アルバム「白と花束」の制作、全国ツアー「HAYAMI SAORI Tour 2023 "白と花束"」への思いなどについて語ってもらった。
ありがとうございます。今回のアルバムは色々な挑戦もしましたし、バラエティに富んだアルバムになったと思ってます。アルバム自体は2018年にリリースした2枚目の「JUNCTION」以来、5年ぶりだったんですが、アーティスト活動を続けるなかで培ってきたものを詰め込んだ作品なのかな、と。
はい。そういう思いはずっと持っていたんですが、コロナ禍になって、「この先、どういうふうに活動を続けていけばいいか?」と自分でも考えたし、チームでも話し合って。私にとっての音楽は、小さい頃や学生時代、いろんな曲や音に助けてもらいながら日々を送っていたのが原体験なんですね。それを踏まえて、いま、苦しい思いをしている人たちに音楽を届けられたらいいな、と。
そうですね。楽曲を提供していただいたアーティストのみなさんとの打ち合わせのときも、「今、こういうテーマを掲げて活動をしていて」とお話させていただいて。アルバムの全体的なイメージも共有しつつ、あとはもう、それぞれのみなさんの素晴らしい感性や個性を発揮していただけたらなと。
以前から「いつかご一緒できたらいいな」と思っていたアーティストのみなさんにお声がけさせていただいたんです。たとえばTomgggさんは、コロナ禍のなかで行われた配信イベント(『Music Unity 2020』)で、私の「ザラメ」という楽曲をリミックスしてくださって。それがすごく素敵で「いつか曲を作っていただけたら嬉しいな」と思っていたんですよ。諭吉佳作/menさんは、私がナレーションで参加させていただいたNHK Eテレの番組「前山田×体育のワンルーム☆ミュージック」に出演されていて。以前から諭吉さんの音楽は聴かせてもらっていたんですが、改めて「いいタイミングでお願いできたらいいな」と。
これまではピアノを弾きながら作ることが多かったんですけど、ギターの音色を活かして作ってみたいなと思って。ギターは弾けないんですけど、ギターの音でコードを鳴らしながら、いろいろ試してみたんです。明るく元気というより、静かで、海に漂っているようなイメージの楽曲ですね。デモが出来たのが明け方だったんですけど、そのときのテンションとも重なってる気がします。
「フロレセンス」も、普段とはちょっと違う作り方なんです。DTMっぽいというか、パソコンと向き合いながら作ってみたんですけど、リズムをしっかり刻みつつ、ふわっとダウナーな浮遊感がある曲がいいなと思って。私にとってはチャレンジでしたね。「はじまりの歌」はアルバムの最後に入れることが決まっていて、「個性豊かな楽曲のなかで、どうやってアルバムを締めくくるか?」みたいなことを考えていました。これまでやってきた“歌とピアノ”のベーシックな形を極めたいというか。歌詞もストレートに書くことを意識していました。私の音楽を聴いてくださって、いろんな感想を届けてくれるファンのみなさんに対して、自分のメッセージを届けたかったんですよね。
アルバム制作の最後のほうに決めたんですけど、これまで以上に候補を出して、すごく考えながら決めました。まず、アルバム全体のテーマとして“光”があって。「光の三原色(赤・緑・青)が集まると白になっていく」というところから“白”がいいなと。“花束”は、バラエティ豊かで多様な曲が入っていることから来てますね。ミニアルバム「GARDEN」では、“どんな状況であっても帰って来られる、自分だけの庭みたいなものを心の中に持ちたい”という思いを込めていたんです。ジャケットにも花が写っているんですが、それは心象風景なんですよ。今回のアルバムのジャケットは美しいだけではなく、枯れた花や萎れた花もある現実の花束を手にしていて。「GARDEN」からの流れだったり、「花束を持って、光とともに歩んでいく」という気持ちも込めてますね。
めちゃくちゃポップですよね。アニメ(「トニカクカワイイ 女子高編」)もすごく可愛くて。メインとなる2人(由崎司/CV.鬼頭明里 由崎星空/CV.榎木淳弥)が夫婦なんですけど、今回は旦那さんが女子高に着任するお話なんです。女子高生たちがたくさん出てきて、青春をより深く感じられる作品になっていて。OPテーマを制作するときも、青春の爽やかさ、尊くて大事な時間を楽曲に入れられたらいいなという話になって、in the blue shirtさんにお願いしました。本当に作品にピッタリな曲になったと思います。
