Nothing’s Carved In Stone 15th Anniversary Tour
〜Hand In Hand〜
2023年11月19日(日) Zepp DiverCity(TOKYO)
GUEST:MAN WITH A MISSION
9月にスタートした「Nothing’s Carved In Stone 15th Anniversary Tour 〜Hand In Hand〜」が11月19日(日)、Zepp DiverCity(TOKYO)でファイナルを迎えた。コロナ禍もあって久々の全国対バンツアーとなり、勝手知ったるバンドから初めましてのバンドも迎えて各地ソールドアウトしてきたこのツアーを締めくくるゲストは、ツーマンとしては7年ぶりとなるMAN WITH A MISSION(前回の対バンは、MAN WITH A MISSIONの”Dead End In Tokyo Tour 2017“広島公演で、Nothing’s Carved In Stoneがゲストとなった)。時を経てのツーマンとなったが、Nothing’s Carved In Stone村松 拓(Vo/Gt)がこの日のMCで、「ナッシングスとMAN WITH A MISSION、相性がいいんだなと思った」と語るなど、互いにそのバンドでしか鳴らし得ないオルタナティヴなロックミュージックを追求するものどうし、触発し合える関係性であることがステージから伝わってきた。観客もまた頭からハイボルテージなテンションで両者を迎える。最初にステージに立ったのはMAN WITH A MISSIONだったが、SEとともに上がってきたバンドのバックドロップに大きな歓声をあげると、1曲目「Emotions」からシンガロングやハンドクラップが会場に響いた。
MAN WITH A MISSIONのセットリストは、ライブでテッパンのキャッチーさもありながらも、前のめりにフロアを沸騰させていくような攻撃的なラインナップとなった。Jean-Ken Johnny(Gt/Vo/Raps)は「ツアーファイナルノ前座ヲヤラセテイタダキ光栄ノ極ミデゴザイマス」と丁寧に挨拶をしたかと思うと、中盤から息もつかせぬ怒涛の展開で、こんなもんか?と煽り観客の興奮を引っ張り上げる。エモーショナルなコーラスから馬力あるビートで駆けていく「yoake」でフロアの一体感をあげると、続く「Raise your flag」はイントロから高揚感たっぷり。アンセミックなコーラスを観客にシンガロングさせると、重厚なバンドアンサンブルでフロアを揺さぶっていく。コロナ禍での制限がなくなって初となる今回の“Hand In Hand”ツアー。「Raise your flag」はまさにその喜びやエネルギーを全身で開放する歌だろう。歌詞にあるように、声の限りに叫び歌うフロアの熱さに痺れる。Jean-Ken Johnnyがナッシングスが出る前に準備運動が必要だろうとは言ってはいたが、ダイナミックに爆発する「INTO THE DEEP」でもみくちゃになっている観客に、体力は持つのかと余計な心配もしてしまう。ステージもフロアも次のことなど考えずにフルスロットルで楽しんでいくのが、ツーマンの醍醐味。そしてライブバンドとして遠慮なくぶちかましていくのが、マナーだろう。
後半は、アニメ『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編のオープニング主題歌にもなった「絆ノ奇跡」、そしてラストは会場一体となって“Fly again,yeah,ye-o”と両手を掲げ踊る「FLY AGAIN -Hero’s Anthem-」へ。アグレッシヴなステージングで、DJ Santa Monicaはその目をビカビカに光らせてステージ先端で煽り、Kamikaze Boy(Ba/Cho)はガブガブとベースのフレットをかじるパフォーマンスで盛り上げ、Tokyo Tanaka(Vo)は会場のボルテージを上げるようにその声を伸びやかに響かせる。最高のクライマックスを迎えた会場に、ラストはSpear Rib(Dr)の合図で“1、2、3、ガゥ!”のコールと拍手と歓声がこだました。会場内には熱気と汗の匂いが立ち込めている。
