYO FMホール

 毎年年末恒例のひとりピアノ弾き語りツアー、今年は『ヒグチアイ 独演会 [反応]』と銘打って、大阪・名古屋・長野・東京を回るスケジュールで、長野と東京は1日2ステージ、なので全6公演。僕が観たのは東京の2ステージ目、ファイナル公演だった。
 本編10曲、アンコール1曲の全11曲。本編ラストは「悪魔の子」と「いってらっしゃい」、つまりアニメ『進撃の巨人』のエンディング・テーマ2曲を並べた。中盤(7曲目)では、のんに提供した「荒野に立つ」をセルフカバーした。さらに、4曲目に「最後にひとつ」とアンコールで「大航海」、1月24日リリースのニューアルバム『未成線上』に入る新曲を2曲歌った。なおかつ、(僕が思うところの)ヒグチアイの必殺曲のひとつ、「備忘録」も、6曲目にやってくれた。
 というわけで、本当にもう大満足のステージだった。MCもわりとゆったりとって、伝えたいことをちゃんと言葉にしていたし。新曲2曲、すばらしくて、『未成線上』とそのツアーが、さらに楽しみになった。特に「大航海」。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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