1番のサビの後で、私の声を素材にして編集しているパートがあって。「何語で歌ってるんだろう?」というか、ちょっと不思議な感じになってるんですよ。そういうハッとするような要素が入っているのも面白いし、楽曲のアクセントになっていると思いますね。レコーディングのときは声の響きをかなり意識してました。平歌とサビの響き方も違うし、そのことで雰囲気も変化しているので。
ツアー自体が2019年以来で、すごく久しぶりなんですよ。緊張感を持って準備して臨んだのですが、会場に来てくださったお客さんが想像の何倍も何倍も温かく、すごい熱量で聴いてくださって。「みなさんのレスポンスがこんなに大きいパワーになるんだな」と改めて感じた初日でした。
そうですね。たとえば「plan」のようなポップな曲だと、みなさんが楽しんでくださっているのを見て、私もさらに楽しくなって、どんどんノリがよくなって(笑)。レコーディングのときは「声が跳ね過ぎないように」とかいろいろと繊細に調整していたんですけど、ライブになるとボーダーラインを軽々と超えて、「楽しい!」という気持ちを共有できるので。逆にシリアスな表情の曲は、じっくりと聴いてくださっているのが感じられるし、会場に流れる空気もまったく変わって。(音源では)打ち込みをメインにした曲をバンドで演奏することで、聴こえ方が変わるのも驚きました。「曲はこうやって育っていくんだな」ということも実感してますね。
はい。セットリストも今回のアルバムを意識しながら組んでいるので。アルバムの制作中やツアーの前にTwitterライブを実施させてもらったんですよ。そのときのみなさんの声も参考にさせてもらっているんですけど、そういう試みも初めてだったんですよね。あと、今回初めて、グッズでペンライトを作ったんです。花束の形をした白のライトなんですけど、“白と花束”をみなさんにも持っていただいて、それも演出の一つの要素として一緒にライブを作っていけたらなって。うちわ(スペシャルアートうちわ)は、私がイラストを描かせてもらってます。
グッズ先行販売開始です💐✨
▶️https://t.co/j7uw6M43Xy#早見沙織#白と花束ツアー https://t.co/DKhOVlQRIv pic.twitter.com/XNx2OuTMpc— 早見沙織 Official (@hayami_official) July 22, 2023
とにかく最後までしっかりやり切りたいですね。ファイナルの国際フォーラム(9月18日)までアッという間なんだろうなって思ってます。仙台公演(8月12日/トークネットホール仙台 大ホール)は1stシングル(「やさしい希望」)をリリースした日なんですよ。アーティストデビューと同じ日にライブができるのもうれしいですね。
そうですね。特に今回のアルバムを作る過程では、しっかり熱量を込めてのめり込んでいたし、年々積み重ねてきたものをすべて詰められたんじゃないかなって。さっきも言ったんですけど、Twitterライブなどを通して、アルバム制作を共有できたのもよかったなって思います。リリース日に「やっと発売ですね。感慨深いです」と言ってくださる方もいて。アルバムを何度も聴いていただいて、ライブに足を運んでいただいて、また帰り道に聴いてもらって。そういうループがつながっていったらいいなと思ってます。
これまでに触れたことがなかった音楽を聴くことが増えてるんですよ。ラジオ番組「Memories & Discoveries」(JFN系)のパーソナリティを火曜から木曜まで担当させてもらっているんですが、世界各国、いろんな時代の音楽がかかるんです。その番組に関わらせてもらうことで、好きな音楽の幅がどんどん広がっているので。
そうですね。ここ2年くらいは本当にいろんなジャンルの曲に出会わせてもらって、新しい扉を開いていく感覚があって。私自身は毎回必死なんですけど、完成したものを聴いたり、ライブで歌うことによって、それが自分の血や肉になっているというか。
やりたいことはたくさんあるし、未知なる出会いを楽しみ。幅を狭め過ぎずに続けていけたらいいなと思っています。
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