次はいよいよNothing’s Carved In Stone。サウンドチェック中から、明らかに先ほどよりもデカい、のけぞるくらいの爆音が響いている。セットチェンジでクールダウンした会場の空気に、ピリッといい緊張感が冴えわたる。SEが流れると同時に、その緊張感を打ち破るような歓声が轟いて、村松 拓、生形 真一(Gt)、日向 秀和(Ba)、大喜多 崇規(Dr)の4人が登場、1曲目に選んだのはイントロのドラミングと、ギター&ベースのリフで観客の興奮が加速する「Isolation」。歌声なのか叫びなのかという大合唱が爆音のアンサンブルに絡み、熱気がうねるように会場に充満する。凄まじい熱が立ち込めるフロアに村松は「帰ってきたぜ、東京!」と声をあげ、「やろうぜ!」と叫ぶと「Like a Shooting Star」「You’re in Motion」を連投する。頭からアッパーな曲が続く。さらに爆音。それでいて、4人の奏でる音が絡み合うサウンドは有機的で、濃密なグルーヴがあって、体を射抜いていく音が気持ちがいい。ステージから風が吹くようなこの体感は、いいツアーを過ごしてきたゆえの爽快さだろう。「Nothing’s Carved In Stoneです、よろしく」と村松が改めて挨拶をすると、フロアの方々からバンドの15周年に「おめでとう」の声がかかる。久々のツアーとあって観客も賑やかで、曲間にも歓声やメンバーの名を呼ぶ声が絶えない。いい空間だ。
そしてここからはNothing’s Carved In Stoneの真骨頂たるプログレッシヴできらびやかなサウンドで、Zepp DiverCity(TOKYO)をどっぷりと4人の色で染め上げていく。リフの応酬がサイケデリックな陶酔を呼ぶ「Lighthouse」、「声を聞かせてくれ」(村松)という言葉を合図にキレのいいビートとロックンロールなリフが会場を暴れまわる「Rendaman」、緻密なアンサンブルにエモーショナルな歌がどこまでも伸びていく「ツバメクリムゾン」。ラストにアカペラでたっぷりと歌声を響かせて会場を飲み込んだところから、生形の細やかなタッチのギターと鮮やかな日向のベースラインでイマジネイティヴな世界へと連れ立っていく「Milestone」に続く。ボリュームがあって、どのパートを切り取っても見所だらけ。中盤は、4人のスペクタクルなアンサンブルを堪能した。
「楽しいね」と村松は、この日すでに何度か目の言葉を漏らす。そして7年ぶりの対バンが実現した“強敵の前座”であるMAN WITH A MISSIONに感謝を述べつつ、「男気を男気で返してもらった。バンドマンって最高だよね」と語る。またリリースツアーでないにも関わらずたくさんの人が集まってくれたこと、みんなに会うのが楽しみで、みんなのことを愛してるんだと、興奮交じりに伝えた。バンドとして15周年を迎え、数え切れないほどのツアーをしてきている4人だが、コロナ禍を経て、これまで以上のエネルギーの交換をしあうようなこのステージは格別な喜びがあるのかもしれない。その歓喜が、演奏の隅々にも宿っている。「Music」からの後半でさらにその歓喜を爆発させ、会場には晴れやかさが増す。とくに「Spirit Inspiration」「Out of Control」のダンサブルな2曲で、会場が揺れる。ダイナミックな大喜多のキックとともに、ぐんぐんと体感温度が上がっていく。ハイカロリーな曲をさらに盛り上げていくのは、観客のノリの良さと元気さ。本当にこのツアーを待ちわびていたことがわかる。ラストは、バンドにとってもファンにとっても大事な1曲である「November 15th」を会場一体となって歌い上げた。15周年を迎えられたこと、この先へのキックオフとなるツーマンツアーを締めくくるにふさわしい曲だろう。
この後、アンコールにも応え「Shimmer Song」を披露したNothing’s Carved In Stone。2024年2月24日(土)には武道館公演「Nothing’s Carved In Stone 15th Anniversary Live at BUDOKAN」を控える。この武道館ではファンからリクエストを募り全30曲超、また全アルバムを辿るスペシャルなライブとなっている。今回の“Hand In Hand”も各公演でセットリストを変えながら走ってきたツアーにもなっており、挑戦的な内容にもなった。武道館公演も、アニバサリーイヤーの祝祭感というだけでない、徹底して観る人に楽しんでもらうショーマンシップや、貪欲に曲を進化/深化させていくライブバンドのプライドに溢れた夜になるだろうと、今から期待してしまう。そういう心地よい余韻に浸れるツアーファイナルとなった。
SET LIST
■MAN WITH A MISSON
01.Emotions
02.Dive
03.yoake
04.Raise your flag
05.INTO THE DEEP
06.Remember Me
07.絆ノ奇跡
08.FLY AGAIN -Hero's Anthem-
■Nothing’s Carved In Stone
01. Isolation
02. Like a Shooting Star
03. You're in Motion
04. Lighthouse
05. Rendaman
06. ツバメクリムゾン
07. Milestone
08. Music
09. Spirit Inspiration
10. Out of Control
11. November 15th
ENCORE
01. Shimmer Song