LAMP IN TERRENが二度目となる日比谷野音でのワンマンライブ「Moon Child」を7月28日に開催する。昨年、ボーカル松本大の喉のポリープ手術に伴う活動休止からの復活の舞台として、8月に初の野音に挑んだ彼ら。当時のライブについて、松本は「あのステージで自分は一度死んだ」と振り返るが、その後、12月に生まれ変わった自分たちをパッケージしたアルバム『The Naked Blues』を完成させたテレンが、今度こそ、本当に自分たちが表現したいライブを見せるために、再び野音に立つ。以下のインタビューでは、野音で演奏するための曲として、7月17日に配信リリースされた新曲「ホワイトライクミー」について紐解きながら、「いまを楽しむ」という真っ白な境地に立ったLAMP IN TERRENのモードを探った。
──ここ最近、かなり積極的にライブをやってますね。
中原健仁(Ba)そうですね。年明けはアルバム(『The Naked Blues』)のツアーがあったんですけど、それ以降、誘われたライブはできるだけ出るようにしてるんですよ。
──あえてそうしてるんですか?
大屋真太郎(Gt)去年の野音が終わって、どんどんライブが良くなってきたから、「もっとライブをしたい」って、みんなで話したよね?
松本 大(Vo&Gt)昔は自分たちの世界を完成させることにこだわってたんですよ。だからワンマンが多かったんですけど。いまは別に誰が相手でも、それに左右されない自分たちを見つけられたんじゃないかなっていうのがあるんです。
中原単純に自信がついたよね。
松本だから、自分たちを求めてくれる場所があるなら行きたいよねっていうことですね。
──川口くん、どうですか? 最近のライブモードというのは。
川口大喜(Dr)楽しめてますね。ちゃんと楽しめてるってことが重要だと思いますね。
──そもそもテレンって、MASH A&R主催のオーディション(MASH FIGHT)で優勝する前は、ライブをたくさんやるタイプのバンドだったんですか?
松本いや、全然。僕らは出不精なバンドなので(笑)。
──じゃあ、いまがバンド史上いちばんライブをやってると言ってもいいぐらい?
松本そうですね。だから、いま俺らと同い年のバンドが10代とか20代の前半にやってたようなことをいまやっている。いまさらドサ周りしてるんですよ。
中原昔は自信がなかったから、劣等感がすごくて、対バンができなかったんです。
大屋自分のことで手一杯だったよね。
中原でも、最近はちょっとずつ(劣等感が)緩和されてるというか。「あ、このバンドにはこういう良さがあるんだ」っていうのがわかるようになったんですよね。
──それがわかると、逆に自分たちの良さもわかったりしますもんね。
中原そうなんですよ。この人たちになくて、自分たちにあるのはこういうことなんだろうな、とか。……いまさらなんですけどね(笑)。
──ちなみに、さらに話が遡るけど、前作アルバム『The Naked Blues』のツアーの手応えはどうでしたか? かなり評判は良かったと思いますけど。
松本すげえ褒められましたね(笑)。決定的に変わったっていう手応えは、全員あったと思います。いままでワンマライブに対しては、単純に時間が長い、自分たちの単独公演っていう捉え方にすぎなかったんですけど、それがひとつの作品になるというか。そういうことも、僕は、隅から隅まで、自分で体感してみないとわからない人間なんですよね。
中原あと、ライブでは(松本の)説得力は増したよね。
松本正直者だからね、いま。
中原『The Naked Blues』のツアーでは、「凡人ダグ」とか「月のこどもたち」っていう曲で(松本の)パフォーマンスを見てると、「自分を曝け出していくんだ」みたいなのを感じるんですよ。「月のこどもたち」では、ふわふわ踊っちゃったりして。
──フロアに降りたりもしてましたよね。
中原そうそう。MCでも素っ裸で話してるんです。
松本あと、最近のライブで変わったことで言うと、ミスをするのが楽しい(笑)。
川口最近はミスすらも楽しめるようになりましたね。スティックがポーンって飛んでいっちゃったとき、大がこっちを見てるんだけど、俺は、平然とスティックをくるくる回してるんです。ミスがあったからこそ、そのときにしか楽しめないことを楽しんでる。昔はそこまで考えられなかったですよね。
──いままでのテレンは、どこかで完璧を求めすぎてたのかもしれないですね。
大屋たしかにそうかもしれない。
松本一生に一回しかできないライブを心がけてると、ミスすら楽しいし、チューニングが違うことすら面白いんです。
──あははは、チューニングは合わせたほうがいいですけどね(笑)。
松本真ちゃん、俺のMCを聞いちゃうもんね。
──松本くんのMCに夢中になって、大屋くんはチューニングを合わせ忘れるんですか?
大屋うん。「なるほど、そうだよなあ」と思って、ジャーンって弾き始めて、うわ……忘れてた!ってなるんです。もう、それに関しては、本当に言葉が出ないです……。
松本俺は、真ちゃんのテンパった顔を見るのも好きなんですよ。
大屋俺のなかでは大事件なんだけど……。
中原いや、大事件だよ。
全員あはははは!
松本会場のなかでは、俺とお客さんだけが楽しんでるよね。
川口でも、自分が好きなアーティストのライブを見に行ったときに、そういうことが起きたら、レアですよね。まあ……しょっちゅう起こっちゃダメですけど。「おお!こういうことって、あるんだな」って。そうやって良い方向に考えられるようになったんです。
──歌詞が飛んで、やり直したりすると、お客さんは湧きますもんね。
川口でも最近は……。
松本そう、歌詞があまり飛ばなくなっちゃたんですよ(笑)。昔はライブが激流だったんですよね。でも、いまは大船に乗ってる感じなんです。風を受けるのが気持ちよくて。あんまりステージで何も考えてないんですよ。そしたら、歌詞が飛ばなくなった。
大屋意外とそういうものかもしれないよね。
松本ふだん思っていることを、ちゃんと捉えてさえいれば、ライブで何かをしようと思わなくても、勝手に出ていくものですよね。