OBLIVION DUSTがツアーに出る。8月22日(日)Zepp Nagoya、9月4日(土)Zepp Namba、9月11日(土)Zepp Tokyoの3本、『Tour 2021 “Metanoia”』。コロナ禍以降初めて行ったツアーから半年弱で次のツアーに踏み切った、という決断について、前回のツアーの手応えについて、新型コロナウィルス禍という状況をどう受け止めているかについてなど、3人に訊いた。
やっぱり、動かせるタイミングで、判断しながら進んでいかないと(K.A.Z)
──3月~4月に東名阪ツアーをやって、9月にまたツアーというのは、コロナ禍が収まるのを待つよりも、動けるならとにかく動こう、というふうになったということでしょうか。
KEN LLOYD(Vocals)まあ単純に、待っていてもキリがないから、前回のツアーを試しにやってみたら、思った以上に普通にできた、というか。もちろん来れないお客さんもいたんだけど、喜んでくれた人たちもいっぱいいたので。あのツアーをやった後、メンバー・スタッフで話し合って、「ライヴはやっていこう」っていうことにまとまったというか。
──感触は悪くなかったんですね。
KENうん。僕個人は、やる側の気持ちとしていろいろ悩んだというよりかは、「お客さんの中で感染しちゃったらどうしよう」とか……あとは、知り合いのバンドでもギリギリになってライヴをキャンセルするしかなくなったとか、あったから──。
──ああ、メンバーとかスタッフが感染して。
KENうん。そういう心配はあったかな。で、無事終わったと思っても、そのあと2週間くらいはわからないじゃない? そういうストレスはいつも以上にあったけど、ライヴ自体は、僕は全然問題なくやれた。お客さんが、声を出せないとか、曲と曲の間の”間”をどうすればいいんだろう、とか。その感じはちょっと伝わって来たけど、そこを気にしてもしょうがないので。
RIKIJI(Bass)あと、コロナ禍でもライヴをやるっていうのは、お客さんに観てほしいということだけじゃなくて、スタッフ、メンバーの生活を守るっていうこともある。ライヴを1年ぐらい止めて、仕事がなくて困っているスタッフもいたので。そういう中で、やる意味はあったんじゃないか、と思います。
K.A.Z(Guitar & Programming)コロナが蔓延している中でライヴをするのは、気が引けてしまうところがあるのは、正直、前と変わらないんですけど。ただ、この先、あとどれだけコロナが続くかっていうのも本当に不透明だし。やっぱり、動かせるタイミングで判断しながら進んでいかないと。それで事務所とも話して、「こういう状況だったら実施、こうなったら中止」っていう判断基準の項目を作ったりして。世の中の感染の様子も見ながら判断して、一回、東名阪のツアーをやってみて。
ただ、やる側は、KENも言ったように変わらなかった。お客さんがイスに座って観ていても、その場で立ち上がっていても、むしろ間隔が空いてるから、こっちも見渡しやすかったし……。でも、お客さんがマスクしながら観るっていうのが、いちばん大変だったんじゃないかなと思いますけど。
ただ、やる側は、KENも言ったように変わらなかった。お客さんがイスに座って観ていても、その場で立ち上がっていても、むしろ間隔が空いてるから、こっちも見渡しやすかったし……。でも、お客さんがマスクしながら観るっていうのが、いちばん大変だったんじゃないかなと思いますけど。
──終わったあとのリアクションは、どんな感じでした?
KEN「やってくれてありがとう」っていう声が大半だったので、「リスクを背負ってでもやってよかったな」って、すごく思った。ただ、仕事的に絶対来れないっていう人もいるじゃない? 病院で働いてるとか、お年寄りと暮らしているとか。そういう人たちにとって、フェアではなかったというのが……僕、フェアじゃないの好きじゃないんですよ。そこらへんは気にかかるというか、申し訳ないなと思っているんだけど。ただ、このまま止まっていてもしょうがない、進めるんだったら進んでいかなきゃいけないので。
自分がやっている職業を、ちゃんと見つめ直せた(RIKIJI)
──このバンドに限ったことじゃないですけど、自分の気持ちとか、自分のスケジュールとかに関係なく、強制的にライヴができない状態になった、というのは、これまで経験がなかったんじゃないかと思うんですが。
KENうん。たとえば、制作期間に入るからライヴはしばらくやらないとか、ツアーやってるから制作やらない、というのは今まであったけど、基本的には常に何かしら動き続けてたのね。で、コロナ禍になって、無理矢理、音楽だけじゃなくて全部がストップしたじゃん。特に、2020年の3月から2ヵ月くらいは、すべてがピタッと止まったというか、無理矢理休憩を取らされたというか。
それは僕にとって、実はすごくよくて。ちょっと疲れてたというか、音楽からちょっと離れたかったというか、ちょっと休憩したかったんですよね、たぶん。今までずっと……たとえばツアーが終わると次の活動だったりとか、違うバンドでの制作だったりとかがあるから、振り返る時間がないというか。自分がやったことの、何がよかったのか、何がよくなかったのか、っていう復習をする時間がなかったのを、コロナ禍で無理矢理その時間を作らされた、というか。
だから、それまでに溜まってたストレスだったりとか、音楽に疲れてる部分とか、そういうのがリセットできたというか。そこらへんは……世の中的には大変な状況になっているけど、「こんな機会、ないから」って逆にポジティヴに受け取ったかな。だからその2~3ヵ月は、音楽、何もしなかったです。
それは僕にとって、実はすごくよくて。ちょっと疲れてたというか、音楽からちょっと離れたかったというか、ちょっと休憩したかったんですよね、たぶん。今までずっと……たとえばツアーが終わると次の活動だったりとか、違うバンドでの制作だったりとかがあるから、振り返る時間がないというか。自分がやったことの、何がよかったのか、何がよくなかったのか、っていう復習をする時間がなかったのを、コロナ禍で無理矢理その時間を作らされた、というか。
だから、それまでに溜まってたストレスだったりとか、音楽に疲れてる部分とか、そういうのがリセットできたというか。そこらへんは……世の中的には大変な状況になっているけど、「こんな機会、ないから」って逆にポジティヴに受け取ったかな。だからその2~3ヵ月は、音楽、何もしなかったです。
──音楽をせずに何をしてすごしてました?
KEN音楽だけじゃなくて、自分の私生活でも整理しないといけない部分があったりとか。自分の中で何が大事なのか、何が大事じゃないのかとか、10年後・20年後にどうなっていたいのか、とか。今まで、そういうことを考える余裕がなかったの。25年、ずっと動き続けてきたから。そういうのを一個一個片付けていく時間に使っていたというか。
まあ、最初はコロナをそこまで重く考えていなかったから、そんなふうに切り替えられたのかもしれないけど。最初は2~3ヵ月で解決するくらいのもんだろうと思っていたので。
まあ、最初はコロナをそこまで重く考えていなかったから、そんなふうに切り替えられたのかもしれないけど。最初は2~3ヵ月で解決するくらいのもんだろうと思っていたので。
──RIKIJIさんは? ここまでライヴが止まったのは──。
RIKIJIミュージシャンという職業として考えるのであれば、全世界横並びになったから。みんな同じ、がまんしなきゃいけない状況なので、悲しいとかつらいとかは、まるでなくて。
あとは、エンタテインメント・ビジネスは、やっぱり後回しにされちゃう、っていうのを目の当たりにしたから。そこはちゃんと、これから先のことを考えていかなきゃいけないな、っていう。必ずしも必要なものじゃない、あくまでも娯楽を職業としてやっている、ということを考えた時に……もともと中学生の時に、プロ・ミュージシャンになろうって決めてから、つらいとか、メシ食えないとか、そういうのは覚悟ができてるから。
だから、改めて自分の立ち位置とかがわかったかな、っていうのは大きかったですね。俺的にはよかったです。自分がやっている職業をちゃんと見つめ直せた、っていうのは、いい時間でした。
あとは、エンタテインメント・ビジネスは、やっぱり後回しにされちゃう、っていうのを目の当たりにしたから。そこはちゃんと、これから先のことを考えていかなきゃいけないな、っていう。必ずしも必要なものじゃない、あくまでも娯楽を職業としてやっている、ということを考えた時に……もともと中学生の時に、プロ・ミュージシャンになろうって決めてから、つらいとか、メシ食えないとか、そういうのは覚悟ができてるから。
だから、改めて自分の立ち位置とかがわかったかな、っていうのは大きかったですね。俺的にはよかったです。自分がやっている職業をちゃんと見つめ直せた、っていうのは、いい時間でした。
──K.A.Zさんは?
K.A.Zまあ、何が起こるかわからないっていうことを、前に骨折して休んだ時も、今回のコロナの時も、すごく思ったのと……だから、1本1本のライヴが、すごく重要に感じるというか。今まで以上に。変な言い方だけど、「もしかしたらこれが最後のライヴになるのかもしれない」とか。今まで以上に、そういうことを考えた上でライヴに向かっての取り組みをするようになったかな。だから、自分自身の生活にとってはプラスだったかな、ということは思いますね。